見出し画像

感想【白い春〜君に贈る歌〜】第4章②

「癌」「死」
これらの言葉を見ると、自分でも思うより深く抉られてしまう。
私にとって、実はこれらは身近に存在していた。

********************************

私は、育ての親とも言える祖父母を癌で亡くしている。
父のいない私に鉄棒を教えてくれた寡黙な祖父は小6の春、
授業参観に黒紋付で颯爽と現れた祖母は大学2年の初夏、
私の前からいなくなった。

病院に行った時にはもう手遅れだった祖父。
祖父は病床で、私や妹の弾くピアノをカセットテープに録音し聞いていた。
あまりに拙いピアノ。心が安らぐような演奏からは程遠い。
でも、祖父は大事に大事に聞いてくれていた。

祖母は私が高3の時に最初の手術をした。
私が無事大学に合格してしばらくすると、また祖母の体調が悪化した。
家系で唯一の理系だったからか、祖母は自分の症状を私によく尋ねた。
私は・・・適当なウソを重ねた。そうするしかなかった。

祖父も祖母も告知はされていなかったが、ふたりともわかっていたと思う。
わかった上で、知らないフリをし続けてくれていたのだと思う。
私はふたりのために大したことができなかった。
祖母にはウソまでついた。
それをずっと責めている自分が今もいる。

********************************

祖父母を思い出すとき、ふと考える。

自分の身に起こる近い将来をわかった上で過ごす日々は、
どういうものなのだろうか。
私なら冷静でいられるのだろうか、と。

いや、きっと小説中に出てきた山本さんのように、心乱れるだろう。

私の記憶の中の祖父母は、そういうものをほとんど私には見せなかった。
しかし祖父母にもそういう時があったはずだ。

もしかしたら、祖父はそういう心を落ち着かせるために
拙いピアノを聞いてくれていたのだろうか。
もしかしたら、祖母もそういう心を落ち着かせるために
私に質問していたのだろうか。

だとしたら・・・
私のやっていたことは少しだけでも価値があったのかもしれない。


********************************

二度と目にすることのないであろう、桜並木を振り返った。
風に揺れている桜の樹々が、お別れを囁いているかのようだ。
ありがとう。また逢う日まで、さようなら。

第4章「好きって伝えたかったら、嫌いって書けばいい」②より


この部分が、私にとって一番胸を掴まれるものだった。
「死」を感じながら見る風景は、どう見えるのだろう。

河津桜は紗良の瞳に、研ぎ澄まされたように美しく見えていたのだろう。
そして見えるものだけではなく、「囁き」として感じられるほど
澄んだ紗良の心に染み入ってきたのだ。

「死」を前にして、人の感覚は鋭敏になるのではないだろうか。
だからこそ、音楽や絵画、また人の温もりなど
癒されるものを求めるのかもしれない。

せめて最後に感じられるものが美しいものでありますように。
あたたかいものでありますように。
紗良にとっても。

そして私の祖父母にとっても、そうであったことを願っている。

------------------------------------------------------------

ヒカッちゃと三鶴さんの共作小説。
私にとっては過去を巻き込むテーマでもあり、
なかなか感想を書くことができませんでした。

そして今も、これを出すか・・・まだ迷っているところです。
(いや、出すとは思いますが)

単純な小説の感想ではなく、自分の思い出と交錯し、
「死」を前にした時の風景に思いを馳せるような内容になってしまい
なんだか申し訳ないです。

でも、毎回拝読しております!
できるだけ、紗良さんにも三浦さんにも幸せを感じてもらいたいと
願いつつ・・・

------------------------------------------------------------
🌸この記事は仲川光さんの企画参加記事です🌸
#白い春
#創作大賞感想

***********************************************

XやInstagramでも発信しています。

カオラkaora X
 x.com/kaora2314?t=W6P6zq7m-Zm36M4KmFhOIQ&s=09
カオラkaora Instagram
  https://t.co/nAdRE4zzpn

#66日ライラン

いいなと思ったら応援しよう!

カオラ@親も子も自分を生きよう もしお気に召しましたらサポートいただけますと、とても喜びます✨いただいたサポートは自己研鑽のために活用致します!

この記事が参加している募集