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BL小説3つのお題チャレンジ!【第5弾】

初参加した第4弾に続き、第5弾にも挑戦してみました~🥳
詳細はこちらの記事をご覧ください。

私の前回の作品はこちらから。
特に読まなくても大丈夫ですが、読んでおくとちょっとだけ理解が深まります。

今回のお題は
「一年の振り返り」
「マルチーズ」
「ハミング」
の3つです。

うん、今回も難しい!!
挑戦し甲斐があります✨

前回の反省を踏まえてコメディ要素を封印(しきれてない)、ピュアなBLに挑戦してみました😊(結果はどうあれ挑戦はしたので嘘はついてない)
見出しも私以外の誰かが作成した、教室の写真をオシャレに加工された画像です!青春って感じですね。エモい!

私の過去作に登場するキャラクターだとピュアなBLは難しいので、ちゃんとBLになりそうなキャラクターを作り出しました。

今回は3911文字。5000文字ギリッギリだった前回に比べ、ちょうどいい感じじゃないでしょうか。
私も成長した……(これを成長というのかどうかはわかりません)。

というわけでどうぞ!

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

僕は今、放課後の教室で片思いの相手と二人きりという状況になっている。
先週のロングホームルームを風邪で休んだので、その時の課題を居残りでやっているのだ。

課題は「1年の振り返り」の作文。
今週のロングホームルームで発表するらしい。

いつもだったら「早く帰りたい」なんて思ってしまうところだけど、今日はハル君と一緒だから嬉しい。

海里かいり が居残りなんて珍しいな」

「その日、休んじゃって。ハル君も?」

「いや、気が乗らないからサボっただけ。課題出されるなら半日くらい出席しておけばよかった」

ハル君はめんどくさそうに呟いた。
その様子が昔と変わってなくて、胸に懐かしい気持ちが広がる。

僕たちは中学生の時に出会った。
大人びた容姿と堂々とした立ち居振る舞いでクラスの中心にいたハル君と、陰キャな僕は同じクラスだけれど全く関わりがなかった。
そんな僕たちに交流が生まれたのは兄のおかげだ。たまたまハル君のお兄さんと僕の兄が知り合いで、そこから会話をするようになったのだ。

かっこよくて、生徒のカースト上位にいるのに僕みたいな地味な奴にも優しくて、頼れる存在。
そんな彼に対する感情が「憧れ」から「好き」になるのに時間はかからなかった。

中学校の3年間は仲良くしてはいたけど、「他の子よりは仲が良い」程度の関係から抜け出せないまま卒業。
ハル君と僕の志望校が同じ高校だったので、合格した時は色んな意味で嬉しかった。

残念なことに高校生活は初っ端から別のクラスになってしまい、親睦を深めるどころかほとんど会話することなく1年を過ごしてしまった。
2年でやっと同じクラスになれたと喜んだのも束の間、ハル君はすでに仲の良い友達が大勢いて遠い存在になっていた。
地味な僕が気軽に話しかけていいような雰囲気ではなかったのだ。

そんなことから僕は周囲からの目に気後れして距離を取ってしまうことが多い。

それでもハル君は昔と変わらず接してくれるし、あいかわらず優しい。
まぁ、そういうところが好きなわけで。

全く課題が進まないまま悶々と考えていると、教室の扉が開く音と同時に可愛らしい声が聞こえてきた。

「ひめちゃん、ひめちゃん!!」

扉の方を向かずとも誰が来たのかすぐにわかった。
クラスメイトの音無君だ。

「そのあだ名を連呼するな」

文句は言っているが、ハル君の声と表情から嫌がっている様子は見えない。

「うん、わかった! それでね、ひめちゃん」

「俺の話聞いてた!?」

ハル君の名前は市媛遥夏いちひめはるか で、仲の良い生徒は名字からとった「イッチ―」というあだ名で呼ぶ。
同じ名字からとったあだ名でも「ひめちゃん」と呼ぶのは音無君だけだ。
幼い女の子を想像するようなあだ名は好ましくないような気がするが、何故かハル君は受け入れている。

音無君のことを特別扱いしているみたいで、「ひめちゃん」という呼び声を聞くたびに僕はずっとモヤモヤしていた。
僕よりもずっと後にハル君と出会ったのに、あっさりと懐に入っている様子に負けたような気持ちになる。

嫉妬、というものだろうか。

2人は1年生の時に同じクラスだったらしい。
どういう経緯で今の呼び方になったのかはわからないが、僕の知らない1年間があることを寂しく感じた。

音無君は何も悪くないのに。
何の罪もない相手に敵対心を持っている自分がすごく嫌な奴に思えてきた。

2人の話を聞かずに課題に集中しようとしたものの、この距離で会話を耳に入れないようにすることは難しい。

「ひめちゃんのお兄さんにこれ渡して欲しいの」

「どっちの兄貴?」

ハル君はお兄さんが2人いる。
上のお兄さんは年が離れているからあまり関わったことはないけど、下のお兄さんの信夫しのぶ さんは気さくな人でよく話しかけてくれた。
面倒見の良い人だったな。
懐かしい。

「久我先生にラブレター渡した方!」

さも当然のように音無君が言うが、ちょっと状況がわからない。
ハル君のお兄さんのどちらかが久我先生を好きってこと?
明後日の日本史の授業、僕は通常の精神状態を保ったまま受けられるだろうか。

「悲しいことに、どっちもなんだよ」

ハル君が呆れたような声と表情で答える。僕はその言葉に耳を疑った。
どっちも!?
思わずツッコミを入れてしまいそうだったけど、僕は喉まで出た声を抑えた。
危ない危ない。

上のお兄さんは、いかにも堅物! っていう雰囲気の人で恋愛にうつつを抜かすことはなさそうだし、信夫さんは口頭で告白しそうな印象だ。

その2人が揃ってラブレターを?
久我先生の年齢からして、上のお兄さんとは同級生なんだろうけど。
信夫さんはどうなんだろう。お兄さんつながりで知り合ったのかな?

「んーとね、最近渡して撃沈した方」

「OK、信夫の方だな」

最終的に信夫さんが久我先生にラブレターを渡して撃沈したという情報を得てしまった。
気にはなるけれど、人の恋愛での失敗話なんて勝手に聞いたら良くないよね。
可哀想だし忘れてあげよう。

そんな僕の決意をよそに、2人の会話は続く。

「これ、詩の書き方の本だよ。久我先生と一緒に探したの。この本が参考になるといいんだけど」

「あいつ、詩とか書いてたのかよ。黒歴史にならなきゃいいんだけど」

忘れようと思った矢先に追加で驚きの情報が聞こえてきた。
詩と信夫さんがうまく結びつかない。
ラブレターだけではなく詩まで書くなんて、ロマンチストな一面があるようには見えなかったけれど。
頭が混乱すると同時に面白くなってきた。
これは当分忘れられそうにないかも。信夫さん、ごめんなさい。

目の前の独特な会話の行く末をもう少し聞きたいと思ってしまったが、音無君の用は終わったらしい。

「2人とも課題頑張ってね」

そう言って手を振りながら教室を出て行く姿は、無邪気な子どもみたいだった。
人懐っこい小動物にも見える。

「音無くんって、子犬みたいだね」

「確かにな。マルチーズっぽいよな」

マルチーズ。
愛玩犬の代名詞のような犬の種類が出て来て、心がざわついた。
ハル君は音無君のことを可愛いと思っているのだろう。

確かに可愛い容姿だし、子犬みたいだと話題を提供したのは僕だけど、何か嫌だ。

「ひめちゃん、って他の子は呼ばないよね。音無君だけ特別な感じがする」

いつも通りに穏やかに言ったつもりだが、どこか冷たい声を出してしまったことに自分でもびっくりした。
やらかしてしまった。

「俺の図体見て、ひめちゃんなんて呼ぼうと思う奴いないだろ……アイツがおかしいんだよ」

ハル君にどう思われたかヒヤヒヤしたが、いつも通りだった。
特に気にしていないみたいだ。
良かった。心の中で安堵のため息を吐く。

「僕もハル君のこと、ひめちゃん、って呼ぼうかな」

安心したせいか、本心を口に出してしまった。
小さく呟いた言葉は空中に消えるような声だったが、相手には届いてしまったらしい。

「駄目」

柔らかい声ではあるが即答だった。
ハル君は手元の原稿用紙を見ており、その表情は窺えない。

「そうだよね……」

期待半分の駄目元半分、といった軽い気持ちで言ったが、「駄目」という返事は予想以上に僕の心を抉ってきた。
理由は何であれ、好きな人に拒否されて平然とできるような神経は持っていないのだ。
軽率な発言を後悔した。

「お前はハル君で良いじゃん」

うなだれる僕の耳に、慈しむような優しい声が聞こえてきた。

「え?」

「他の奴らは俺のこと名字で呼ぶけど、下の名前で呼んでるの海里だけだよ」

言われてみればそうかもしれない。
ほとんどの人は「市媛くん」「市媛」だし、あだ名で呼ぶ人は「イッチー」と「ひめちゃん」。

「俺もお前のこと名字じゃなくて下の名前で呼んでるから、特別だな」

自分の頬が緩んでいるのがわかる。
ハル君が下を向いていて良かった。
好きな人に間抜けな顔を見られずに済んだから。


無事に課題を終えて2人で職員室まで行ったところ、ハル君はサボりがバレていたようで千影先生に「市媛君はこの後お説教です」と笑顔で言われていた。
一緒に帰りたいところだけど、すぐに先生の話は終わるだろうか。
ハル君を残し、僕は一足先に教室まで戻ることにした。

「~♪」

鼻歌を歌いながら廊下を歩く。
誰もいない廊下は赤い夕陽に照らされている。
よくある風景なのに、今は幻想的で美しいとさえ感じられた。

「ハミングが聞こえると思ったら、早乙女くんだったの」

英語教諭の準備室から音無君が顔を出した。
何でそんなところにいるんだろうとは思うが、今の僕は気にしない。

「鼻歌聞かれちゃったね。何か恥ずかしいな」

「今のは鼻歌じゃなくてハミングだよ。だからセーフだよ!」

何故ハミングだとセーフなのだろう。

音無君は「鼻歌は何かちょっとうるさいけど、ハミングはふんわりしてて良い感じだから」と説明してくれた。違いはよくわからなかったけど、音無君は納得しているようなので気にしないことにした。

「早乙女くん、ご機嫌?」

「うん、課題終わったからね」

特にそれは嬉しい出来事ではなかったけど、本当の理由を言うのは恥ずかしいからこれでいいのだ。
ハル君との会話に有頂天になってしまったなんて言えない。

「ボクもね、今日は機嫌が良いんだ。ちーちゃんが模試の成績褒めてくれたんだよ。頭撫でてくれたの」

「それは嬉しいね」

可愛らしい理由だな、と思うと同時に、素直に上機嫌の理由を言える音無君をうらやましいと感じた。

「だからボクもハミングしちゃお」

隣から可愛らしい声が聞こえてきた。最近CMでよく流れているメロディが聞こえてくる。
すこぶる機嫌が良かったので、僕もその声に合わせてハミングをした。鼻歌のような気もするけど、さっき音無君がハミングだと言ったから、それで良いと思った。

鼻歌なのかハミングなのかわからない音楽会を開催しながら、僕たちは放課後の廊下を歩いて行った。


【あとがき】
今の高校ってロングホームルームってあるのかな!?
私の学校は土曜日の授業がロングホームルームってやつで、グループワークで発表したり、道徳の授業っぽい映画とかドキュメンタリーを見たり、何かつまらないことしてました。

音無君は話をちゃんと聞いてるんですけど、「ふーんそうなんだ、それでね、さっきの話の続きなんだけど……」って感じでスルーしてきます。
超マイペース。
会話のキャッチボールどころか永遠にボールを投げ続けてきます。

そして永遠に登場予定のない信夫と遥夏の兄ですが、眼鏡かけた堅物って感じの人です。無駄に設定だけはあります。

ここまでお読みくださりありがとうございました!
他の方の作品も楽しみ🥰

#noteでBL

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