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#148 「私さえ我慢すれば」で続く恋愛は誰のためなのか

「私がもう少し我慢すれば、丸く収まる」

そう思って続けた恋愛ほど、最後は一番大きく壊れる。

辛口ペンギンから先に言う。その恋愛は、相手のためでも、愛のためでもない。

「別れる勇気を持てない自分」を守るための恋愛になっている。

ここまでは、聞いたことがあるかもしれない。

だが今日は、もう一歩踏み込む。我慢を「健気な自己犠牲」だと思っているあなたに、真逆の見方を提示する。

あなたの我慢は、彼への「優しい嘘」である。

我慢は報われない。「基準」になるだけだ

まず前提を短く済ませる(詳しくは#136で書いた)。

男は我慢してくれる女に感謝を積み立てない。基準を更新する。

連絡を後回しにしても許される。約束を破っても機嫌を直してくれる。何度傷つけても離れない。

男の頭の中でそれは「感謝」ではなく、「この子はこういう人」という標準装備として記録される。だから我慢は報われない。むしろ扱いの相場を下げる。

——ここまでが既出。ここからが本題だ。

新視点①:黙る我慢は、彼に「偽のデータ」を渡し続ける行為

こんな見方をしたことがあるだろうか。

彼は、あなたが渡す情報をもとに、この関係の意思決定をしている。

あなたが笑えば「問題ない」。あなたが怒らなければ「今のやり方でOK」。あなたが黙って我慢すれば——彼のもとに届くデータは、「この関係は良好」だ。

つまり、黙って我慢することは、誠実でも献身でもない。

彼に偽の関係データを渡し続ける、優しい嘘である。

彼は偽のデータで経営判断をしている会社の社長と同じだ。赤字なのに黒字の帳簿を見せられている。改善しないのは当然だ。改善すべき問題が、彼の帳簿には存在しないのだから。

あなたは我慢することで、彼から「関係を直すチャンス」を奪っている。

浮気相手より、嘘つきな男より、この関係を静かに、長期間、騙し続けているのは——我慢しているあなたかもしれない。

実例:彼は「忙しかった」のではない。「覚えた」のだ

付き合って4年。彼は仕事を理由に会う回数が減った。LINEは一日一通。誕生日も仕事。

彼女は「今は忙しいだけ」「私までワガママ言えない」と支えた。

一年後、彼の仕事は落ち着いた。だが会う回数は増えなかった。

なぜか。忙しかったからではない。

その距離感で付き合えることを、覚えたからだ。

男からすれば「これで成立してたじゃん」。改善する理由がない。女だけが「あの頃を取り戻したい」と思い、男には取り戻すものがない。今が普通だからだ。

彼女の一年の我慢は、彼の帳簿に「現状で満足」と記帳され続けた。嘘のデータは、確実に経営方針に反映されたのである。

新視点②:あなたの恋愛にあるのは「平和」ではない。「静けさ」だ

「でも、うちは喧嘩もないし、平和だから」

ここで、うなってほしい視点を出す。

平和と静けさは、違う。

平和とは、対立が解決されている状態だ。静けさとは、声を上げる人がいないだけの状態だ。

戦争がない国と、反対意見が言えない国。外から見れば、どちらも静かである。

あなたの恋愛が静かなのは、問題がないからか。それとも、問題を口にする人が検閲されているからか。——検閲官が彼ではなく、あなた自身だとしても、静けさの正体は同じだ。

男はこの静けさを「平和」と誤読する。「最近文句減ったな」「落ち着いたんだ」——女は限界、男は平和。

同じ関係の中で、二人は別々の恋愛を生きている。

新視点③:突然の「もう無理」は、彼にとって「無実の解雇」である

我慢の末路は決まっている。ある日突然、「もう無理」。

男は驚く。「そんなに嫌だったの?」

女は怒る。「ずっと我慢してた!」

ここで、あえて彼側の視点に立ってみてほしい。

彼から見れば、昨日まで笑っていた。旅行にも行った。電話もしていた。査定面談も、警告も、改善要求も、一度もなかった。

つまり彼が受け取ったのは、理由を告げられたことのない、突然の解雇通知だ。

もちろん男にも責任はある。だが「あんなに我慢したのに」が彼に一切通じないのは、彼が鈍感だからではない。

あなたの我慢が、あなたの言い分の証拠を、全部消してしまったからだ。

伝えなかった我慢は、別れの瞬間にすら、あなたの味方をしてくれない。自己犠牲は最後、自分の正当性まで犠牲にする。

それでも一番危険なのは「優しい彼」

モラハラ男だけが危険なのではない。

むしろ長引くのは、怒らない、責めない、でも何も変えない男だ。

「ごめんね」「分かってる」「今度ね」——この三つだけで一年が過ぎる。

女は希望を見ている。男は現状維持をしている。悪気がないから、余計に長引く。

優しさと変化は別物だ。謝罪が上手な男と、行動を変える男を、混同するな。

女性側の最適解

1. 我慢をやめる前に、「帳簿の修正」から始める

いきなり別れなくていい。まず、彼に本当のデータを渡す。

「察してほしい」ではなく、「私は、こうされると悲しい」と具体的に。これは文句ではない。彼の帳簿の粉飾を、あなたが訂正する作業だ。

2. 訂正は一度でいい。あとは行動を見る

同じ話を何年もするな。恋愛は説得する場所ではない。正しいデータを渡された後の、相手の行動を見て判断する場所だ。

正しい帳簿を見ても経営を変えない社長は、能力ではなく意思の問題である。

3. 判断基準を「我慢メーター」から「発言メーター」に替える

「これくらい我慢できるか」で測るな。測るべきはこっちだ。

最後に本音を言ったのは、いつか。

そして、笑顔より我慢の回数が多くなった恋愛は、続いているのではない。

止まっている。

最後に

「私さえ我慢すれば」で続く恋愛は、誰のためでもない。

別れを恐れる自分を安心させるためだけに、延命された関係だ。

我慢は、麻酔に似ている。痛みは消える。だが麻酔は治療ではない。効いている間に、病気は進む。

恋愛は、どちらか一人が黙って耐えることで完成するものではない。

お互いが安心して本音を言えなくなった瞬間——

その恋愛は、静かなまま、終わりに向かっている。

辛口ペンギンでした。

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