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超小型モビリティの現状──軽自動車並みの維持費が普及の妨げに

「超小型モビリティ」という原付ミニカーの上位に位置する車両区分が創設され環境負荷の軽減や地域交通の課題解決策として期待されていた。ところが、トヨタの「C+pod(シーポット)」が販売終了して以降、新車種を投入するメーカーは現れていない。制度が整ったにもかかわらず、実用化が停滞しているのはなぜか。それは最高速60km/hなど制約が大きいにも関わらず、軽自動車並の維持費が必要なことにあると考えられる。

超小型モビリティとは何か

「超小型モビリティとは、自動車よりコンパクトで小回りが利き、環境性能に優れ、地域の手軽な移動の足となる1人~2人乗り程度の車両(国土交通)」である。
「超小型モビリティ」という区分は、第一種原動機付自転車カテゴリーのミニカーと、軽自動車カテゴリーの型式指定車と認定車の三つに分かれる。

  • 原付ミニカー
    ・出力:0.6kW以下
    ・最高時速:60km/h(道路交通法)
    ・車体サイズ:全長2.5m・全幅1.3m以下・高さ2.0m以下
    ・自動車税:6700円
    ・車検不要・車庫証明不要
    ・定員:1名

  • 型式指定車
    ・出力:0.6kW超
    ・最高時速:60km/h(構造上)
    ・車体サイズ:2.5m・1.3m以下・2.0m以下
    ・自動車税:10800円
    ・車検必要・車庫証明必要(地域により)
    ・定員:1~2

  • 認定車
    ・出力:0.6kW~8.0kW
    ・最高時速:個別の制限付与(高速走行不可)
    ・車体サイズ:3.4m以下・1.48m以下・2.0m以下
    ・自動車税:10800円
    ・車検必要・車庫証明必要(地域により)
    ・定員:1~2

    本稿では、超小型モビリティの中でも普及が期待されていた型式指定車を中心に考察する(以降、型式指定車を超小型モビリティという)。

超小型モビリティの魅力が伝わらない現状

ミニカーや側車付軽二輪との比較で見える問題

興味深いのは、同じようなサイズの「ミニカー」や「側車付軽二輪」は一定の市場を維持していることである。

原付ミニカー
原付ミニカーと超小型モビリティはサイズは同じで、違いは出力と乗車定員である。この僅かな違いだけで、車検が必要になり、自動車税が高くなる。
また、超小型モビリティは構造上制限がかけられ60km/h以上だせないようになっているのも懸念材料である。制限速度60km/hの道路で流れに乗るには60km/hを超えざるを得ない場面もあり、ミニカーと同様に構造上は60km/h以上出せるようにし、道路交通法上の制限速度は60km/hとすることが安全上望ましい。原付ミニカーが人気になり超小型モビリティが廃れるのも頷ける。

側車付軽二輪
また、似たような車両に「側車付軽二輪(サイドカー付き二輪車)」がある。側車付軽二輪は車体サイズ2.5m・1.3m以下・2.0m以下、出力が0.6kw超など超小型モビリティとほぼ同等でありながら複数人乗車可能で、出力の高いものは高速道路の走行が可能である。
さらに、側車付軽二輪は年3,600円であり、車検・車庫証明が不要である。側車付軽二輪は一定の人気がありトゥクトゥクなどとして海外メーカー製のものが多く売られている。
維持費や乗車人数などのメリットから超小型モビリティより側車付軽二輪が選ばれるのは必然と言える。

このように制約と維持費の高さ釣り合っていないことが普及の阻害要因であることは明らかである。

その他車両との比較

海外では二人乗り、日本では一人乗り

普及の妨げとなっているもう一つの要因は、海外との規格の違いによる構造的な制約である。
海外では二人乗り仕様として販売されている車種であっても、日本ではミニカー規格に合わせるためにわざわざ一人乗りに改造されてしまう例がある
本来なら二人乗りとして活用できる車両が、規格の壁によって性能を活かせない。国によって構造を作り変えるにはコストがかかり、リーズナブルが売りの超小型モビリティにとっては極めて不合理であり新規参入や海外展開の足かせにもなっている。

こうした例は、新区分としての超小型モビリティの魅力を削ぎ、市場競争を阻害する要因となっている。規格の見直しは緊急の課題である。

結論として

このように、最大の問題は、制約が大きいにもかかわらず軽自動車との維持費の差がほとんどないことである。
現在の制度では超小型モビリティは車庫証明が必要であり、自動車税や自賠責保険料などの負担も軽自動車とほとんど変わらない。さらに、車体価格も軽自動車と大差がないため、「小さいだけで特段のメリットがない車」となってしまっている。

せっかく新しい区分を設けたにもかかわらず、消費者から見ればコストパフォーマンスに乏しく、メーカー側も採算が取れないため、新型車の投入が進まないのは当然である。

この状態を打開するためには制度の改定が必要である。

新区分の名ばかり化を防ぐために必要なこと

超小型モビリティは、原付ミニカーと側車付自動二輪車との間にあたる存在であり、本来なら原付一種と原付二種関係のように、使い勝手の幅を広げる役割を果たすべきである。しかし現行制度ではそのポジションが活かされていない。

したがって現状を打開するために次の三点が不可欠である。

  1. 車検の不要化

  2. 車庫証明の不要化

  3. 税・保険料の引き下げ(原付ミニカー水準)

この三つを実現することで、超小型モビリティは「軽より安い維持費の二人乗り車両」という明確なメリットを打ち出せる。

おわりに

超小型モビリティは都市部の短距離移動や過疎地の高齢者の足として大きな可能性を秘めている。しかし、現行の税制と規制がその可能性を潰してしまっている。
軽自動車並みの維持費では普及は進まない。
超小型モビリティを本当に活用したいのであれば、ミニカーに学び、維持費の安さと実用性を両立させる規格改革こそが急務である。

参考資料

超小型モビリティについて(国土交通省)
超小型EV「C+pod」を発売(トヨタ)
自動車の種類(国土交通省)
[Q]3輪バイクにはどんな種類がありますか?(JAF)
三輪の自動車の区分の見直し(警察庁)
道路運送車両の保安基準(国土交通省)
トヨタ超小型EV「シーポッド」の税金はおいくらか…高速道路は走れるの?(ドライバーweb)


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