夫を看取った医師がくれた「生きるための言葉」
⚠この記事は、センシティブな内容となっています。
お許しくださる方にお読みいただければ…と思います。
もし途中で苦しくなったりしたら、すぐに閉じてくださいね。
目の前で夫は眠っている。
もう起き上がることはないと、わかってはいるけど、
とてもそんな風には見えない。
今まで、こんなにも穏やかな表情を、
わたしに見せたことがあっただろうか。
葬儀場で眠る夫の顔が、こんなにも安らかだったワケを、
わたしは後に知ることとなる。
夫は自死だったため、事後の用事が多かった。
その一つに、検死をしてくれた医者のところへ、
「死体検案書」というものを取りに行くこと、があった。
日中は、通常の診察をしているクリニック。
その合間を縫って、対応してくれる。
診察室に通されて、患者と同じイスに座っていると、
女性の医師が現れた。
当時のわたしより少し若い印象だったけど、
とても落ち着いた雰囲気を醸し出していた。
医師の説明は、検案書に全て書いてある。
それを、一つずつゆっくり、丁寧に解説される。
最後まで読み切ったその医師は、
わたしに、とても優しい口調で、
「大変でしたね、でも一つだけお伝えしたいことがあるんです」
「通常、こういう亡くなり方をした場合、
お顔が苦しそうになるものなんです。
ところが、ご主人は、
とても穏やかなお顔をされていました。
おそらく苦痛はなかったはずです。」
そう言われた瞬間、せき止めていた水が一気に溢れた。
静かな診察室の、その医師の前で、
わたしは、声を抑えて泣いた。
”あぁ、よかった。
苦しまなかったのなら、それだけでいい。
生きるのが苦しくて、あぁするしかなかった人だから。”
そんなわたしの肩に、
そっと、手を添えてくれた先生。
驚いたでしょう
辛いでしょう
これから大変ね
自分を責めないでね
そんな言葉が、その手に溢れているようだった。
あの医師が、わたしに「どうしても伝えたい」
そう言って、寄り添うように語ってくれた、
わたしが知らない夫の最期。
あの医師はそれを話す前に、
聞くか?聞かないか?の選択を、
わたしに求めなかった。
それくらい「どうしても伝えておきたい」
と思ってくれたのだろう。
それを知っているのと、
知らないままこの先を生きる、のとでは、
わたしの生きる力に、大きな違いをもたらすことを、
あの医師は知っていたのだと思う。
病気を診るのも医者。
亡くなった人を見るのも医者。
どんな患者に対しても、
思いやりの手が添えられるといいな。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
お気持ちがざわついてしまった方は、
どうぞ、深呼吸してみてくださいね。
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