「悩み」を消さない香りの話
香りの仕事をしていると、よく「癒し」という言葉で括られます。
でも私のサービスには、「癒し」ではなく「ブランディング」という名前がついています。
香りなのに、ブランディング。
少し不思議に聞こえるかもしれません。なぜそう名乗ることにしたのか、今日はその話をさせてください。
はじまりは、実店舗のサロンだった
私はもともと、サロン・スクール・ショップを構えた実店舗で、香りを使ったサービスを提供していました。
来店されるのは、ほとんどが何かしらの「マイナス」を抱えた方です。体の不調、心の悩み、環境とうまく噛み合わない感覚。それを解消したくて、扉を開けてくださる。
そのとき私達がしていたのは、解決策を差し出すことではありませんでした。
植物・・精油との橋渡し役。お客様が、悩みの種や根幹にご自身で気づけるよう、植物を届ける。それだけです。
約1万件の施術が、教えてくれたこと
担当した施術が、約1万件に達した頃、ひとつの事実が見えてきました。
お客様と植物の間で起きる変化は、施術前後の反応も、ご本人の受け止め方も、千差万別だということ。
不調や悩みに対応する香り選びには、「統計」「成功例」が当てはまらない。
「人それぞれ、その時々」——それ以外に言いようがないのです。
だから私は、決めました。教科書的なカテゴリや他人の成功事例ではなく、その人が今まさに感じていること、どう変わりたいのか。その課題と要望に、完全カスタムメイドで応えると。
「悩み」は、問題ではなく踊り場だった
施術を重ねるうちに、もうひとつ、法則のようなものが見えてきました。
お客様が訴える「悩み」や「不調」。
それは、消し去るべき問題ではない
——停滞は、次のステップへ上がるために浮上してくる、踊り場のようなものだ、ということです。
リセットしたい。広げたい。もう一段、上に行きたい。
無意識だったとしても、人はその手前で、決まって何かしらの不調を抱えるのです。
この気づきは、香りの選び方そのものを根本から変えました。

「ゼロに戻す」のではなく、「プラスへ跳ぶ」。
この切り替えに、私は「香りブランディング」という名前をつけました。
マイナス万歳
少し逆説的な話をします。
「何者かになりたい」と、ゼロの状態から訪れる方より、具体的な痛みや不調を抱えてくる方のほうが、香りの成果は出やすいのです。
マイナスの輪郭がくっきりしているほど、プラスへ向かう方向も、はっきり定まる。
だから私は、マイナスを歓迎しています。
それは消すべき欠点ではなく、その人が今どこへ向かいたいのかを教えてくれる、いちばん正直な羅針盤だからです。
香りブランディングとは、
その人がその時に気づいた Identity (個性才能)を、香りを通して Brushup(研磨し光を当てる) お手伝い。
マイナスは、消すものではなく、次のステージへの入口。
だから香りは、私のなかで「癒し」ではなく「ブランディング」になりました。
最後に・・・
マイナスは消すものではなく、それを使ってプラスに転じることができる。この「マイナス万歳」という考えは、植物の香りが私達にくれる「ギフト」のようなもの。理屈が先にあったのではなく、お客様お一人おひとりが、その時々に教えて下さったこと。お客様と植物への恩返しとなるよう発信し続けたいと思っています。
香りを流すのではなく、企業の本質を香りに翻訳する。
20,000件の臨床から生まれた、香りブランディング。
