見出し画像

『葬送のフリーレン』伏線探しの旅(46)82話「万物を黄金に変える魔法」


第82話 『万物を黄金に変える魔法ディーアゴルゼ

■Story

とりあえずデンケンの話を聞くため結界管理者の小屋に入ったが、フェルンの様子がおかしい。

「あの黄金郷おうごんきょうか。
マハトって奴がとんでもない魔力を出してるってことか?」

「⋯⋯逆です。
魔力を一切感じないんです・・・・・・・・・・・・。」

シュタルク/フェルン

「気持ちが悪いよね。魔法なのに魔法と認識できないのは。
マハトの魔法はね、
万物を黄金に変える魔法ディーアゴルゼ
あらゆるものを黄金に変える“呪い”だよ。」

フリーレン

万物を黄金に変える魔法ディーアゴルゼは女神様の魔法でも解除できない。
私の知る限り最強の“呪い”だ。
当然魔法と認識できないから防御魔法でも防げないし、回避もできない。」

フリーレン

デンケンは、前任者レルネンと精神魔法の専門家エーデルのふたりから、黄金郷内部を調査した結果を受け取っていた。


(すこし時間を遡る)
調査を終えた直後のレルネンとエーデル

レルネンが危険を冒して結界内部に入ったのは、デンケンに恩を返したかったからだとエーデルに話す。

「私達は人間だ。
生きられる時間は限られている。
“いつか”なんて時は私達の人生には存在しない。
本当に愚かだ。
私もデンケンもそんな単純なことに、年を取るまで気が付かなかった。」

(中略)

「私達にはもう今しかないんだよ。
だから私は協力を惜しまないし、黄金郷からこの地を救う名誉をデンケンにゆずってやることにした。
これは老いぼれの最後の悪あがきだ。
遠い昔の面影を残したまま、黄金に変えられた故郷を見て彼は何を思うんだろうね。
きっとデンケンは見せてくれるよ。
私なんかには到底出来ないような、力強く美しい最後の悪あがきを。」

レルネン

(現在)

「結論から言うと、マハトに勝つのは無理だ。」

「よし。解散。」( ´ ꒳ `)

「最後まで聞こうぜ⋯」

デンケン/フリーレン/シュタルク

■Pickup

「私の知る限り最強の“呪い”だ。」

…と言っているが、実はフリーレンも似た事ができる。
何故なら、フリーレン複製体コピーが『魔法と認識できない魔法』を使っている。

「呪い」の定義は、
・原理がわからない
・主に状態変化系魔法
なので厳密には違う。


「私もデンケンもそんな単純なことに、年を取るまで気が付かなかった。」

ヒューマンカインドエラー(HKE)
人間は
・未来を軽く見る(時間割引)
・自分を特別視する(正常性バイアス)
・未来の自分を他人扱いする(不連続性)
などの認知エラーがある。

人間は、老いるまではエルフであるかのように生きている。

(; ꏿ_ꏿ)同時に三重のエラーが起きているのは中々…。

エルフの「いつか」は有る
人間 の「いつか」は幻想

■何故ヒンメルはこのHKEに掛かってないのか?

可能性① 未来が強い(近く感じている)
未来がほとんど現代に接続している

可能性② 自分の未来は考えていない
他人の未来は今に接続している
自分の未来は意識から切り離している

普通の人は、
未来の自分は遠くて曖昧なので、
今行動を起こせないことが多い。

ヒンメルはそれを、
「目の前の困ってる人」に変換しているのかもしれない。

つまり、
未来の問題は今の問題とがっちり繋がっているという信念をもっている。だから即行動ができる。

ヒンメルは
未来をまったく考えない「ただ今を生きてる奴」ではなくて、
他人の未来を現在に接続できる人」ということになる。

さらに

「他人の現在を優先させる」と決めているので、
「自分の問題」からも開放されている。

普通の人は、
《自分のため ↔ 他人や△のため》
の間で常に迷っているが、ヒンメルにはそれが一切ない。
いちいち我慢やバランスの調整をしない。

だから
常軌を逸しているのに安定している
自分の人生の目的が「目前の人助け」だから。
整合が極まっている

だから
・無理していない
・迷わない
・楽しそう
に見える。

これは、人の一つの理想像を描いている。

■凡人はどこまでヒンメルに近づけるのか?

△への完全な整合は危険
たとえば資本主義は、「個人が自分に利益になることを追求すれば、自動でみんなの利益になる」という建前の、よくできた△システム。
でも実際は、そんなに綺麗には機能してない。

整合しすぎると、共通整合子の「お金」以外の軸を排除することになる。
・人間関係➔コスパで決める
・時間➔収益化しないと無価値
・趣味➔自己投資
ここまで来ちゃうと、人生が「最適化ゲーム」になってしまう。

危険なのは整合しすぎること。
➔ 天国は複数ある。

すこし離れて見れば、他にも選択肢はある。

■見えていて一つに絞るのと、
見えてなくて縛られるのは、大きく違う。

逆に「完全な自由」を求めても詰む。
➔ どの△に縛られるかを決めるのがよいかも。

ヒンメルはそれを理解していて、自分は「勇者」に縛られると決めた。けっこうな縛りプレイ。

迷いなく展開し意味もはっきりしているので、ゲームのように軽やかで濃く安定した人生になる。
ヒンメルはそういうのを自分で選んだわけです。たぶん。