『かきならせ、空!』感想: ポケモン未履修おじさん、ドラクエメソッドでかく語りき
ふっかつのじゅもんを大学ノートに鉛筆で書き写すのですが、間違えると内容失われるから緊張しました。だからディスクシステムは画期的だし、ドラクエ3のセーブは感激しました。転職システムがなかった時代のドラクエです。
「ジュブナイルや青春小説の名作を挙げて、アレが好きならいける😋」と書くと、先入観を与えるかもしれないから、関係ないドラクエ2(DQ2)を連れてきました。著者と作品への敬意と、読書体験を邪魔しないことを願って書いてます。
①ロトの末裔としての成長
最初は弱いし成長してもロンダルキアの洞窟やその後の雪原マップなどゲームバランスが厳しいのですが、リメイク版は調整されています。
対して、『かきならせ、空!』は青春小説なので、バンド活動と音楽を通して自分は何者なのかを知って成長していきます。成長速度の速い仲間と切磋琢磨する疾走感をお楽しみあれ。
②サマルトリアの王子のすれ違い
在宅しててくださいと思うんです。お使いイベントであちこち行かないと会えない!
ムーンブルクの王女は諸事情で犬なので、まずは姿を取り戻す必要がありました。
DQ2の末裔トリオが旅をしたように、バンドメンバーと音楽仲間の化学作用で関係性が深まりお互いを支え合い絆が生まれます。学業や生活の中にバンド活動があるから、彼らの『旅』の忙しさを擬似体験できます。
③ハーゴン倒してもまだシドーがいた
DQ2の場合は、ムーンブルクが襲われたから救援に赴くスタートですよね。父王に行ってこいと言われるのですが、あなたもロトの子孫なのでは……。DQ2はシンプルで、倒すべき敵がいる。目標を決めてくれてあります。
対して、主人公達は、好きな音楽も違うし、将来の夢の温度感も違います。そして、バンドのリーダーとして成長する主人公は選び取っていきます。バンド活動したから、歩いた分だけ見える景色が変わっていますね。
④ロトの力
ロトはオルテガの子どもです。ロト三部作の英雄。だから、ロトの子孫が英雄なのはロトの血筋が大きな理由です。ロトの装備とかありますし。
『はかぶさの剣』というバグ技もあるし、脳筋ローレシアの王子と、魔法なら任せろのムーンブルクの王女がいるので、ロトの装備だけで勝負はしないけれど。サマルトリアの王子はリメイクでバランス調整入ったようです。
なら、この物語で人々が何で結ばれているでしょう? 天才はいても勇者はいません。
音楽が人と人を繋ぎ、想いを運びます。
⑤歩く薬草くらいに思ってた、ごめんよサマルトリアの王子
序盤は、剣を装備できる僧侶みたいなものなので、器用貧乏で打たれ弱いイメージのサマルトリアの王子も、成長して個性が出てきます。名前の候補で『トンヌラ』があったはずだから個性はあるのですが、ローレシアの王子達が個性強いので相対的に埋もれてますね。
音楽の場合上手に演奏することは夢のためのチケットのようなもので、「上手だね」と評してもらえても文脈では褒めてないことも起きます。主人公達の青春という旅は、殻を破って自分たちの個性を見つける過程でもあります。
⑥作品の達成
ドラクエ2を例に出すように、成長します。
バンドの説明ではなく、挫折や再起や喜びを通して、読者がハートで受け取れるようにデザインされています。
かつて高校生だった大人は懐かしく、リアルな世代も楽しめるように、具体的に青春を描いています。こう言う悩みあったな、あるよと、なるはず。この青春のトーンで具体的な作家名を出すと、鑑賞の妨げになると思いDQ2を呼び出しました。
SNSやオンライン配信、そして魅力的な音楽の舞台裏まで含めて、現代の音楽シーンもきちんとおさえています。
そして、専門的なディテール。「ムーンブルクの王女です。イオナズンの効果的なタイミング教えます」「剣の斬り方は、ガッてやって、メコッてなるだろ?」(構え方を教えて、足の力をうまく切先に伝えることを伝えたいローレシアの王子)みたいに、経験者が話すと伝わることがあります。
『バンド活動や音楽制作の過程を詳細に描写』するのは、音楽と生きた経験がないと分からないし、音楽家も長嶋元監督や私の中のローレシアの王子のように、言葉にするのが苦手な方もおられるでしょう。そこを越えて、我々が普段耳で聴くものを、目で読むという再発見の喜びが実現しました。
⑦そして日常へ連れて帰ろう
もしかしたら、読み終えると少し寂しくなるかもしれません。お祭りは永遠には続かないから。
けど、物語を我々の日常や人生に連れて帰れます。心の中のナウシカとかドラえもんとか、ドリトル先生でも誰でもいいのですが、フィクションのキャラクターが住んでいるところに迎えることができます。
本はいつ読んでもいいから、急かされて読むことはないけれど、涼雨さんの作品を応援すればするほど、涼雨さんが涼雨ユニバースの作品を生み出しやすくなり、僕らは公式の供給を楽しめるかもしれません。
では、行ってらっしゃい、良い旅を。
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