なんでも描ける人が、描けなくなることがある

アニメやゲームの背景美術などに長年携わり、魔法のようにさくさくと、かっこいい絵が描ける人がいます。
「描くときに迷いがない人」
私はずっと、そんな人に憧れていました。沢山練習もしました。
しかし驚いたことに、熟練の背景美術の方々の中から、かなりの頻度で、
「別に絵を描くことは(もう)好きではない」とか、
「自分が本当に描きたい絵がわからない」という声を聞いたことがあります。
こんなになんでもさくさく描けるようになったのに⁈とびっくりしました。
それを考えると、私は技術を最高レベルまで高めることができなかったことで、逆に、自分の表現にエネルギーを転換できたのかもしれず、それはもしかしたら幸福なのかもしれない、と思いました。
なんでも描けるということは、瞬時に正解を判断できるということですが、寄り道ができなくなるのかもしれないです。
寄り道ってなんでしょう?
自分の意思で正解から降りて、予定になかった驚きと偶然に出会いにいくこと、でしょうか。
私にとっては、それが、抽象画でした。
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