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【S2|生命とデザイン】デザインは、地球の意思を聴くことから始まる #2

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第2章 腸と腹の記憶

子どもの頃に見た、ミミズやゴカイののたうつ姿。そこに私は「生き物の意思」を感じた──。腸の存在と腹の感覚が、私の生命観とデザイン観を形づくっていく。

腹で決めるという感覚
私は昔から「腹で決める」ことを大切にしてきた。頭でいくら理屈を積み上げても、最後は腹の奥がYESと言うかどうか──それが私の判断基準だ。この感覚は、父から受け継いだ「血」と同じくらい確かなものだと思っている。

腸から始まる生命の物語
そんな感覚のルーツをたどると、子どもの頃の自然体験に行き着く。ひとりで釣りに出かけ、川や海をじっと観察した。水の中には目に見えないつながりがあって、そこから生命は始まったように感じた。腸のような管が栄養を運び、生命を支える──そんなイメージが自然と浮かんでいた。

ミミズとゴカイの衝撃
ある日、釣り餌にするためミミズやゴカイを切ったとき、強烈な印象を受けた。体を切っても、腸のような管がまっすぐ通っていることに気づいたのだ。そして何より衝撃だったのは、その瞬間、彼らがまるで痛みや恐怖を感じているかのように、のたうち回ったことだった。小さな体全体が波打ち、ねじれ、必死に何かから逃れようとしているように見えた。その動きには感情や意思のようなものが確かに宿っていた。

科学が追いついた瞬間
この「生命は腸から始まった」という感覚は、大人になっても私の中で生き続けてきた。そして最近になって、現代の科学がこの考えを支持しつつあると知った。原始的な生命は腸のような消化管を持つ形から進化した、という説が有力になりつつあるのだ。その記事を読んだとき、私は「やっぱりね」と心の中で頷いた。子どもの頃に感じた直感が、科学的な裏付けを得たようで、静かな喜びがあった。

腹で感じる選択と転機
この感覚は、仕事や人生の選択のときも私を導いてきた。振り返れば、腹がYESと言った道を選んだとき、大きな失敗につながったことはほとんどない。それは偶然ではなく、腸のように生命を維持する「見えない判断軸」が私の中で機能しているからだと思う。

デザインにおける腹の役割
デザインの現場でも同じだ。理論やデータは重要だが、最終的に「これはいける」と腹で感じられるかどうかがすべてを決める。腹で決めるというのは、感情だけで突っ走ることではない。知識や経験、直感が積み重なった末に、最後の一押しをする“起爆スイッチ”のような役割を果たすのだ。
このスイッチが入らないと、どれだけ見た目が整っていても魂の入らないデザインになる。逆に、腹がYESを出したデザインは、たとえ粗削りでも人の心を動かす力を持つ。それは腸が生命活動の中心であるように、腹の感覚がデザインの生命力を生み出す中心だからだ。

次回予告
次回は「無機物に宿るかたちと意思」。
鉱物や波、雲といった“命なきもの”に私が感じた意思と、そのかたちが教えてくれるデザインの本質について語る。 第3章を読む ▶

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