散文『夢を見ながら私を見る』
花巻かおり
中学生の頃
時々しか学校に
来られない男の子がいた
心臓に病があり
車椅子で
母親が連れ立ってきていた
彼は修学旅行に
行きたいと切望
体調が良くなかったが
無理をして
心配そうな母親と一緒に参加
その時のことを
夢に見た
嬉しそうに
土産を買う彼に
誰も声をかけたりは
しなかった
私は夢の中で
思いだしていた
彼の母親と話したことを
これが最後かもしれない
と母親は言っていた
もっと
ちゃんと話せば良かった
私は長いあいだ
胸につかえていた
言葉を思いだした
彼が学校行事に参加したのも
学校に登校したのも
本当に修学旅行が最後になった
夢の中で私は彼に話しかけようと
手を伸ばしたが
私はどんどん天空へ上がって
そのまま目が覚めてしまった
出来なかった現実は
変えられない
ということだろうか
誰も彼の最期を知らない
(了)

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