元妻、ぷーにゃんと再会する


📖『こころにしみる日々(下)~ 灯りを求めて。出所、そして壮絶な日々 ~』

11/23(木)🌤️
2023.11.23

🐦⬛激しい睡魔に襲われ、仮眠をとったあとに目覚め、あわててゴミを出しに行く。
部屋に戻ろうとしたとき、玄関の前で異臭が漂っていることに気づく。明けがたにトイレで吸ったタバコの臭いだ。

タバコの臭いがトイレから共有部分の廊下にあふれ漂っている。これはまずい。隣の部屋に住民がいれば大迷惑だ。なにより今日は本番だ。外はほとんど風が吹いていないが、大急ぎで部屋の窓を全開にし、空気を入れかえる。トイレに消臭剤をまく。しばらくしてようやく臭いが消える
🐦⬛朝から、🧁ふれと でぃ びーこを作ってみる。

ホイップクリームを作り、フレンチトーストの上にかけ、ブルーベリージャムを乗せる。食べてみると、冷たいほうがおいしいことに気づく。これなら出せるかもしれない

🐦⬛大急ぎで元妻とぷーにゃんを迎えにいくための準備をする。

料理の準備をする時間はもはやない。
いよいよ元妻とぷんがこの部屋にやってくる。夏から今までこの日のためにいろいろと準備をし、料理の特訓、その他諸々やってきた。考えられる限りのやるべきことはすべてやったつもりだ。
外は快晴だ。気温は17度。床暖房とエアコンで何とかなりそうだ。
KHKR駅でふたりを待つ。やがてふたりが現れる。元妻とぷーにゃんの顔を見た瞬間、まぶたが熱くなってしまう。ばれないように前を向いて歩き出す。
「髪染めてるの?」と元妻が訊く。
「これしかなかったんや」ヘレナの黒いバージョンは買えなかったから。
「今日多分あんまりしゃべる時間はないと思う。それで、部屋は十年以内に出ていかなあかん契約になってる」
「え?どういうこと?」
私は、部屋が定期借家契約で、十年以内に出て行かなければならないことを説明する。
「それで、そのあと沖縄に引っ越ししようと思っとる」
「そんなんできるの?」
「いろいろなパターンが考えられるけど、最低でも、寮つきの職場で働けば今すぐにでも行ける」もちろん、その場合はビクターを置いていかなければならないのだが。
部屋に着く。元妻とぷーにゃんはキッチンをチェックする。
「汚なー」

「きれいにしたんやで」私はコンロを指さして言う。
「まぁ前よりはきれいやけど」
「どっちでも好きなほうに座ってくれ」私はデッキチェアを指さす。


私がなんとなく想定していたのとは反対側にそれぞれが座る。ふたりが楽しそうにしゃべりだす。熱いものがこみあげてくる。必死でこらえるが、やがてどうしようもなくなる。わからないようにトイレであふれるものを拭く。
オードブルを作ろうと思い、野菜を切り出す。なぜか頭が真っ白になり、思うようにからだが動かない。
「ちょっと散歩に行ってくるわ」と元妻が言う。
「いろいろ見たいし」
ふたりがいなくなり、私はドレッシングを作り始める。しばらく作っていないので作るのに時間がかかる。思うようにからだが動かないが、何とか仕上げる。やがてふたりが戻ってくる。
オードブルを出す。記念に写真を1枚撮る。
「わしは作りながら、ときどき食べるから、どんどん食べていって」
🐦⬛元妻としゃべったこと。

「あんたはこれが向いてるねん。ずっと家におって好きなことできるわけやから。そうしたがってたやろ?」
「それはわしも思っとる。それでこの環境を利用してうまいこと何かやろうと思っとる」
「へたに何かして、また生活保護に戻ってくるより、ずっとこのままでおったらええねん。その方が絶対向いてる」
「あんたは、家庭よりも自分の時間を大事にする人やから。だってそうやったやろ?」元妻が言う。

私は異論があったものの黙って聞いておくことにする。
「病院に行かんかったら、あなた言うこと聞きませんねということになって、しゃーないから保護を廃止しますということになる」
「ほんなら早く病院行かなあかんやん」
「お前はほんまにおもろいなぁ」
「何がよ」
「オマエのゆうことは生活というか、命がかかっとるからおもろいねん」オマエみたいなおもろい女他におらんわ、と言おうとしたがやめておくことにする。
「お前は強いのぅ」
「お前えらくなったのぅ。管理職してるのか?」
「えらい人が3人いて、その3人めやから」元妻が誇らしげに言う。
「すごいがな」
「ふつうやったら縁切るで。それでも会いにくるっていうことは、この子がええ子やからやねん」

私は言葉がなかった。
「この子は、また迷惑がかかったら困るから、住所を教えたくないねん。わかるやろ?何かあったら私に言って。この子には迷惑かけんとって」

「・・・・・・」
「また捕まったらって、そんなん知らんわ。何年でもおったらええねん。自分がすることに責任持って」

それでも、冤罪でそうなる場合もあるという話をするこころの余裕もなかった。
「この子らの同窓会があって、この子は悩んでて、そのときmiちゃんがなんて言ってくれたと思う?」
「・・・・・・」
「prn元気なん?って」
「・・・・・・」
「心配してくれててんで。ありえへんわ、そんなん」
「・・・・・・」
「あんたmiちゃんになんて言ったん?」
「・・・・・・」

「でも、mkちゃんは赦してないで。今でも怒ってる」
「・・・・・・」

「いい人生やなぁ」私はぷんがいい会社、いい社長にめぐり会えたことに感謝している。
「それはこの子が苦労したからやねん。だから神様がいい人に導いてくれはってん」
ぷんが小学校1年生のとき、当時住んでいたマンションを出て行かざるを得ない事態に陥り、KYに引っ越しすることになった。その後ぷんは常にぬいぐるみを手放さなかった。それは淋しさや不安を紛らわすための本能的な手段だったのだと思う。そんなふうに、ぷんには苦労をかけてしまったと私は思っている。

「KYの家賃だいじょうぶなん?お金貸そか?」って言ってくれはってんで
「神様や」
「そうやな」
「(親が離婚していることに関して)いろいろと調べる人もおるから」元妻は泣きながらそう言う。
「お前は離婚したことに対してぷーにゃんに悪いと思ってるのか?それもこれも犯人は全部わしやぞ」
「いろいろと調べる会社もあるし」
「そういう人は除外して考えるとゆう考え方もある」
「ここには変なのおらんわ。私、霊感強いねん」
「そうか」
「ええとこやん、ほんまに。よかったなぁ」
「でもここは出ていかなあかんから。そのあと考えることは、もう沖縄に行くっていうことやから。。。」
「こんなにいい環境になるとは限らんで」ぷんが言う。
「わかってる。でも絶対に行く」なんがなんでも、ではないが、私はその方向に向かっていくつもりだ。
必要であれば、神様がそのようにさせてくれるのだろう。
「オマエは賢い」
「私はシンプルやから」
元妻の言う通りだ。
親父が言っていたことを思い出す。
「賢いというのは勉強ができるとかいうことやないんやで。その人が人間的に、ということやで」それはそのまま元妻に当てはまる。
「(過ちに関して)なんでやったと思う?」
「?」
「はてなやろ?」
「今は麻薬から醒めた患者みたいな感じや」
「麻薬吸ってたんかいな」

「人はひとりで生まれて、ひとりで死んでいくねん」
元妻がなぜそんなことを言ったのか?よくわからないが、つまりこういうことだろう。
「あんたは今ひとりやけど、
誰だって最期はひとりで死んでいくんやで。
死ぬときは、誰でもひとりなんやで」
つまり誰かと一緒に死ぬわけではないということだろう。
「この子は住所なんか教えたくないねん」

私はこころのなかの動揺を隠す。
「トラウマなんか知らんちゅうねん」



「・・・・・・」
元妻は自業自得だと言いたいのだ。
「会うときは3人で会うのがいいと思う」
なぜ元妻がそう言うのか?よくわからない。
「この部屋しか他に選択肢がなかったんや」
「お前が今の仕事やってるのは、お父さんのことがあったからか?」
「そうや」
「おなかが出てて、それが気にならんprnが怖かった」あのころの私のことを指して、ぷんがそう言う。

「あのころは痩せようと思っても無理やったんや」
「絶対にもう、いっしょに暮らされへん」
「わかってる」
元妻がなぜそんなことを言ったのか、よくわからない。私にはそんなつもりはない。
「お前のは(お前が私に会いに来てくれるのは)義務感とちゃうんか?」
「私はボランティアが好きやねん。ボランティア精神やねん」
「わしやったら無理や」・・・・・・私は一瞬考え、
「半年か1年に1回くらいやったらでけるか。。。」
「ほんなら、半年か1年に1回くらい来るわ。心配やねん」
「おかんもぷんも立派に世の中のためになってる。わしはなんもでけんかった」
「がんばってたんちゃうの?」

「あの土地のことで、どんだけ私が悩んだかわかってるの?」
「・・・・・・」
「この子にだけは、迷惑がかからんようにして」

「わしが死んだときのことか。それは考えてなかったな。。。」
「それをちゃんと考えて」
「わかった。弁護士に訊いてみる」
「駅まで送って行くわ」と言ったものの、ふと、
「やっぱりやめとく」
「?」
「この時間は出歩かんようにしてんねん」例えば万が一、夜道で女の子に、勘違いされて大声で叫ばれたら。。。そしてもしも警察に連れて行かれたら。。。
疑われるに違いない。さらに間違って逮捕され、裁判で有罪にでもなったら、
例え冤罪であってもそれを覆すことは容易ではない
こともわかっている。
それが現在の司法制度だ。
私はその恐ろしさをすでに、いやというほど味わっている。

「よいお年を」帰り際、玄関口でぷんがそう言ったが、私はぷんの顔をちゃんと見ることができなかった。
🐦⬛✉️明け方、NY弁護士にメールを送る。
NY先生
お世話になっております。
表題の件ですが、ケースワーカーからご連絡があり、
「みずほ銀行とみずほカードローンそれぞれの口座に次の残高があるらしい」
とのことでした。
みずほ銀行 インターネット支店
口座番号 : 638◯◯◯◯
残高 : 358004円
みずほカードローン
口座番号:074◯◯◯◯
残高:-438516円
この口座ですが、当時、いろいろな銀行や消費者金融からお金を借りようとしていたころに作っていたものの忘れていて、よくわからないので、みずほ銀行に問い合わせてみたところ、みずほカードから50万円の借り入れができていて、みずほ銀行の口座から毎月自動で引き落とされているとのことでした。
たびたびのご連絡になってしまい申し訳ございません。これはどうするべきでしょう?
取り急ぎご連絡いたします。よろしくお願い申し上げます。

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『【隣の🔪犯罪論】 〜 誰もが超えてしまえる、その一線 〜』
🐦⬛🐦⬛❤️ここしみとは一線を画する異色作
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📢コンテンツを読んでくださった方へ

これは実は、全体でひとつのリアルなストーリーになっています。
🔰📖『ここしみ』 超・あらすじ
👉ざっくりと全体を把握したい方へ
❓📖『ここしみ』って?
👉全体像。壮絶な日々の果てに綴られた“特別な一篇”。こころに灯る何かを感じてもらえたら。。。
壊れた人生。それでも生かされた。だから今語り始める。「罪と罰」、「愛と絆と再生」、そして「本当の自由」の物語。私があそこで過ごした272日間と、その後の壮絶な日々を綴っています。
また、獄中「🏛️訴訟ゲーム」を通じて、冤罪、死刑制度、司法の闇など、現代社会の深い問題についても斬ります。他に、「🏰ムショトピ」といったゆるーいコンテンツも。
そんな風に、ひとつの人生の軌跡を通じて、「生きるとは何か?」「愛とは?」を問いかけます。
👉気になるコンテンツだけでもOK
👉だいたいの話は各話ごとの短編としても(多分)お読みいただけます
📖『こころにしみる日々(上)~ 愛と喪失と再生の獄中272日間 ~』
📖『こころにしみる日々(下)~ 灯りを求めて。出所、そして壮絶な日々 ~』
『💠コラム的な:』 👉📖『ここしみ(上)(下)』から抜粋したエッセイ集
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