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小野不由美「残穢」

一人の女性のとある怪異現象に惹かれ、筆者がその女性と共にその現象解明に努めていくシーク&ファインド。

ドキュメンタリータッチで小さな怪談が綴られる。
「穢れ」は発生すると次々に移り行くという。ただし、呪いとか祟りとは違うものである。

『延喜式』に「触穢」の説明があり、そこに「甲乙丙丁展転」という「穢れ」の広まり方が説明されている。
死穢の起こった甲の家を乙が訪ねると乙家の家族に「穢れ」がうつり、乙家を丙が訪ねると丙自身に「穢れ」がうつる。丙の家に丁が訪ねると……もう「穢れ」はうつらない。
服喪や浄化、また時間の経過によって「穢れ」はその力を薄められ、やがて消えるとのことだが、それでも残るもの、それを「残穢」と称してこの小説のモチーフにしている。

最初の怪異現象はマンションの一室で起こった畳を擦る音くらいである。しかし、なくならない。そのため解明を進めるうちに、様々な怪異現象がその周辺で発生していたことが判明してくる。

その判明とともに、その女性と筆者に「残穢」が降りかかってくるのである。
さまざまな人たちの手によって怪異現象が露わにされていく。「残穢」の源流に向かって調査が進む。

終盤、とんとん拍子に謎が解き明かされてくるが、それが納得しやいものになり、途端に恐怖感が弱まった。様々な場所で「穢れ」が怪異現象を起こしているが、その大元がわかってしまったから。
謎の解明もよくできたミステリや純文学のように、読者がしっかり読み解かないと分からないように表現されていた方が楽しめたかもしれない。

何と「穢れ」の大元は北九州にあったのである。

20250328

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