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新年は古代ギリシャと過ごす一週間 - 神話から歴史へ、静かなプロローグ

ここロサンゼルスでは、クリスマスあたりから雨続き。しかも12月にヨーロッパで引いた風邪以来まだ体調が完璧でないまま新年を迎えた。そんな新年の1週間は家で読書に限る。

ということで、今年最初に読んだのが阿刀田高さんの『私のギリシャ神話』。ギリシャ神話について今まで少しは読んできたけれど、登場人物(登場神様)が多いのと、その神様たちの奇天烈な行動が目に余って、なかなかじっくりと読めてこれなかった。それに時代や場所の変遷で内容が変わったりして違うバージョンがいくつもあると、真面目に読もうとする人間にとっては訳がわからなくなってくるのだ。日本の神話や昔話にも同じような取っ付きにくさがあるけど、ギリシャとなると名前や地名が覚えにくくて日本のお話よりは数段と難易度が高くなる。
そこで手にしたのが(というかKindle版なのでダウンロードしたのが)阿刀田高さんの『私のギリシャ神話』だった。読みやすくて楽しくてすぐに終わった。各章のタイトルを見ればどの神様のどんなエピソードなのか一目瞭然で、何を読んでいくのかわかって安心する。「アフロディテは本来は海浜の民族の守護神であり、、、」というように、神や女神についてギリシャ以前の土地との関連にも触れられているため、ギリシャが大きな世界の歴史の流れの一部という感覚が持てたのが新鮮だった。
阿刀田さんがピックアップされた話だけなので、この一冊がギリシャ神話すべてを網羅している訳ではないけど、初心者には十分の量だ。

阿刀田高著「私のギリシャ神話」

この本で気をよくしたので、もっと阿刀田さんのギリシャ関連の著書を読みたくなった。そこでローマとギリシャの英雄たち(黎明編)』『ローマとギリシャの英雄たち(栄華編)』『ホメロスを楽しむために」と次々とダウンロードした。更に、ヘロドトスの歴史上中下、松平千秋訳だけではなくトゥキュディデス歴史上下、小西晴雄訳まで。すべての本を几帳面に最初から最後まで読むのではなく、拾い読みしたいから、何冊も購入してしまう。文庫本なので高額にはならないから良しとしよう。

Dominic Haynes著「Brief History of Ancient Greece」

日本語の著書をダウンロードして安心して、次に進んだのが英語本のDominic Haynes著Brief History of Ancient Greece。しかもAudiobookとKindleの両方で。Audiobookを1.2倍速のスピードに設定し、それに合わせてKindle版を読むという新しいインプット方法を試みた。この本は歴史を淡々と綴っている形体なので、ともすると眠気が刺してくる。そこでこのAudiobookの、早すぎない遅すぎない1.2倍速のスピードに合わせてKindleの文字を追っていくやり方だと、最後まで緊張していられる。走りながら理解していくという状態だ。人物名や地名が英語発音だとわからなくなるので、文字を見て確認できるというメリットもある。
この古代ギリシャの歴史を俯瞰してみて、あらためてミノア文明が好きで、さらにアレキサンドロス以後のヘレニズム文化が好きだと再認識した。

クノッソス遺跡の牛飛び儀式の図

古代ギリシャ全体をカバーする著書では、ミノア文明については記述が少ない。もともと資料が少ないからでもあるかも。使われていた線文字Aは解読されていないし、ミケーネ文明に取って変わってからは、戦い関連の発掘品は多いが、ミノア文明特有の女性的な地母神崇拝的な平和だった時代を彷彿させるものは発掘品になくなる。でもDominic Haynes氏はミノア文明をヨーロッパ最初の高度文明と位置付けしてくれている。クレタ島で見たクノッソス遺跡は、建物の一部や壁画は復元されたもので、その遺跡の後期はミケーネの支配下にあったが、ミノア文明を象徴するものだ。あの優雅な壁画の宮殿で牛飛びの儀式やらヘビを操る女神を祀ったりしていた人たちが、交易で栄えた街を築いて平和に生きていた時代があったことに想いを馳せることができる神聖な場所だ。あの文明に憧れる。

そして歴史書は戦争と政治の話になる。常に戦争状態、でも内部対立が文化を推進したという。古代ギリシャは「理想郷」ではなく、矛盾を抱えた文明として見ると、人間らしさがすごく伝わってくる。

サマトラケのニケ

アレクサンドロス大王の遠征が終わって戦争は一段落し、大帝国になったギリシャで花開いたのが、ギリシャ文化とオリエント文化が融合したヘレニズム文化ということになる。栄えていたポリスが勢力をなくし、ポリスの頃には戦争で対立していた国が大帝国の一部となって、そこの異なる文化とも融合して発展していったのがヘレニズム文化。融合はアレクサンドロスが望んだことでもあった。そしてこれが後の西洋文化に多大な影響を与えた。

神話の象徴を楽しんで、史実もざーっと復習したことで、3月に予定している三度目のギリシャ旅への知的な旅のプロローグが始まった。ダウンロードしたギリシャ関連の書籍はまだまだある。読書は続く。長いプロローグが始まったのだから。

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