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地獄で君と待ち合わせ【noteでBL企画第19弾】

毎月恒例noteでBL企画!
今回はこっそり私のアイデアを採用してもらった通常お題!
詳細はこちらの記事でご確認ください。

19弾は
「地獄」「土壇場でキャンセル」「オタク×オタク」
の3つを使って小説を書きました~✨

いや、今回もお題の難易度が地獄😂

「オタク×オタクなんて、民俗学オタクの信夫の独壇場じゃないか!」と意気揚々と書き始め、収拾つかなくなってやめました。
(いつものやつ)

そこで「いつか書こう」と思っていたネタを利用することに。
響の設定のチラ見せ話をベースに、見ず知らずのキャラクターをねじ込んで無理やりBL要素を追加しました😙

文字数は4996文字!
めっちゃギリギリ(というかむしろオーバーして削った)ですが、何とかなるものですね。

ではでは、お約束のジャンルとあらすじの後に本編スタートです。

◆ジャンル◆
サスペンス

◆あらすじ◆
ライターの弓張は音信不通となった友人を探すため、「聖天輪ノ教」という宗教団体の関係者を調査していた。
思い当たる人間に話を聞いていくが、友人の足取りを掴めるような話はない。資料に載っている最後の一人に会うため、弓張は桜護高校を訪れるのであった。

少年はいるけど信夫はいないよ!


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1か月前から瀬戸せと と連絡が取れなくなった。
今日もスマホには何の連絡もない。
奴とは10年近くの付き合いになるが、こんなことは今までになかった。
俺の部屋には瀬戸の服が残されたままだ。
あいつがつけている香水の匂いがかすかに残っていたが、それももうすぐ消えてなくなるだろう。
最後に会話したのは電話越しだった。
大きなネタを掴んだかもしれない、という興奮した声を今でも覚えている。一緒に取材に行こうと言われて待ち合わせの場所に向かったが、そこに誘ってきた本人の姿はなかった。
しばらくして瀬戸から連絡があったが、「悪い、今日はやめよう」という一言だけで電話は切れた。
いつも明るい瀬戸らしくない、沈んだ声だった。
あいつはドタキャンをするような男ではない。
嫌な予感が胸をよぎり、その胸騒ぎは消えぬまま今に至っている。
もちろん警察には連絡したが、まともに取り合ってもらえなかった。
相談したのが家族でも会社の関係者でもない、自称仕事仲間だったのが良くなかったのだろう。
しかし俺たちの関係を説明するのに、その言葉しか思いつかなかったのだ。

思えば俺と瀬戸は奇妙な関係だった。
大学の時に、最近観たホラー映画が良かったという何てことない会話から意気投合。
お互いオカルトオタクだと判明し、さらに交流を深め、そこからはずっとつるんでいる。
友人にしては近すぎる。
でも、友人以外の言葉が思いつかない。
親友と呼ぶのもありきたりで陳腐だ。
だから警察には仕事仲間と名乗った。間違ってはいないが、それが正しいとは思えなかった。
俺たちの間にあったものは何だったんだろう。
出会って以来、こんなに長く会っていないのは初めてだ。
自分の中で瀬戸の存在が大きくなっていたのを今更ながらに実感した。

学生時代に二人で更新していたオカルト系のブログがきっかけで、俺たちはライターになった。
金を稼ぐために人に恨まれるような記事も書いたし、パパラッチのようなことをして人気絶頂だったアイドルを引退まで追い詰めたこともある。でっちあげのような記事なんていくつも書いた。
瀬戸と二人で「天国には行けないような仕事してるな」なんて笑い合ったものだ。
食べていくためには仕方がない。
だが、俺たちが本当に書きたいと思っていたのはオカルト的な要素のある記事だ。
あの日、瀬戸が嬉しそうに話していた「大きなネタ」。
おそらく俺たちがずっと追いかけていた「聖天輪ノ教 せいてんりんのおしえ」に関するものだろう。
「聖天輪ノ教」はオカルトオタクの間で有名な新興宗教だ。
この件を調べていけば、何か瀬戸の情報が得られるかもしれない。
そう考えた俺は、瀬戸の残したメモに記載されている人物1人1人に会いに行った。
結果は惨敗。過去に瀬戸に会ったという人物は数名いたが、今現在の居場所に繋がる情報は皆無だった。

俺は一縷の望みをかけ、最後の1人に会うことにした。
相手が未成年だからなるべく接触は避けたかったのだが、仕方がない。
その人物に会うために桜護高校を訪れた。

校門を張っていると、目当ての少年が他の生徒と共に出てきた。
音無響おとなしひびき
瀬戸がまとめた資料の中に、この少年の情報と顔写真が残されていた。
なるほど、不埒な考えを持った大人が狙いそうな容姿をしている。
聖天輪ノ教の幹部たちが裏で行っていたことを思い出し、嫌な気持ちになった。

「音無響くんだね?」

俺が話しかけても少年は怖がることもなく、きょとんとした顔をするだけだった。
友人と思われる子が肩をつつく。

「知り合い?」

「うーん? 見たことあるような……。どちらさまですか?」

「俺はライターの弓張 ゆみはりっていう者だ。君のお母さんのことで、聞きたいことがあるんだけど」

名刺を見せながら俺が自己紹介をすると、少年の顔が曇った。そこへ一緒にいた友人が庇うように前へ出る。

「オッサン、そういうのは学校に言えよ」

その大人顔負けの迫力に俺はだじろいだ。
気付けば、先程までここにいたうちの1人の姿がない。
教師を呼びに行ったのだろうか。
変に騒がれても困る。
おとなしく帰ろうとしたところで教師が来てしまった。
教師にしては華やかな容姿の男が、警戒心をあらわに近づいて来る。

「この子に御用ですか? 代わりに僕がお話を聞きますよ」

面倒事は避けたい。学校ではなく家に向かうべきだったと後悔した。

「いえ、大した話ではないので」

退散しようと踵を返したが、手にしていた荷物を掴まれた。

「あなたが知りたいのは、聖天輪ノ教のことでしょう?」

男はこちらの全てを見透かしているような目をしている。
逃げられない、と潜在的な恐怖を感じた。

案内されたのは喫茶店の個室だった。
高級感のある落ち着いた内装で、打ち合わせ用の店のようだ。

「私はこういう者でして。聖天輪ノ教が壊滅した件を追いかけているんです」

そう言いながら名刺を手渡したが、男は受け取るだけで一瞥もしない。ただ、アンバーの目で俺をじっと見ているだけだ。

「先に、あなたがどこまで知っているか教えてもらえませんか。その後で、ご質問にお答えします」

「わかりました」

俺は聖天輪ノ教について、調べたことを全て話した。
教祖である男は人智を超える能力の持ち主で、そのカリスマ性で信者を会得していたこと。
しかし、裏では信者の女性に手を出していたこと。しかも、成人女性だけでは飽き足らず、その子供にまで食指を伸ばしていたこと。
それは教祖本人だけではなく、幹部クラスの人間が日常的に行っていたこと。
こちらが喋っている間、男は口を挟まずにじっと聞いていた。
ある程度話し終えたところで、俺は手付かずだったコーヒーを飲んだ。
喋り続けていたせいか、口の中が水分を欲していた。

「それで? 続きは?」

相手は少しの休憩も許してくれないらしい。

「ああ、はい……その後、教団は内部崩壊しました。教祖の持つ力がなくなったことから、内部の統制が取れなくなったとか」

これについてはよくわかっていない。
幹部クラスの人間がほぼ死んでいるからだ。
教団が解体された後、信者たちは保護された。俺は彼らにも話を聞いたのだが、確かな情報は得られなかった。
瀬戸の残したノートにも詳しいことは書かれていない。

「それ以上、何を知りたいのでしょう。十分ではないですか」

「いえ……十分では、ないと思います」

確かに、大まかにではあるが全貌は掴んでいる。
だが、曖昧過ぎるのだ。
教祖の力がなくなったのは何故か?
何故、信者は死人が出るほどの暴動を起こした?
他にも気になる点は多い。
きっと、瀬戸はこの謎を追いかけている中で行方不明になったに違いない。

「では、質問を変えましょうか」

「はい?」

「どうして、あの子に話を聞こうと思ったのですか? 母親は聖天輪ノ教の信者でしたが、あの子は信者ではない。教団の施設に行ったこともないそうですよ」

「いえ、あの子――、響くんのお母様は教団幹部の中でも地位のある男と親しくしていました。そして、教団の幹部のほとんどの死亡が確認される中で、その男だけは行方不明のままなんです。もちろん、音無くんのお母様も」

確かにこれも気になっていることだが、それよりも俺は瀬戸の足取りを掴みたい。
ただ、それは言わなかった。

「……つい先日、同じように音無くんに話を聞きに来た人がいました。持っている情報もあなたと同じだ。お知り合いでしょうか」

男は何の感情もなく答えているが、その情報に俺の心臓がドクンと脈打った。

「もしかして、瀬戸っていう名前じゃ」

続く言葉に期待してしまい、つい前のめりになってしまう。

「さぁ、名前までは覚えていませんけど。荷物の中に何かしら情報はあると思いますよ。いりますか?」

「荷物? その人は、今どこに」

「地獄にでもいるんじゃないですか」

「……地獄?」

平然と言い放つ男に、俺の頭から血の気が引いていく。
先程まで期待に溢れていた胸の中に、今は不安や絶望が広がってくのを感じた。

「かなり悪どい記事を書いていた方のようでしたので。行き先は地獄なんじゃないですかね」

「それって」

「荷物、お送りしますね」

それだけ言うと、男はコーヒー代には多い金額を机に置いて、そのまま去ってしまった。
気付けば、俺の背中は冷や汗でシャツまで濡れていた。

数日後、俺の元に小さなダンボール箱に入った荷物が届いた。
住所を伝えていないのに届けられたことは恐怖以外の何物でもない。
差出人は不明だが、間違いなくあの教師が送ってきたのだと思った。
しかし、今となってはそれすらもどうでもいい。
深追いすれば自分の身が危険になる。これは俺のライターとしての勘というやつだった。
届いたものは瀬戸の私物だった。
財布に電源の入らないスマホ、交通系ICカードの入ったカードケース。
使い古されてボロボロになった革製の手帳もあった。
その手帳の中に、俺の写真が入っていた。

「何だよ、これ……」

瀬戸が俺のことをどう思っていたのだろう。
直接聞いたことはないけど、何となくわかるような気がした。
俺も手帳の中にアイツの写真を入れているからだ。
もし、お互いの漠然とした感情を口にすることができていたなら。
俺たちの関係は名前のあるものになっていたのかもしれない。

数日後、仕事の関係で桜護高校の前を通った。
下校時間なのか、生徒がまばらに校門から出て行く。
その中に音無少年の姿があった。

「あ! この前のお兄さん」

俺の姿を見つけると少年は近寄ってきた。
人懐っこい子だ。今日は友人と一緒ではないらしい。

「お兄さん、前にボクのところに来たお兄さんと仲良しだったんだね」

前に来たと兄さんというのは瀬戸のことだろう。

「……そうだよ」

誰よりも大切な人だった。
感傷に浸りながら口にすると、少年は不思議そうな顔をした。

「何で、一緒にいてあげないの?」

「は?」

「きっと一人で寂しいよ」

何を言っているんだ、この子は。
あの男の言い方だと、もう瀬戸はこの世にはいなくて、それと一緒にいるということはつまり……。

「お兄さんのこと、待ってるかもよ」

「いや、俺は瀬戸の代わりに……」

瀬戸の代わりに、何だ?
まだ聖天輪ノ教について調べるのか?
俺が真実を突き止めたところで、奴は帰って来ない。
それとも、瀬戸にできなかったことを成し遂げることで弔いでもしようというのか?

「お兄さんの望みは聖天輪ノ教について知ること? 違うと思うなぁ」

そうだ、俺は瀬戸の行方を追うために聖天輪ノ教のことを調べていただけで、教団なんてどうでもいい。
すでに組織は壊滅しているし、記事を書いても金にならない。
オカルトオタクと自負してはいたが、アイツがいたから楽しくやって来れたんだ。
瀬戸がいたから。

じゃあ、瀬戸がいない今、俺は――。

「ボクはね、聖天輪ノ教もお母さんのこともどうでもいいの。ちーちゃんと一緒にいられるから。それが僕の望みなの」

歌うような少年の声が俺の頭に響いた。

「お兄さんも好きな人と一緒にいられるといいね」

少年の黒く大きな瞳が俺を見ている。
たった今、自分のするべきことがわかった。



学校の裏山で死体が見つかった。
この裏山は自殺の名所とも言える場所で、死体が見つかるのは珍しい話でもなんでもない。
今回は二十代のフリーライターの男。
ついこの前、音無くんに話しかけた人物だ。
事件の可能性は低いが、参考までにと警察で事情聴取を受けた。
男が死ぬ数日前、僕は彼と喫茶店に入っていたからだ。
「生徒に声をかける不審者がいたので、代わりに話を聞いた」と言えばすぐに解放された。
この前処分した男の知り合いだったようだが、それは言わないでおいた。

音無くんとソファに座ってテレビを見ていると、夜のニュースでも報道されていた。
こんな一般人の自殺をニュースで取り上げるか疑問だったが、そういえば芸能人相手に悪どい記事を書いていたのだったか。
これは公開処刑のようなものなのかもしれない。

「あのお兄さん、前にボクのところに来た人とお友達だったんだよね」

「そうみたいだね」

果たして二人の間にあったのは友情だったのだろうか。
先に死んだ男の持ち物には友人の写真があった。
つい最近死んだ男の行動は、後追い自殺と変わらない。

今となっては知るよしもないが、お互い友情とは違う感情を抱いていたことは間違いない。
例えば、恋愛感情のような。

そんな二人に思う所があるのか、音無くんがぽつりと呟いた。

「同じところに行けるといいねぇ」

なんて優しい子なのだろう。
僕は何も言わずに、その小さな頭を撫でた。

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千影が何か怖いこと言ってますが、めでたしめでたし。

お題よりも何よりも、文字数が地獄でした笑
いつになったら私はスッキリとした物語を書けるのか🤔
でも、自分の書きたい話は登場人物がいっぱいでゴチャゴチャしてる話なんだよなぁと思うなど。
修行に励みます!

あとがき記事も明日にでも投稿しますね~😆
消えた信夫もいるよ。

それでは、皆さんの作品をゆっくり読みたいと思います~!
今回は全員分読めるはず……!




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