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野菜を育てるのと人間を育てるのに違いはあるのか

「教師が子どもに、何かをしてあげるというのは間違いなんだよ」

教員になって一年目に先輩に言われたこと。


野菜を育てるのと人間を育てるのに違いはあるのか

今年、教師をやりながら授業用に作った畑で野菜を育てていて、早いものはもうすぐ収穫を迎える。本当は毎日子供たちと一緒に水やりや草抜きをしたいけれど、授業でやることは他にたくさんあるので、やむなく自分が世話をしている。

昼は人を育てて、放課後は野菜を育てる生活。野菜を育てるのはなかなか面白い。

きっと農家レベルであれば、野菜作りにも考えることはたくさんあるのだろうが、ド素人にはノウハウが全くないのでやることはシンプルだ。雨が降らなければ水をあげ、草が生えてくれば雑草を抜き、時々肥料をあげる。ミニトマトが支柱からひん曲がってきたらひもで固定する。それくらい。それでも、この2か月で野菜の苗たちは確実に大きくなり、ついに実をつけた。

それが人を育てることになると、どうしてこう、複雑なんだろうか。

早期教育。英語。プログラミング。身体も丈夫でないと。部活もやらないと。友達がたくさんできないとダメ。成績が良くないとダメ。働いて自立しないとダメ。

教師をやっていてもそう思うのだから、子育てなんてもっと大変なんだろうなあ。親御さんや、親になった友達と関わる中で思う。親も教師も、願うことは「子どもにただ幸せになってほしい」というシンプルなものなのに。


人を育てるのも、水をあげるくらいでいいのかもしれない

そんな時に思い出した、前述の先生の言葉。その先生の意図は忘れたが、自分なりに解釈をしてみると、要は大人が何かをしてもしなくても、子どもは勝手に育つのだということ。

大人が責任を持たなければいけないのは、野菜を育てる=衣食住を保証して健やかに成長させることだけ。

そもそも、無理な話なのだ。例えば、自分が子どもの頃に言ってほしかった言葉、これを与えてくれていたらもっと成長していたであろうことは分かる。

けれど、子どもは他人だから。自分にとって有効なことと子どもにとって有効なことは全く違うのだ。たとえそれが親子であっても。

私は、子どもが学校にいるたったの8時間ほど、子どもの安全と命を守る責任を負っている。お金をもらっているのに、それでも重圧だなと思う。だから何年も子どもを守って育てて、健やかに成長させることが、シンプルだけどどれほど大変なことなのか、前よりも想像がつくようになった。

だから、たぶんそれができていればいいんだ。長期的に見れば、どの子もきっと育つから。

大人の仕事は、子どもが育つきっかけ作り

そう考えると、大人の仕事ってなんだろう。教師の仕事って何だろう。親の仕事って何だろう。

教師の仕事は微々たるもので、いてもいなくても構わない存在だと、そうあの先生は言いたかったのか。衣食住さえ保証していれば、別に親なんていなくてロボットでも構わないのか。

たぶん、そうではなくて。

きっと大人は、子どもが育つきっかけを作っているんだと思う。何かについて教えることで。一緒にご飯を食べることで。どこかに行くことで。間違っていることは間違いだと言うことで。ミニトマトを支柱に戻すみたいに。

そして、その根底として衣食住を保証する=生かすことがあるはず。生きている限り、身体は大きくなって心も成長していろいろなものと出会い、成長のきっかけがあるはずだから。

だから、親だけではなく。教師がいて、周りを取り巻く大人がいる。そうすれば成長のきっかけは何倍にも膨らんで、きっとどこかにその子に合うものがある。


「育つ」のは子どもであって、あなたではない

そうすると、結局人を育てることの複雑さに戻ってきたわけだけどさ。子どもに良いと思われるものをたくさん与えようとする、今の教育。

悪いことではない。ただ放っておくよりはずっといい。ただ、結局「育てる」のは大人だけど「育つ」のは子どもなんだよな、という話。

その中の何が自分に必要なのかを決めるのはその子ども自身であって、大人ではない。

私は明るい子どもになってほしいと親から思われていた。活発に遊べるようにと毎日公園に連れていかれていたそうだ。ただ、根っこの部分から友達と遊ぶのが苦手だったそうで一人で遊ぶ我が子を見て親は落胆していた。

ただ、成長に役立つようにと買った童話の本は自分にはまった。小さいときから多くの本を読み漁り、図書館に通い、そして今に活きている。親自身は大の本嫌いなのに、分からないものだねと言っていた。

結局、大人は分からない。子育ての正解なんてない。だから、大人はシンプルに考えていいんだと思う。何かしたいならすればいい。余裕がないなら、とりあえずご飯があればいい。子どもは育つ。

子どもが「これが正解ルートです!」と言ってくれるわけでもないし。ただ、子どもの気持ちや話は聞いてあげたほうがいいと思う。結局は、それが一番正解に近い。


そう、子育てが大変そうになっている友達に伝えたかった。親御さんにも伝えたい。子どもを育てたことがない人間だけど、ほんの少し子育てを分担している大人の考え。

というわけで、私は今度、子どもたちとできた野菜を収穫したいなと思います。楽しみ。






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