古拵①
参加させて頂いた日刀保山梨支部、今回は「古拵」と心躍るテーマ。
室町時代から江戸初期頃にかけて時代の上がる古拵が15点以上並びましたので、①では例会の様子と展示品をざっくりと、②と③ではとりわけ面白いと感じた2点の拵についてそれぞれ個別にフォーカスして書こうと思います。


そもそも前提として現存している拵の殆どは江戸期のものであり桃山時代よりも古い拵というのは殆ど見ないのですが、これは金属の刀と違い木である鞘や糸など素材的に劣化しやすく残りづらい為です。
古い目貫などが残っているのは金属だからです。
故にこの場に15点以上も古い拵が並ぶというのは驚くべき事で、聞く事によるとこうした古い物は神社仏閣に奉納されているケースも多いといいます。(大名家だけでなくとも、一般的な武士が奉納していたような神社もある)

画像出典:「日本文化研究報告第八 法隆寺西円堂奉納武器」より
今回の講師である伊藤満さんは、こうした時代物の拵の資料として「日本文化研究報告第八 法隆寺西円堂奉納武器(昭和13年 末永雅夫 著)」が参考になると言います。
これは法隆寺西円堂に奉納された武具の調査報告ですが、鞘に奉納年月日を記したものがありその時代の打刀の様式が分かるそう。







また、一般的に鎌倉時代などの拵は現存がほぼなく、数少ない獅子王のような革包太刀拵をベースにそのような拵が流行ったのではないかと私などはつい想像していたのですが、伊藤さんが弘安11年(1288年)の「山王霊験記」を見てみると、長大な「打刀」を指している人物が描かれていたそうです。
加えて2024年にBoris Markhasin氏により「放射線炭素年代測定による刀装具の年代測定」という研究発表が行われ、笹野大行氏旧蔵の打刀拵が、テストの結果鎌倉末期から南北朝期の物である事が分かるなど、打刀拵というものが鎌倉時代頃から存在していた事が伺えるとのこと。
そんなことを考慮しつつ、伊藤満さんが導き出した鎌倉末期から江戸初期にかけての打刀の特徴が配布資料に載っていたので貼らせて頂きます。
特に鯉口と栗型の距離や、返角の形、柄の形などに時代色が現れるといいます。

「時代拵について 伊藤満」より

「時代拵について 伊藤満」より
これをもとに並んだ展示品を見てみると面白いです。
テーブル右から順(古い順)に掲載します。
因みに柄と鞘、刀装具、それぞれの年代が必ずしも一致しているとは限りません。(例えば柄は室町時代、鞘は江戸時代という可能性も大いにあるという点はお忘れなきよう。そんなこともあるので例えばBoris氏による調査方法などは日刀保の審査でも広く普及してほしいと思わずにはいられません)






鯉口と栗型の距離、返角の形、確認できましたでしょうか?
あと個人的には鞘の反りの形なども時代特定には重要そうに感じます。
柄が古そうに見えても鞘に反りが無ければ江戸時代辺りの可能性が高そうなどなど。ただ鞘だけ変わっている可能性も無きにしも非ず、やはりBoris氏の~(以下省略)が大切かと。
パーツパーツでも時代の分類が出来れば整理して組み合わせることで時代ごとの拵の形態を整理でき研究も進みそうです。
②と③では特に面白いと感じた、以下2つの拵について書いていこうと思います。という事で今回はこの辺で。



(2025.10.11追記)
日刀保山梨支部長の伊藤満さんの方でも今回の展示に時代拵のブログを書かれていましたので紹介させて頂きます。より情報が整理されていて理解しやすいので是非!
②へ続く
今回も読んで下さりありがとうございました!
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それでは皆様良き刀ライフを!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

