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「ライトアップ木島櫻谷Ⅲ おうこくの色をさがしに」(泉屋博古館東京)

 大好きな木島櫻谷の「ライトアップ」シリーズもこれで3回目。
 しかも今回は色彩について。これはもう、私としては行くしかない展覧会です。

 改めて色彩という切り口で櫻谷の作品を捉え直してみると、その並々ならぬ技術を改めて思いました。
 たとえば画像の《燕子花図》(1917)の場合、カキツバタの葉を青に寄せることで光琳版の1/2-1/3程度の色幅に限定(光琳版は青と緑がもっとはっきりと分かれています)。一方で明度(明るさ)・彩度(鮮やかさ)は大きく差を取っており、単色の水墨画のようにはなっておりません。
 特に草葉の色は大正時代に流行した新橋色(明るい緑みの青)にも見えますが、その新橋色もさらに僅かな濃淡、そして塗りの厚薄や質感を変えることでフラットに振り切らない立体感を残しています。
 展覧会冒頭で展示されていた絵の具、やたら類似色が多いのが印象的だったんですが、こういうところで活きてくるんだなと感心しておりました。

 本展でも触れられていた「差し色」も非常に実践的です。
 たとえば《厩》(1931)のような赤(茶)みがかった暗い作品には白(黒の反対色)と緑(赤の反対色)の花を横にちょこんと据え、《剣の舞》(1901)では低〜中彩度・明度の画面に鮮やかな朱色の盃を置くことで画面を引き締めます。特に写実寄りの画家の場合、色彩理論を強く反映した手法は互いを潰し合うリスクもあるのですが、櫻谷の画面ではそれがぶつかり合わず、一つの画面に溶け込んでいるように見えます。「理屈を知らなきゃわからない」という種のものではなく、直感的に楽しめるようにもなっているのが櫻谷の魅力と言えるでしょう。
 個人的には《桜柳図》(1917)に惹かれておりました。右隻の柳が「混沌」、左隻の桜が「秩序」を表現しているかのようで、グラデーション的にその2つが移行していく様が美しいと思いました。

 つくづく「櫻谷は良いなぁ」と思える展覧会です。気になる点(暗い展示室での色グラフの展示、天然⇔人工の区別をせずに顔料を「粉末」とのみ表現している点など)はありましたが、それを差し引いても櫻谷の「色」を堪能するのにうってつけの、良作が揃った展覧会だったかと思います。
 なお、今回で「ライトアップ」シリーズは最終回とのこと。企画コンセプト、そして「ライトアップ」という響きは良いので、別の作家で「ライトアップ」シリーズが続けば良いなと思います。

 そして来年は"大"櫻谷展を開催するそうです。最高ですね🙌


(こんなアップを撮ってました)

#木島櫻谷 #泉屋博古館 #六本木 #美術館巡り #日本画


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