Unsung Heroは誰だろう?
『かきならせ、空!』は、青春小説です。音楽が好きな方、青春に懐かしさや悔いがある方、つまり大多数の方が楽しめる長編小説です。
この作品は、音楽の造詣が深く、国語も徹底的に研鑽している、涼雨零音さんの新作です。多才な方だから、小説は前衛的な文学も執筆なさるし、本作のような多くの方が体験できる表現もおできになります。
『お仕事小説部門』に応募なさったからこそ、著者の強みが作品に反映できました。ご自身やお友達、つまり主人公達の親世代を、なんぼでも描けます。これは、音楽に続いて、著者の魅力を作品に反映できると感じます。
小説のリアリティで工夫なさったのだと推察します。だから小説のディティールがシャープになります。カメラのピントがきちんと合うイメージ。知っていて言葉にする鍛錬をなさっているから。
私はUnsung heroという言葉が好きです。日本語の縁の下の力持ちと似た概念ですが、詩歌で歌って称賛されていない、残ってないことの味わいが感じられるから。本作に登場する大人達は、Unsung heroでもあります。
そして、大人の仕事や教育とはなんだということも、著者は演説するのではなく、僕らに夢を見せることで、理想と現実を考えるヒントを提供なさっています。
ネット社会になる前は、今ほど情報がないから、挑戦して失敗して、受け身や転び方を練習できました。現代の否定ではなく、情報が多くなるほど、正解や攻略法を探して、知って満足してしまう傾向を知ることは大切です。人生の落とし穴にもなるから。
美しい画集と、実物は異なります。
紀行文や写真エッセイも香り高いですが、自分で旅をすることとは異なります。
何より、やめた方がいいことや、やった方がいいことはあっても、社会の変化が速すぎて30年先の予想はつかないから、正解や攻略法を探し続けると、行動できるタイプの子達と競争するのに不利です。知識も行動も、どちらも大切。
この作品で青春が成立するのは、出会いや友情や目標やライバルがあるからです。それを、それとなく大人達が支援してくれます。Unsung hero達、いい仕事をします。
大人の社会や次世代に対するお仕事とは何かも、書いてあると思います。色んな読み方が出来るから、学び続ける著者の指数関数的な厚みを、感じられるでしょう。
読み終えた方、また読みたくなりませんか?
未読の方、試してみませんか?
いってらっしゃい、良い時を。
Unsung heroによろしく、です。
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