抽象画って、どう見たらいいの?
この質問に答える前に、私の思い出話をひとつ。
私の母も、アートや音楽の好きな人ですが、私が子供の頃、一緒に美術館で作品を見る時に、「この中で家に連れて帰れるとしたらどれ?」と選びながら観るという遊びをしていました。
これは、どんな巨匠の作品でも自分の感覚に引き寄せて見ることができますし、一緒に鑑賞している相手と意外な好みの違いを見つけたりして、それについて話し合うこともできますし、とてもおすすめです。
本題です。
作家としての私に、
「この絵、何を表現されてるんですか?」
というのはよく聞かれる質問です。
正直に答えると、説明できる作品と、できない作品もあります。
説明できるものは、丁寧に説明します。ただ、絵の全部を言語で説明できると思えませんし、それは私が描いた時の感覚であり、見ていただく方と共鳴できるのはとても嬉しいことですが、全く違う視点から私の想像を越えた何かを見つけていただくのも、とても嬉しいですし楽しいです。
「正解」を探さなくていいことが、抽象画の自由さであり、面白さなんです。
現代アートには、作家の意図や美術史の文脈を知らないと作品の意味にたどり着けないものも存在します。
でも、少なくとも私の描いている抽象画は違います。手ぶらで大丈夫です。
色、形、線。それを見て、あなたが何を感じるか。それを大切に。
それに、必ず何かを感じなくてはならない、ということもありません。
私自身も、他の作家の作品を鑑賞しても、なにも感じられない時もあります。
そんな時は、なにも感じないあなたを感じてください。
抽象画を楽しむいくつかのヒントを書いてみます
1. 「何に見えてもいい」と自分を許す
私自身、自分の絵すら、「今日は希望を感じる」「今日は寂しい感情を感じる」など、その時の気分で見え方が変わります。あなたがその時感じたことが、正解です。
2. 「好き」をひとつだけ見つける
全部を理解しようとしなくていい。「この青色がきれい」「この線の勢いが気持ちいい」。ひとつでも心に留まる部分があれば、その作品との出会いは成功です。
3. 「色や線などの対話」を眺める
私の絵に関しては、ですが、色や形、線といった要素同士の「対話のラリー」が画面に現れています。強い色の後に薄い色、激しい線の横に静かな余白。その対話を想像して感じていただけたら嬉しいです。
4. 「自然現象」を眺めるように見る
これは私が他の作家の作品を鑑賞する時に、よくやっていることです。
水彩絵の具が混ざり合う様子、偶然生まれた模様。木の皮や落ち葉や水の流れを眺めるように、画面の「質感」や「色の重なり」をただぼーっと観察してみてください。自分の奥深くから、何かインスピレーションを得られるかもしれません。
次に抽象画を見る機会があったら、ぜひ、この話を思い出してみてください。
今までより少しわくわくして、自分の奥深くの忘れていた感覚に出会えるかもしれません。
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