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GUILTY&FAIRLY 『紅(あか) 別の世界とその続き』著 渡邊 薫    


 

第一話 似た世界


僕は、別の世界から扉を通って、この世界に来た。

全てが似ているようで似ていない世界。

僕の一番大切な人がいない世界。 

僕はリリーを失って、この世界に茫然と立っていた。

 

 夕焼けに染まった空は赤く輝いていた。

僕は、森にあった異世界へと繋がる扉を抜けて、ずっと歩き続けた。

すると街が見えた。

夕日がその街までも赤く輝かせていた。

街の方に近づいてみると、僕の住んでいた世界なのかと見間違えるかのように似た街並みがあった。

知っているお店や家がずらりと並んでいた。

だけど、少しどこか違和感を覚える。

行く場所もなく、僕の世界と似た街並みを歩きながら、元の世界では自分の家が立っていたはずの場所に向かった。

 

 

……本当に自分の家とそっくりな建物がそこにあった。……けれど、ドアの色が赤だった。

僕の家のドアは青のはずだ。

この家はどうなっているのか。誰が住んでいるのか。

ベルを押してみようかどうしようかと迷い、家の前に立ち尽くしていた。

すると、後ろから聞き覚えのある声で、話し掛けられた。

「ジャン、何をしているの?」

まさか。と思いながら振り返った。

——そこには、いるはずのないリリーが立っていた。

いや、リリーだけれど僕の知っているリリーではない。

あちらの世界から、こちらの世界へと繋がる扉を通る前に、僕と一緒にいた妖精のリリーは、僕の手のひらほどの大きさだった。

そうだ、彼女は妖精だったはずだ。

 

今、僕の目の前に立っているのは、僕より少し背の低い人間の大きさのリリーだった。

大きさと、羽がない以外は見た目も声も、リリーそのものだった。

僕は、混乱と疲れからかそのまま気を失って倒れてしまった。


GUILTY&FAIRLY  『紅 別の世界とその続き』(渡邊 薫 著)
全てはある妖精に出会ったことから始まった。
これは、はたして単なる冒険の物語だろうか。

異世界への扉。パラレルワールドに飛び込むことが出来たなら、どうなるのだろう。
自分自身はどう感じ、どう行動していくのだろう。
あるはずがない。
凝り固まった頭では、決して覗くことのできない世界。 https://a.co/9on8mQd
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