菊地 康人著『敬語』(講談社学術文庫 1268)は、接客業の方こそお勧め
単純化すると、「あなた」は「上げる」。「私」は「下げる」。その場にいない方で「あなた陣営」は上げるけど眼の前のあなたほどではない。その場にいない「私陣営」はその逆。敬語って、こういう仕組みだから、相手との距離感を扱えます。
例えば、パートナーがいつもと違って敬語を超使ってくると、よそよそしいはずだし、怒ってるとか、コミュニケーションがうまくいってない傍証でしょう。逆に、初対面の作家に、いくら愛読者だからといって、家族のように話すと、それは距離が近く、馴れ馴れしいと誤解されるかもしれません。ここは人によって、ウエルカムな方もいます。
若気の至りで自分を知らなかったのです。本が好きで読書量も多いから小説や童話が書けないかなと思い、挑戦しました。僕は、混乱している現場を整理して、暗黙知をマニュアルに落とし込むとか、OJTとか、理論と実装のバランスやホスピタリティを追求するなど、研究者気質というか、仕事オタクみたいなことが向いていました。例えば、「上のものを出せ」と言われて、お電話代わる仕事も担当しましたが、20分から2時間の範囲で、100%解決しました。お客様が電話を切らないで下さったのです。メールも同じ。
これはチームワークであり、ベンチャー企業のECで権限を任されたから出来たのですが、菊地 康人著『敬語』を創作修行時代の二十歳の時に読んでおいたことが基盤になりました。
エスカレーション対応は、一次対応が怒らせた、もしくはすでに激怒されているなど、お話をスタートした時点で弊社の印象は最悪です。だから、同じことを二度言わせないことを目指し、履歴などを速読し状況を把握しました。その際に、敬語を間違えると、お客様の怒りを煽ってしまう可能性があります。「隙を見せない」という意味ではなく、ECでサービス提供しているのに激怒させた時点で間違っているのだから、それ以上負担をかけないことを重視しました。
本書は暗記する方もいるかもしれないけど、敬語のシステムを辞書のように整理してくれる本なので、通読し、実務で不明点が出たら再読すれば十分だと思います。京極夏彦作品ほどでないですが、厚いので読み終えると達成感があります。
本書は、あなたが日本語を使う際に、なんとなく覚えていたことを整理してくれます。膨大に具体例を暗記しなくても、要点やシステムを理解すると、全体をおさえられる。サービス業で接客するとしたら、使えると便利です。お客様の敬語の使い方を観察出来るようにもなるから、あながた提供したいホスピタリティを、より具体化出来るでしょう。
言葉は生き物だから、変化します。カジュアルな使い方もいい。古典的で伝統的な使い方をしてもいい。本書は、敬語の力加減を理解することが出来るので、サービスだけでなく、日本語を業務で使われるなら損しません。
二十歳で読んだ中で、一番恩恵が大きい本は、本書です。
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