『さよなら炒飯!』のネタバレ無しな、感想を含む紹介文
海外にも国内にも古典やジャンルの顔のような作品が存在します。
島田荘子・綾辻行人・我孫子武丸・有栖川有栖・北村薫・宮部みゆき・京極夏彦・石田衣良・伊坂幸太郎・村上春樹・アガサ・クリスティ・エラリー・クイーン・ロバート・J・ソウヤーなどなど。ロバート・J・ソウヤー? と思われた方は、『イリーガル・エイリアン』を思い出して下さい。
試しに、好きなミステリ作家を思い浮かべたらこうなって、2024年の今日、彼らを踏まえて彼らと競争することの厳しさを思いました。
著者さんが間違いなく有利なことは、彼らの先行事例を知っていることと、2024年現在の同時代性としてSNSやネットやガジェットなどを駆使することが出来ることです。
伏線と謎解きの楽しさだけでなく、野球や炒飯など、人生や関係性を表現するメタファーが使われている点は、村上春樹以後の作品としての軽やかさでしょう。
祝祭的な荒々しさなのかもしれないけれど、登場人物の脱ぐ癖は、作品が書籍化・ドラマ化したり、Netflixで扱うとしたら、扱いに困ると思うので(ユーモアは文化と関係するので)、私が編集なら止めます。けれど、読者の脳裏に残るかもしれないので、結果を待たないと何とも言えません。一つ言えるのは、著者さんはリスクを負って賭けたということです。
主人公の視点だけでなく、周囲の人物の視点も取り入れて心理描写を行うから、物語に奥行きが生まれます。だから、登場人物が、きっと身近に感じられるでしょう。
ドラえもんのタイムマシンは存在しないというのに、だからこそ、苦い青春など、あの頃を振り返れば何かしら痛みが見つかると思います。子ども時代の幼くてよく分からなかった時代だけでなく、18歳前後はサナギみたいなものだから、大人の世界が見え始めた頃で、事故もショックもあるのが自然です。
著者さんは、いくつかの日常と非日常を編み上げて、青春の挫折と再生、大人になること、現代の罠と売り渡してはいけないものは何なのかなどを描かれました。
人間関係も社会も、無数の他人と思惑で出来ているから、複雑です。本書は、そんな複雑さを扱って、エンターテイメントとともに視点を提供してくれます。連載が完結しましたから、一気読みをするチャンスです。
さ、完結したばかりの作品世界へ行ってらっしゃい。noteで12万字読むのは大変だよと思われる方は、スマホでお試し下さい。ちょうど文庫サイズで、するする読めますよ。
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