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北方中佐クミタ・グロリア✖️軍部特別顧問カオノルド・セバスチャン【A4シネマ スピンオフ】

A4シネマのその後…エーデルシュタイン軍幹部、反省会

こちらは、桜吹雪さんによる音声ドラマシリーズ「A4シネマ」のスピンオフ台本です。2つのお話をもとにした番外編となります。


登場人物

  • クミタ・グロリア(北方の中佐) cv. Cumin
    推定身長:173cm前後 / 推定年齢:40代半ば 人望厚き女騎士。
    北方の大佐レオを支える姉御肌。健康的な肌と赤い目、ナイスバディ。バツ〇の恋多き女性だが今は独身。面白い男が好きらしい。常に体がうずうずしている。
    *一口メモ:年頃の女子を見つけるとすぐにレオに紹介するのがもはや趣味。甘える部下達を踏むのも、元気な男を笑顔で引っぱたくのも趣味。タダで縛ってはやらない。

  • カオノルド・セバスチャン(軍部特別顧問) cv. かおるん
    推定身長:175cm前後 / 推定年齢:40代後半〜50代前半 元は最前線に立っていた女騎士。早い段階で一線から退き、後進育成に力を注ぐ軍の重鎮。軍幹部のメンタルケアと私生活への監視(お節介)が趣味。
    *一口メモ:強い男の弱音は酒の肴らしい。可愛い女の悲鳴も酒の肴らしい。残念ながらドSの自覚がない。


設定

場所:北方の宿、カオノルドの部屋(夜)

カオノルド・セバスチャンはこの日、北方に出向きレオ・ハスラーの執務室にてレオと会談。その後宿に戻ったところに、クミタ・グロリアが訪ねてくる。


テキスト版

宿の部屋。カオノルド、椅子にどっかりと座り靴を脱ぎながら独り言——

カオノ:「ふぅ…。まあ、今日のところはこんなもんか。しかし、あの男は本当に手強いな」(杯に酒を注ぎながら)

カオノ:「縁談書類を渡してやったが…『不要だ』の一言で終わるとはな。まったく」(くっと飲み干す)

カオノ:「あれほどの器の男が…『愛』だけは受け取れんか。不器用にもほどがある」

トントン、と扉を叩く音(クミタ)

クミタ:「カオノルド、私だ。起きてるか?」

カオノ:「おっ、クミタか。開いてる、入れ」

クミタ:「悪いな。…ずいぶんくつろいでいるじゃないか」

カオノ:「北の酒は辛口で良いね。お前も飲むか?」

クミタ:「いただこう。…おぉ、食べものもあるのか」

カオノ:「北方の宿は、飯もボリュームがあって良い、一人じゃ食いきれなかった。ちょうど良かった。酒の肴だ」

クミタ:「そうだな。…で、どうだった。レオ・ハスラー大佐は」

カオノ:「やはり、手強い。執務室に入り込んでレオの会議が終わるのを待っていたのだがな…。あいつ帰ってきてドアを開けた瞬間に、踵を返して廊下に逃げおった。いやぁ、反応が早い。さすが大佐だ」

クミタ:「ったく。それで?」

カオノ:「縁談書類を渡した。お前と一緒に厳選したやつ」

クミタ:「反応は」

カオノ:「『グロリア中佐と酒でも飲みながら悪ノリで決めたのだろう』だと」

クミタ:「…バレてた?」

カオノ:「バレバレだった」

クミタ:「あいつが勘が良すぎるんだ…」

カオノ:「で、『俺の隣に嫁がいる想像がつかん』と来た。『誰かを置いたとして、そこに待つのは相手の不幸しか見えない』とも」

クミタ:「…また、そのセリフか。何度も聞いたよ。あの男はそこだけは一切ぶれない。お!それは最後の一切れ《氷魚(こおりうお)の塩辛》~!」

カオノ:「ああ?これがあるから北方出張は嫌いじゃない」(ぱくっと食べてしまう)

クミタ:「あ、あ~…(半分くやしそうに)名物だしね。氷の下でしか獲れない魚で、こちらでもなかなか手に入らないのよ」

カオノ:「つくづく美味しいわねえ」

クミタ:「そういえば、あの純粋培養の能天気姫!その後レオとの進展はないのか?」

カオノ:「ん~。最近は聞かないわね。あの、ラヴィ姫官能小説朗読事件が、あまりにも衝撃的だったからねえ。それを上回る話は未だに、ないわ~」

クミタ:「ラヴィちゃんも、北方に遊びに来ちゃえばいいのに…」

カオノ:「あの姫の護衛は…面白いのだが、苦労も尽きないだろうな」

クミタ:「…まったく、あのお姫様は底が知れない」(笑いながら肴を口に放り込む)

カオノ:「レオは結構ラヴィ姫に出くわすよなあ。あいつ、嫌ならとっくに距離を置いているはずだぞ」(ふと、真剣に)

クミタ:「………そうね~」

カオノ:「無自覚なんだろうね、お互いに」

── 少し間。杯を飲み干して ──

クミタ:「そういえば……あんたの旦那は今回ついてこなかったのか?」

カオノ:「来たがっていたがな。…断った」

クミタ:「なぜだ。あの人、北方には一度来てみたいと言っていたではないか」

カオノ:「仕事についてきて、ついでにのろけられてみろ!私の立場がないではないか!」

クミタ:「…また始まるのか、例の…『彼女は本当に美しい、強い!そしてセクシーだ、ああ俺は幸せ者だ…』(笑)」(既に笑いをこらえている)

カオノ:「真似るな」

クミタ:「また聞きたいな」

カオノ:「ついこの間の軍のパーティでは、それだけでは済まなかった。…私に、この私に、プリンを食べさせようとしたのだぞ!」

クミタ:「プリン?」

カオノ:「プリン。」

クミタ:「それって…あの…あーん!ってやつか?」(笑いをこらえながら)

カオノ:「そうだ」(静かに、しかし確かに)

クミタ:「あははははははは!!!」(完全に笑い崩れる)

カオノ:「笑うな!!あの場にいた全員が凍り付いたさ!!しかもそのあとで皆、ひきつった笑いを浮かべた!!」

クミタ:「そりゃあ笑う!!カオノルド特別顧問があーん!!」(涙を拭いながら)

カオノ:「だから連れてこなかったんだ!!北方の軍幹部にそれをやられてみろ!!レオの前でそれをやられてみろ!!二度と顔を見せられん!!」

クミタ:「……いや、でも」(笑いを収めながら)

カオノ:「なんだ」

クミタ:「あーんをされた時、お前はどうした」(にやにやしながら)

カオノ:「あ………」(沈黙)

クミタ:「ん?………」(待つ)

カオノ:「………食べた」(蚊の鳴くような声で)

クミタ:「はははははははは!!!!」(再び爆笑)

カオノ:「うるさい!!誰だって食べるだろう!!その場の流れというものがある!!」(顔が真っ赤)

クミタ:「流れで食べるか、あーんを!!」(笑いが止まらない)

カオノ:「食べるんだよ!!あの男が満面の笑みで差し出してくるんだぞ!断れるか!!」

クミタ:「……幸せそうだな、お前」(笑いながら、でも少し優しく)

カオノ:「………うるさい」

クミタ:「いまだにそうなのか」

カオノ:「実は……幸せだぞ、クミタ。本当に」(観念したように、静かに)

クミタ:「……お前がそれを言うか」(苦笑い)

カオノ:「私が言うから価値があるんだ。……ところでクミタ、お前は今どうなんだ。今年はお前の番のはずだが」(急に鋭い目になって)

クミタ:「番(ばん)、とはなんだ、番、とは」

カオノ:「とぼけるな。誰かいるのか?」

クミタ:「……いない」

カオノ:「ほう」(じっと見る)

クミタ:「……今は、いない」(視線を逸らす)

カオノ:「今は、ね。そうなんだ、なるほど~」(にやにやが止まらない)

クミタ:「やめろ、その顔を」

カオノ:「手を出してはいない、が……誰かにアプローチされているのか」

クミタ:「……なぜわかる」

カオノ:「わかるわかる。お前の顔に書いてある。どんな男だ」(完全に前のめり)

クミタ:「…変な男だ」

カオノ:「変な男?」

クミタ:「毎日来る。用もないのに来て、私に踏まれて帰る」

カオノ:「………踏まれて?」

クミタ:「そうだ。最初は邪魔だから踏んでやったんだ。そしたら翌日また来た」

カオノ:「ほう」

クミタ:「また踏んだ。また来た」

カオノ:「ほうほう」

クミタ:「引っぱたいても来た」

カオノ:「で、その男、強いのか?」(笑いを収めながら)

クミタ:「……かなりのものだ。踏まれても動じない」

カオノ:「で、面白い男か?」

クミタ:「………かなり。踏まれながら平然と世間話をしてくる。『今日は天気が良いですね、中佐』とか」

カオノ:「はははははは!!どんな神経だ!!」

クミタ:「笑い事じゃない。私もどんな顔をすれば良いのかわからなくて…気づいたら世間話に答えていた」

カオノ:「お前が!!踏みながら!!世間話を!!」

クミタ:「うるさい!!気づいたらそうなっていたんだ!!」

カオノ:「まんざらでもないようだな」(笑いを収めて)

クミタ:「それが、この間突然に…」

カオノ:「どうした~?」

クミタ:「……踏まれながら、いつものように世間話をしていたと思ったら……『貴方にプロポーズしたいのだが。何か条件はあるのか?』と」

カオノ:「……踏まれながら言ったのか」

クミタ:「踏まれながら言った。しかも顔色ひとつ変えずに」

カオノ:「…………、それは強い」(真顔で)

クミタ:「強い!!あまりに堂々としていて、私が……」

カオノ:「お前が?」

クミタ:「………思わず踏む足を止めてしまった」(悔しそうに)

カオノ:「はははははははは!!!!」(再び爆笑)

クミタ:「笑うな!!不覚だった!!まさかあの状況であんな言葉が出てくるとは思わなかった!!」

カオノ:「で、お前はなんと答えた」(笑いながら)

クミタ:「………返事は保留にした」

カオノ:「保留か!!」

クミタ:「他にどう答えろというんだ!!あんな状況で!!」

カオノ:「…………クミタ」

クミタ:「なんだ」

カオノ:「お前、もう落とされてるぞ」

クミタ:「………黙れ」

カオノ:「足を止めた時点でもう終わりだ」

クミタ:「………わかってる」

── 少し間。二人、しみじみと杯を傾ける ──

カオノ:「……ところでレオ・ハスラー大佐だがな」

クミタ:「ああ」

カオノ:「種は蒔いた。あとはゆっくりと、な」

クミタ:「……ゆっくりと。……しかしあの男、本当に鈍いな」

カオノ:「鈍い。あれだけの男が、愛のことになると途端に石になる」

クミタ:「石どころか岩だ。北方山脈の絶壁より硬い」

カオノ:「ははは。……今宵も一人で酒を飲んでるのかね~」

クミタ:「全くだ。誰かと二人で飲むという発想がそもそもないんでしょ」

カオノ:「二人で酒を飲む幸せを、あいつはまだ知らない」(しみじみと)

クミタ:「……教えてやりたいものだな」

カオノ:「ああ、寒がりのくせに、北方に配置されてしまったレオになぁ」

クミタ:「そうだ。冬場は執務室に火鉢を三つ並べている」(急にリアルになって)

カオノ:「三つ!!」

クミタ:「それでも寒いと言う」

カオノ:「……誰かに温めてもらえば解決するんだがな」

クミタ:「本人にその発想は死んでもない」

カオノ:「はははは!!まったく!!」

クミタ:「全く!!」

── 二人で笑いつつ、杯を傾ける ──

カオノ:「……良い夜だ、クミタ」

クミタ:「ああ。……良い夜だ」

カオノ:「また飲もう。次はレオも連れてこい」

クミタ:「あいつが来るわけがないだろう!!」

カオノ:「しもべのくせに…」

クミタ:「みょうがの酢漬けで釣れるかもしれん」

カオノ:「…………釣れるかな」

クミタ:「釣れなかったら、お前の旦那を連れてこい。プリンを持参でな」

カオノ:「お前という奴は!!」(笑いながら杯を投げつけるふり)

クミタ:「はははは!!」

── エンディング曲開始。それに重ねて、くだらない雑談をする二人 ──

(終わり)


音声版

stand.fm:https://stand.fm/episodes/69f8152463d1f65806b94539
18:00から


スピンオフ脚本:奥村薫
A4シネマ原作:桜吹雪(にわか両声類)

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