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かすみを食べて生きる 37:10口のティータイム

脳梗塞 発症1か月と4日目:リハビリ病院14日目

・食事:脳梗塞(ワレンベルグ症候群)の後遺症のため、嚥下ができなくなり絶飲食。食事は鼻からの経管栄養。
・状態:歩行訓練中。日中、フリー歩行自立。終日、車いす・歩行器自立。
・嚥下:嚥下訓練中。首を左に向ければ1~2mlの水を飲み込める。

食事訓練をかけた嚥下造影検査まで、あと7日。
ティータイム始まる。
同室の皆さんにはお元気でいてもらいたい。

『かすみを食べて生きる 序文と目次』
<発症1か月と3日目:リハビリ病院1か月目⑬
 
発症1か月と5日目:リハビリ病院1か月目⑮>


スプーン10口分の水分、解禁!!

今日も嚥下訓練。正面を向いて。

  • 水1mlスプーン 3回

  • 水2mlスプーン 2回

水1mlスプーンの1回目は飲んだ時、泡のような唾液が絡まって喉通りが悪かった。
2回目でのどが潤った感覚があった。
合計5回飲みこんで、少し経った頃にむせた。
喉に残っていた水が何かの拍子に気管に入りそうになったらしい。
飲み終わった後最後に左を向いて、のどに残っている水分をしっかりと飲み込みクリアランスした方がよさそう。
そしてなんと!今日からリハビリの時間以外も水分摂取が解禁になった!
言語聴覚士の下浦さん(仮)がリハビリ医の四谷先生(仮)に確認を取ってくれたとのこと。
一口の量はスプーンの半分くらいまで、一度に飲んでいいのは10口まで。
うれしい!うれしい!うれしい!

リハビリ後、私はさっそくお茶をした。
スプーンでほんの2ml程度。ゆっくり。とても優雅に飲む。
10口だけ。
それでも私はティータイムを取り戻した。

スプーンでお茶を飲む

ゴッドハンド現る

今日の作業療法のリハビリは代打ではじめましての綿谷さん(仮)。
この方は独自の手技で患者の身体をほぐしてくれる。
感覚異常で緊張しがちな私の右肩回りを緩めてくれた。
筋肉の場所を確認しながら、優しい力で筋肉の調整をしてくれる。
すごい!右肩が動かしやすい!
まさかこんなところでゴッドハンドと出会えるとは!
後日他の脳梗塞の患者さんとお話をした時、綿谷さん(仮)の手技で麻痺していた右手が少し開くようになったという話も聞いた。
綿谷さん(仮)は作業療法の勉強以外にも、アロマセラピーや東洋医学の勉強もされているそうで、いろいろなお話がおもしろかった。
持っている引き出しの幅が広く数が多い。
作業療法士、恐るべし。

門田さん(仮)、歩行器で出る

2週間前、入院された初日に転倒した同室の門田さん(仮)。
理学療法士さんから歩行器での歩行の際は、必ず看護師さんを呼ぶように口酸っぱく言われている。
先ほどその門田さん(仮)がナースコールを鳴らさず歩行器で病室を出ていくのを見かけてしまった。
行先はトイレ。
気持ちはわかる。
私も食事の注入を終えた後チューブを外してもらうためにナースコールを押さねばならないが、看護師さんは忙しくすぐには来てもらえない。
平均20分、長い時には40分以上待たされる。
看護師さんは悪くない。
ナースステーションを通ると同時多発でなっているナースコールに、常に対応し続けている。
重度の患者さんも結構いる。
鳴り響く呼び出し音の『小さな世界』は、歩行訓練でたびたび通る私の頭の中にもこびりついてトラウマになりそう。

でもトイレに行きたい人が40分待つのは厳しい。
門田さん(仮)は早々にあきらめてナースコールを押さなくなってしまった。
ただまだ見守り付きということは、転倒の恐れがあるということ。
私がダメもとでナースコールを押して看護師さんを呼ぶべきか…。
そう迷っている間に門田さん(仮)は病室を出てトイレに行き、帰りがけに看護師さんに見つかりまたお説教を受けていた。
ご無事で何より。


ーー振り返って

この日まで自由に水分を摂ることは禁止されていたので、のどが渇いた時はうがいをするしかありませんでした。
それがやっと、水をのどに通していいことになりました。
両手でガッツポーズをしたことを覚えています。

ゴッドハンド来てくれました。
とても助かりました。
入院中は身体がしんどくなると綿谷さん(仮)に会いたくなりました。

そして私はカーテン越しに門田さん(仮)を心配し続けています。
「(私が)ナースコールを押しましょうか」と声をかけたこともありました。
「待っていられないからいいわ」と言って歩行器を鳴らしてトイレに行かれました。
その背中を見送りながら、どうかどうか転ばないでと祈っていました。

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