「優しさ」の種類

「本当に」優しい人

私は「優しいね」と言われることが昔から多いです。たぶん、あまり人に怒ったりしないからだと思うのですが、怒らないのは正直誰かにそこまでの熱量をもって関わるエネルギーが出ないからなんですね。

教員界隈では、春休みに異動や校内人事が発表されます。「〇〇先生は4年1組です!」みたいなアレです。あの担任発表、子どもの頃はとてもドキドキしませんでした?教師もけっこうドキドキします。

でも、私は基本的に自分のことしか気にしていないので、自分に関わるところだけ見たらあとはそんなに関心が湧かないんですね。教員という職業柄もあるのか、けっこう周りは他の人の人事を気にしたりもしますけど。異動するのかカマかけたりね。

というわけで職員会議で校内人事発表を「おお~ここか~」とか思いながら見ていたわけです。教員は担任以外に生徒指導や備品の管理など分掌と呼ばれる学校の仕事も担当します。大体は異動が決まっていたA先生の仕事を引き継ぐ形で、「A先生忙しそうだったし、重そうだなあ」とかぼんやり思っていたのですが。

A先生が不意に手を挙げて言ったんです。「おなつ先生の仕事は忙しいのでできれば変えてほしい」と。

他人のためにそんなことする必要ないんです。というかA先生はもう異動するので、本来であれば校内人事なんてまともに見る必要もないし、公の場で上司に意見する必要もないです。別に私が来年苦しかろうがそんな姿すら見ることはないし、関係が切れるわけですから。

それでもあえて言ってくれたんだなあ。私は他人のために何かをするってものすごくハードルが高いのですが、そういうのを息をするようにできる人ってたまにいるよなあと思いました。普段の関わりも含めてね。

本当に優しい人というのは、A先生みたいな人だよなあと思いました。

まあその後の上司の言葉で、結局ただ何だか分からないけれど今年度の死刑宣告を喰らった気分ではありますがそれはまた別の話。


「優しさ」の種類

そんな本当の優しさって、手に入れたいかは別として今後私がどんなに努力したところで手に入らないだろうし、何かもう別次元の存在だよなと思いました。

そんな人がいるのに、自分の表面のペラペラの優しさだけ見て、『優しいね』って言ってくると申し訳ない気分になります。

それかこの小説の台詞。

「優しいなんて、褒めるところがない人に言う台詞でしょ!私、分かってるんだから!」(小笠原部長)


そんな「優しさ」の種類みたいな話。もう一つどこかで聞いたことがあったなと思ったら、これでした。

(自分がいい人に見られたいから優しくしているという由希に対して)
「人は優しさを持って生まれてこないんだよって、生まれながらに持っているのは、食欲とか、物欲とか、そんな欲。つまり、生きる本能だけなんですって。
優しさは、体が成長するのと同じで、自分の中で育てていく心、良心なんだって。だから人によって、形が違うんだって」
『欲望は誰だって、生まれながらに持っているから理解しやすいけど、優しさは個人個人の手作りみたいなものだから、誤解されたり、偽善だって思われやすいんだよな。』(本田透)


こんな思ったことがすでにいろいろと言語化されていて、やっぱり作家や漫画家ってすごいなと思いました。

「人に優しくすること」って子どもも知っている簡単なことですが、考え出すと深いですね。

とりあえず、4月からやってきた新入社員さんたちにA先生ほどは難しいと思いますが、自分なりに優しく手助けできる部分はしていけるといいなと思いました。

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