多角的に考えろと言わずに教えてくれた経営者と、親会社会長の共通点
職場は仕事をするために集まり、あるいは、集められた集団です。そこで様々な大人と協力したり対人関係を通して、磨かれます。川の石が丸くなるのと似ています。意識して成長しないと、置いていかれたり、役に立てないことも痛感しました。
私がコールセンターの、中堅オペレーターだった頃の経験です。20年ほど昔です。あの頃の経営陣から直接教わった教訓で、今でも私の仕事観・人生観に大きな影響を与え続けている。
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多角的に考えることの重要性は、孫子の兵法、インド発祥の寓話群盲象を評す、戦術と戦略、システム思考など、時代を越えて我々は意識し続けてきました。
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2000年代前半、ECサービス黎明期のコールセンターで勤務していました。神奈川県から都心への往復3時間の通勤が苦にならない職場でした。行き帰りの電車で『影響力の武器』などを読めるから、満員電車は書斎のようなものでした。
その会社の企業文化は、コールセンターが経営トップと近い環境です。エレベーターで偶然、親会社の会長と行き合い会釈した私を呼び止め、「うちは、君らでもってる。ありがとな」と、激励されることもありました。
苦労して会社を立ち上げた会長だから、文字通りの意味でもあるし、「我々のお客様を直接接してくれてありがとう」という、期待や信頼もあったのでしょう。
沢山いる「若いの」の1人に過ぎない私を、覚えて声をかけてくださることに、会長がどのように信頼を構築してらしたのかの一端を見た思いがしました。
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そんなある日、会長ではなく、自社の経営陣の一人に呼ばれました。いくら距離が近くても、コールセンター長や中間管理職やリーダーなどを飛び越えており、何事かと案じてオフィスへ向かいました。
「君のお客様に接するやり方は、うちの方針をよく理解していて、それで良い。
しかし、君の考え方や提案の仕方は理想に特化しすぎている。
もっとニュートラルな自分と、君の中の意地悪な自分を育てて、君本来が持っている理想と三つでバランスをとってみなさい。
私はやってきたし、やっている」
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この言葉は私に強い影響を与えました。多角的に考えるということが、それ以降ずっと私のテーマとなりました。
意地悪な自分は揚げ足取りなどではなく、反証や実現可能性だと理解しました。
問題は、ニュートラルな自分です。あの頃の私は、理想に立つことがニュートラルだから、じつは「理想」が分かっていませんでした。
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理想は抽象的な方向性であり、戦略と似ています。状況に応じて具体的な戦術に落とし込む必要があります。
ECサイトがお客様から見てネットの自販機であるのなら、FAQやヘルプなど、今なら生成AIによるチャットボットで自己解決出来ることが望ましいです。
自社が想定できないことや、分かりにくいことは、本質的にお客様からのフィードバックを元にフィードバックループを大切にしないと、自社だけでは気付けないことがあります。
だから、お客様と自社の間に入ることもあるため、役割として板挟みになりがちです。その時に、例えば予算を無視して梱包材の改善を提案しても、あまり意味はないです。予算のことを考えて提案できないのも問題です。複雑なことを、複雑なまま扱うには、多角的な視点は不可欠でした。
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過労で2回倒れて、心を壊して認知行動療法を学ぶときも、理解しやすかったです。私の通奏低音だから。
経営者の立場から「私はやってきた」と言われたことは、私にはとても貴重です。何より、間に他人を介さずに、直接言葉を伝えて下さったことの、言葉が帯びる熱量が心に残っています。
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あれから20年以上が経過した今でも、この経験は私の中から消えません。仕事をする人々の多くは、心の中に永遠の上司や先輩を持ち続けるかもしれません。私にとって、あの経営者は今も上司です。
いつか、「あの時の! 少しは考えるようになったな」と、再会できる日を楽しみにしています。
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繰り返すと、人を介さずに直接指導して下さった、その姿勢と言葉が持つ温度。私は、言葉がなぜ人を動かすのかも、この「上司」や会長から、学び続けています。成長するたびに、気づきが増えるから、今も色褪せないのです。
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