はこたび-2026夏(2)
なぜ夏に恒例の函館旅か、というと、函館在住の友人に追随して8月1日~5日でおこなわれる港まつりへ参加するからだ。
ポストまで祭り仕様でやる気満々。
わたしが参加するのは花火大会とパレード(十字街~松風町コース)なので、雨天順延とならない限り、例年8月1日花火大会・2日パレードにあわせて訪函しているという次第――関東から別の友人を誘ってみたりすることもあるし、一人で参加することもある。
今回は一人で訪函。しかも花火大会とパレードまでの時間帯は、函館在住友人とも別行動のため、放牧状態と予告されていた。函館での一人歩きを久しぶりに楽しめるということである。
さて、ごはん記録は別にするとして――二日目のウォーキング観光の記録をまとめる。ルーティンのNHKのEテレの朝のテレビ体操を終えて、朝ごはんを食べてから傘を持って出発したのである。
市役所前~青柳町
この日の目的地は、それこそ10数年ぶりになるのではないか、市立函館博物館だ。
かつて函館に住んでいたご夫妻にご案内いただいたことがあったのだけれど、そのときも市電で行ったのだったかどうか。
当時は今よりさらに若いわけなので、宿泊先から宝来町まで歩いて、阿佐利のコロッケを買い食いし、函館山のふもとあたりも散策して歩き倒したあのときだったか……それとも別のとき?
ほぼ毎夏訪函しているので、記憶が入り混じる。交錯するいくつもの思い出を呼び起こしながら、マイペースに進む市電に揺られていった。



青柳町を降りたところで、雨足が気になり始める。けれど、まあまあ、まだ傘をさすほどではない。
あとは花火大会が始まるまで、夜には上がってくれたら……と願いながら、ゆっくり坂道を上がる。
あちこちに見られる紫陽花の色があざやかでうれしくなる。雨模様の中で、どれも生き生きとしている。



少し進んだところで、左手にあったちょっとおしゃれな雰囲気の郵便局に目がいく。歴史的建造物っぽいけど、それにしては新しいか?いずれにしても絵になる感じだなあ、と思って撮ってみる。
函館市市政ポータルサイトによると、建築部門(建物)で第3回都市景観賞(1997(平成9)年度)をとっているとか。
なるほど、こういう加工も妙に似合うわけだ。

この郵便局の先、坂道をさらに進んでいくと、右手に「唐草館」というレストランが見えた。
ここだったのか、と今さら知る。
一昨年の冬、雪の夜におじゃましたときはタクシーで行ったこともあり、坂の途中にあるレストランという記憶だけで、全然位置関係がわかっていなかった。
(今回あらためて外観を撮ったつもりでいたのだが、なぜか撮れていなかった。残念だ……。)
そしてなるほど、こちらは第19回の歴史的文化景観賞(2015(平成25)年度)を受賞しているらしい。

ちなみに、函館市内はほかにもいくつか受賞建築物があるようで、それはそうかごもっとも、と納得することではある。
函館公園~市立函館博物館
さて、その後はてくてく住宅のあいまを進み、函館公園へ入る。
遊園地らしきものが見える。子どものにぎやかな声も聞こえてきた。そういえば、「こどものくに」があるのだった。
雨でも結構来ているのかな?

あとで調べたら、あの観覧車は日本最古だったらしい。もっとちゃんと見て回ればよかった。博物館しか頭になかったし、通り道の動物園に気を取られてしまった。いや、正しくは「動物施設」というらしいが。

クジャクのアピール力がなかなかすごかった。人の気配を感じ取ると、ゆったりと歩いて来て「見て。見て」と言わんばかりにゆったり羽を広げる。


なんとなく「動物施設」をぶらぶらとながめてまわっていると、「ユースデンゆかりのライラック」なるものを見つける。

函館公園は、当時のイギリス領事・ユースデンの発案で誕生した公園だったという。
「病人にも病院が必要なように健康な人にも休養する場所が必要」として、公園の必要性を提唱したのだと。このライラックは、そうして1879(明治12)年に開園した折の記念に、ユースデン夫人によって取り寄せられ、植樹されたらしい。



入館してからまずはトイレへ……と地階へ。
階段をおりるとだだっぴろいスペース、その先にトイレはあるのだけれど、左手の一角に、地味にアンティークな展示品が二つ並んでいた。
柵はなぜ青色なのか、またなぜここに配置したのか、不思議。ちょっとでも楽しめるようにとの考えからなのか――このスペースがふだん、たとえば団体見学者に何らか活用されているからなのか――わからなかったけれど。

さて、歴史に深く関心があるわけではないけれど、土地の博物館を見るのはわりと好きだ。
ここでは縄文時代から近代までの函館の歴史を見られるとして、自分の中のなにが刺激を受けるのかはわからないけれども、大火を繰り返し経験しながら都度復興してきた街のありかたには興味がある。
はるか以前に知り合いに連れてきてもらったときに見たのは、まさにそこにフォーカスされた展示だったと思うのだが、今回はどうなんだろうか。
郷土研究はどういうスピードであれ更新されているのだろうし、展示されるべきものも増えたり替えられたりしていることだろうから。
それにしてもひっそりしている。
ほかに観覧客は2,3名で、アジア系の観光客と思われる――あ、わたしも観光客か。
スタッフも事務室にこもりきりで、ひどく静かなので貸し切り状態のよう。もっともこれがデフォルトなのかも?
それにしてもこの建物は、地震とか災害対応は大丈夫なんだろうか。何か起きたら、ちゃんと安否確認に覚えておいてもらえるかしら、などと考えながら、のんびり展示室を進む。
虫の知らせだったのか?
その後、箱館戦争の展示にさしかかったとき、ゆらゆらと揺れを感じる。展示ケースのガラスがかすかに振動音を立てる。
まさか地震?
ゆっくり揺れて揺れて、しばらくめまいみたいな漂い方を感じたけれど、それ以上大きな揺れがくることはなかった。
震度3くらいかな?
スマホで調べると「渡島地方 震度4」とあった。それほどとは感じられなかったのだが……後で友人に聞いたところによると、一度ドンと突きあがるような縦揺れがあったらしい。それも感じなかったから、博物館は案外頑丈なつくりなのかも。
それにしても余計な想像はしないほうがよさそうだ。
展示の終わり近く、引札(チラシ)の展示があった。これらがなんとも彩り豊かで、当時の言葉遣いの工夫も感じられ、楽しい。


館内はたいてい撮影OKだったのに、これ以外あまり撮らなかった。でも、後で見ようと思って撮ったわりには雑だったと反省しきりである。
もっとも、博物館のページに市立函館博物館デジタルアーカイブがちゃんとあって、そちらで再度復習(?)ができるようになっている。現物を見て記憶にとどめることの大切さはあるけれど、引札がまた確認できるのはうれしい(歴史の分類から)。
まあまあ、それはそれ、見物した記録として、これはこれ。
それから、インパクトある観光ポスターも。

そうそう、これも別の日に気づいたのだけれど、函館駅前の旧棒二森屋あたりの工事フェンスに、歴代の観光ポスターが展示されていた。
「函館観光ポスターアーカイブ~時代でめぐる、函館の魅力 1951–2024~」――昨年12月から設置されているらしい。
知らなかった!
いやいや、なるほどなるほど、地味にがんばっているのだった。
あと、アクリルスタンドを展示に活用していたのはいいなと思って撮ってしまった。もちろん、わたしが知らないだけで、最近はどこもこういう工夫をしているのかもしれないが。


そのあとは企画展「さぁ,お話しの世界へ!梁川剛一没後40年展」をまわる。
高田屋嘉兵衛像の作者で、挿絵画家でもあったという函館出身の彫刻家・画家という。
たまたま行き会った企画展だったが、丁寧な作品作りを知ることができてよかった。
見ているあいだに記憶が刺激され、おさがりでもらったものの中に、こういう装丁の本があったような気がする。子ども用の読み物としてまとめられた『巌窟王』とか『鉄仮面』、『アンクル・トムの小屋』『クオレ物語』など――勝手に、鼻の奥に本のにおいがよみがえってきて、なつかしくなった。函館市文学館もまた訪れてみたほうがよいのかも。
市立函館博物館~函館八幡宮
雨が降り始めてきた。
やまないかもしれないな、と思いながら外へ出て、旧博物館一号、二号の外観をながめて――


次は函館八幡宮を目指す。
もう少し近いかと思っていたけど、ちょっと歩いた。しかも、人通りがまったくなくて――昼間の函館、雨でもあるからか――ちょっと用心しながら進む。と言って、用心のしようもない。
人気のない道を、傘をさしててくてく歩き続ける。

崖崩れみたいなところを過ぎると、人家もなくなり、少しく不安が募る。車通りもほとんどない。
部活帰りのような格好の中学生とひとりすれ違って、ちょっとほっとする。
しばらくして、八幡宮の入口にたどり着く。階段上がる?とためらう。以前に車で来てもらったことがあったなあ、と思い出す。
でも、なぜだか、まあまあいい段数のありそうな階段を上がってみたい気持ちにもなる。


信仰は違うけれど、神社仏閣等々訪れるのは好きなので――見学。
雨でもお参りにいらっしゃる方々はそれなりにいるのだ。車で来ている方が多かったけれど。
お参りはしないわたしは、社殿を撮るでもなく、ただぶらぶらと。


函館八幡宮~青柳町~宝来町~十字街~駅前
雨の粒が大きくなってきたので、そろそろ帰路につくことにする。
今はこんなお天気でも、花火大会は予定通りおこなわれる、と公式ウェブサイトに発表されていた。
安心して帰ろう。
帰り道にサンドイッチの具材を少し仕入れようかな……などと思いめぐらし、てくてくてくてく。
青柳町まで出たものの、風が出てきたので傘をさして市電が来る時間を待つのはどうかな?などと迷う。どうせ傘をさすなら歩こう、せめて一駅先までは歩こう、いやいやもう一駅いけるな、などと歩いていたら、結局全行程歩くことになってしまった。
開いていたらラッキーと思っていたが、やはりPain屋さんは売り切れ閉店になっていた。あとでどこかでパンを調達しなければならない。
十字街電停前のはこだて工芸舎の軒先に、お野菜が出ていた。お・これは、と思い、トマトと紫キャベツを買っておく。
宿近くのセイコーマートに寄ってみる。しかし惹かれて買ったのはパンではなく、かつ丼――これは友人曰くおすすめらしい。
これを遅めの昼ごはんとする。
その後、駅前でキングベークの食パンを買い、生卵とマヨネーズ、塩など調味料も調達して、サンドイッチ作りの準備を整える。
まあ、天候いまいちの中、よく歩いた。2日目のウォーキング観光はこれにて終了。
花火大会の集合時間まで、2時間ちょっとある。
少し休んで少し作ろう。
(つづく)
