【連載小説】「 氷のプロンプト 」第2話
(本文・第2話)
窓辺から心地よい小鳥のさえずりが聴こえるなか慎之輔は、各チームの報告書に目を通していた。
「おはようございます」
ライトアシストに続々と出社する社員たち。明るく元気な挨拶とともに颯爽と席に向かっていく。
「おはよう!」
一人ひとりに挨拶を返す慎之輔。
湯気のたつ珈琲を啜りながら、報告書を再度チェックしていく。会社の鍵は事務員に持たせているが、慎之輔が決まって一番乗りに出社している。業務上の理由とかは特に無いのだが、そうした方が何かしっくりくると言うのが彼なりの気持ちだ。
パーフェクト市場から新着メールが届く。チャッチサポート代行業務の評価だ。応答率はいまいちだが、応対品質や顧客満足度は群を抜いているとの事。どのようにしたら効率が上がるのか、それをリーダー達と考えていく必要がある。
次から次へとくる問い合わせの数々。社員たちは多忙ながらも、活き活きとした表情でチャットサポートの応対をしていた。
基本はマニュアルを見ながらの応対だが、その真剣な眼差しからは熱意が伝わってくる。ただ顧客に丁寧に応対しようとするあまり、次の顧客を待たせてしまう部分があった。
リーダー達はチームメンバーに的確なアドバイスを促している。ささいな質問にも嫌な顔ひとつせず、分かりやすく説明する。フロアは一帯が活気に満ちていた。
昼以外には、一時間毎に十分の休憩。リアルタイムでの応対という特性上、各チームが交代で行う。手はそっと机の上に置き、目をゆっくりと閉じ、リラックスした姿勢で椅子にもたれかかる。十分後には集中力を回復し、また仕事に打ち込む。
キンコンカンコン
もう昼休憩の時間か。仕事が楽しく、時間が経つが早く感じる社員たち。清潔で広い社員食堂は、窓からの日差しがまぶしかった。
「いただきまーす!」
テーブルに並べられる色ろりどりの弁当。口を大きくあけ唐揚げをねじ込む者、幸せそうに卵焼きを頬張る者、猛スピードでご飯をかきこむ者。
「ようやく九九を覚えたよ」
「ねえねえ、シリーズの新作も観た?」
何気ない家族の愚痴から面白かった映画の話題まで、和気あいあいと会話がなされている。
ただ食事をするためだけはない、そこは社員同士の交流の場でもあった。
(つづく)
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