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推理探偵|「浦島太郎」の謎を逆引きで解読する~なぜ太郎は死なねばならなかったのか

私は「アームチェア・ディティクティブ」を休日の趣味としている。日本語なら「安楽椅子探偵」。現場に行くことなく、事件を解決する探偵だ。


「うなぎ屋」に入って、「うな重」を注文した。
出来上がりを待つ間、ふと店の本棚に目をやると、「浦島太郎」の絵本が置いてあった。なんとはなしに手に取って読んでみたが、実に不思議な話だ。

「太郎が、苛められてたカメを助けたら、
数⽇後にカメが現れて⻯宮城に連れて⾏ってくれる。
⼄姫さまに歓待を受けて楽しい時間を過ごし、
お土産に『開けてはならない』と言われて⽟⼿箱を渡された。
家に帰ってみると、百年以上も過ぎていて、誰も知っている⼈はいない。
⽟⼿箱を開けたら、⽩髪のおじいさんになってしまった」

なぜ、カメを助けたのに、最後は孤独なおじいさんになるのか?

恩返しの結果がこれだ。
カメを助けなければ、「普通の人生」を暮らせていたのだ。
どうにも腑に落ちない。

だから、「うな重」が運ばれてくるまでの間、この謎について考えることにした。

まずは、因果関係の整理からだ。


はじまりは「カメを助けるという善意の行動」。
結末は「知り合いが誰もいない場所で、おじいさんになるという悲劇」。「善意」が「悲劇」をもたらす構造になっている。

たいていの昔話には、なんらかの教訓が含まれているものだ。
その前提で考えれば、この物語にもスジが通った流れがあるはずだ。

善意の結果が、悲劇になる」という物語の教訓とはなんだろうか?
どうにもすっきりしない。

浦島太郎は「善意」で、「いじめられているカメを助けた」。
それはいいだろう。物語のはじまりなのだから。

では、カメにとって、浦島太郎はどういう存在だったのか?

浦島太郎は、腰蓑をつけている。
江戸時代以前、蓑は水辺で働く人々の作業着だった。
つまり「漁師」として生活を立てている。

では、カメにとっての漁師とはどのような存在なのか?

それは、「海の仲間たちを殺傷し、解体し、食するという天敵」だ。

カメは「助けられたお礼」として、浦島太郎を「竜宮城」に連れていく。
竜宮城といえば、「乙姫様を頂点とする海の仲間の根城」だ。

そんな場所に、「天敵」を連れていくだろうか?

平時であれば、敵を迎え入れるなど狂気の沙汰だ。
だから、この行為には「何かが仕込まれていた」と考えた方がいい。
これは「浦島太郎を竜宮城に連れていくための口実」ではないかと。

この物語の軸は、「捕食者である浦島太郎に、海の者たちが復讐する」ことではないだろうか? 

「こどもたちにいじめられていたカメ」というシチュエーション自体が、「浦島太郎を誘い込むための罠」だ。

カメはこどもたちに「いじめるフリしてくれる? あとで、綺麗な桜貝をあげるから」とでも頼んだのだろう。こいつらはグルだ。

もし、罠でなかったとしても、これが計画を起動する「機」になった。


では、乙姫様による「竜宮城での歓待」には、どのような意味があったのか?


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