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読書|マザーツリー 森に隠された「知性」をめぐる冒険②

このnoteは、読了後の個人的な感想です。※AI不使用


読書途中ではあったけど、良書なので紹介したいと思い、内容をGeminiにまとめて貰ったnoteが以下リンク。

2023年発刊の本書。話題になっており当時から気になり続けていたが、購入したのは2024年8月。少しずつ読み進め、2026年1月にやっと訳者あとがきまで読了。




>はじめに

多くの日本人レビュアーから同様の言及を散見していますが、『森の木々が地中の根で相互にやり取りをして繋がっていること』は寓話や昔話、口伝のアニミズム信仰(自然界のそれぞれのものに固有の霊が宿るという信仰)などから『概念としては既に知っていた気がする情報』であるとの指摘があります。私も同じく。
個人的には、手塚治虫さんの火の鳥など、SF漫画や小説などから、同様のテーマが「空想の創作物語」として身についていたように感じる。

しかし確証なしの「木には意志があるのではないか?」という説は、空想や想像の域を出ないお話として片付けられる。
それを、学術的な研究で裏付けを取り「科学的証明をすること」は、別の能力と労力を伴う確認作業であり、根気と信念と、負けず嫌いな反骨精神が必要となる行為。
・・・木の根から菌糸で繋がれたネットワークで相互に栄養素をやり取りしているという発見は、私の予想を超えた事実であり、素直に驚いた。

現実に、スザンヌ・シマードさんが戦い続けてきた反対勢力は、「そんな空想思想は根拠がないファンタジーである」と批判し、馬鹿にしていた科学者や研究者、ジャーナリストたち。そして森林を金になる木材資源としてしか見ていない企業人たちだった。
彼らを納得させるための度重なる実験と研究データの積み上げが、どのように行われたか?を知りたくて、私はこの本を購入した。



>読み始めての率直な感想

中盤に差し掛かる頃まで、彼女の半生の記録でもあるエッセイ(家族との確執、友人との交流、恋愛、結婚、子育てなど)を含む内容は、おそらく読者の賛否が分かれるだろうと感じた。
「素早く手短に結論を知りたい。」という、せっかちな現代人らしい苛立ち。素早く知識を得てそれを使いたいという欲。
だから私自身も、友人知人に気軽に勧めるのをためらう本でもあった。

読了後の今は、樹々が土壌に根を張り、菌糸ネットワークによって「ウッド・ワイド・ウェブ(※Wood Wide Web)」が形成されるまでの年数を考えると、スザンヌさんの経て来た苦難や人生の機微に、読者として伴走する体験も悪くは無かったと感じている。
(どうしても、素早く科学的な証明が知識として欲しい人は、飛ばし読みも可だとは思う。)

※Wood Wide Webとは、森林の木々が菌類(菌糸)のネットワークを通じて、地下で栄養(糖など)や情報(害虫の警告、病気の兆候など)をやり取りする、まるで「森のインターネット」のような仕組みのこと。



>読み終えての感想

木々が繋がり、自分の同種以外の樹木も、菌類と共に助け合って成立しているのが森林であると証明することの難しさ。
更にそこに押し寄せてくる様々な冷遇や批判・非難にもめげず、「否定する者も、事実であると納得せざるを得ない証明の積み上げ」を成し遂げた研究者の1人が彼女。
代々続いた木こりの家系だからこそ感じ得た、実体験からの感覚や信念が幹となり、幾度となく抵抗の強風に晒されながらも決して折れることなく、着実に信頼できる仲間を増やし、ネットワークの根を広げて成し遂げた偉業であることが、本書から理解できた。その学術的営み自体が、彼女の人生とリンクしていると感じた。

私は木工作家で、かつて森林関連のお仕事にも携わっていたこともあり、本書で得た知識はきっと、遠くない未来、これからの日本の森づくりにも大変重要な役割を果たすはずだと感じる。
しかし、なんせ現状の日本中の森林が、杉・桧ばかりな上、安い外材に価格競争で負けて価格が低下し続けた。過去50年以上、その状態。
「儲からないから手入れする人口が激減する」→「余計に価値のある木材として育てる環境が整わない」という悪循環で山が捨てられた。
更に「今後、どのような植樹を行うことが最適解か?の知見」を持たない様子も感じられる。
現在は、日本の経済的な立場が弱くなり、日本円も安くなり、海を渡って流入するコストを加えた外材と価格的に競争が出来るようになりつつあるが、それを喜んで良いのかどうか?さえもわからない状況に突入している。
この機に便じて、環境にも森林自体にも良く、ひいては人類のためにもなる改革が、今すぐに起きるという安易な夢を見られない程度に、私は日本の森林に関する現実を知り過ぎている。

>余談
根本的なお話だが、日本の風土に合った木材は、国内で育成された樹木である。日本の湿度・乾燥の中で育った樹木を、建材などとして消費する地域で製材して工作し、同じ環境で使用するのが、歪みや反りが最も低く抑えられる、最適な育成・加工・利用方法。本来は地産地消されるのが最適な使用方法だ。

現状、儲け至上主義の日本の悪条件下で、森林育成に関する重要な知識が備わった人が、今現在の日本の森林事業に関わったら?
・・・経済的効果・・・森林事業に携わる人々が、生活に困らないほどの対価(お金だけに限定しない)を常に問われ続ける環境で、余計に苦しむことになるのかも知れない。
そう…。筆者のスザンヌさんが味わって来た経験と同様の「経済優先の森林ビジネス」で、切らなくて良い木を伐らされ、酷い場合は皆伐の命令を下され、心を痛める事もあるだろうという感想も持った。

しかし希望は捨てず。やるべき価値のある理想的な人類と森林との関わりは、きっと大量生産・大量消費の中には無いだろう、私個人は、そう指摘するに留め・・・いつか食肉家畜のアニマルウェルフェア(※Animal Welfare:動物福祉)と同様に、樹木のウェルフェアが、コスト優先ではなく考えられる世界を求め続ける1人でいたい。

※Animal Welfare:家畜を「感受性を持つ生き物」として尊重し、誕生から死に至るまでストレスを最小限に抑え、健康で快適な状態で飼育する考え方。



>どんな人にお勧めの本か?

  • 植物は1本1本が単体で存在していて、動物のような社会性や共助や相互関係は無いと思い込んでいる人

  • 植物に意思があるとまでは言わないし確証も無いが、ひょっとすると相互の伝達などを行っているのでは?という空想をした事がある人

  • お子さんやお孫さんなど、次世代に繋ぐ遺伝を重視する人

  • 自分の人生が何の役にも立っていないと思い込み孤独感のある人

  • 森林事業に関わっている人/全く関わっていない人

・・・つまり樹木や森林に、種を超えて共感している人も、全く共感を持たない人も、知識として知っておいて得しかない「この世界を知る本/植物編」だと捉えている。

なかでも私個人が最も推したい「仮想の読者」は、以下のような人。
・今の世の中のルールで計られ、自分自身の価値を信じられず、心の迷子になっている人
・遺伝子的に後世に残す者が無く、そんな自分の人生を無価値だと思い込んでいる人
もう一点、
・読書が苦手じゃない人



>読了した人同士の仲間意識

植物は互いに栄養素を分け与え合うだけではく、害虫危機を伝達し合い、防虫物質を出す対策を打っている事実さえ確認された事や、自分の遺伝子を持つ若木を判別できる事、身内(親族)でなくとも、ご近所付き合い(栄養素の相互補完)をする事などを知った人たちは、きっとこの世の植物や森林への捉え方が変わったはず。

これはあなたが「人知れず行う善行」や、「勇気のある発言や記述」が、直接的な反応として反ってこなかったとしても、あなたの起こした行動や言動が、どこかの誰かの役に立ったり、目に留まって知識の助けになるという連鎖の話にも繋がるのではないか。その伝達は、血族・親族間であっても良いし、親族外でも良い。このnoteもその1つ。

人間には植物が持たない言葉や、音楽や芸術という伝達手段が数えきれないほどある。人が人の事を思い、動物の事を思い、植物の事を思い、その思いをお互いに混じり合わせながら、より良く生きる為の知恵として高めて共有する事。それが拡散していくことに思考を広げれば、今のこの世の中にもきっと希望が持てるはず。
私のこの本から得た知識について、これからに期待する最大の関心は、そのようなものだった。
思想・哲学、そして人が社会を形成する際に欠かす事の出来ない政治にも及ぶ知識。

手に持った時の分厚さ、モノとしての記憶。
約1年半かけて少しずつ読んだ読書体験。
半世紀前、自分が子供の頃に木の根を掘って体感した白い菌糸の記憶。(当時は腐っていると思い込んでいた)
・・・それらが合わさった立体的な読書体験であり、今後、他の読者の感想も私の心に栄養をくれると確信が持てる、宝物のような一冊になった。

この読書レビューを読んで、本書に興味を持つ人が1人でも現れたら嬉しい。


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