見出し画像

真鶴と湯河原の学校の在り方について

先日、真鶴町が進めている学校建設の対話型プログラムに参加してきました。

真鶴町の教育課主催対話型プログラム

全4回からなるプログラムで、誰でも参加可能。
湯河原町からも教育関係者が参加しているので行きたいと思っていましたが、最終回のみ参加できました。

デザインや進行も素晴らしく「良いコンサルが入っているな」という印象。このプログラムに予算がいくらかかっているかが気になりましたが、対話会としては豪華でしっかりした、申し分ない会だと思いました。

設計者自らが設計の特徴を説明
沢山の人で溢れていました

私が参加したのは全4回中4回目の設計のお披露目会という内容でしたが、新たに引いた設計図から、学校で地域住民との交流ができるなど、最近のトレンドをよく取り入れ、真鶴町の地域性や土地の事情も良く勘案された素晴らしいつくりとなっておりました。

よくよく考えられたつくりの設計図(1階部分のみ)

予算が気になる…

さて、ここでどーしても気になってしまうのが予算の話。設計の説明を受け、図面を見る限り、真鶴の町民の要望もふんだんに入れ込んだ夢の様な作りの学校。
そりゃぁこんな理想的な学校が作れたらみんな嬉しい!
・・・でも、60億じゃ済まないぞ、これは、と思いました。
(学校の建設には大体55億くらいかかると言われるのですが、昨今の物価高騰から60億くらいはかかるだろうというのが大体の予想でした)

そこで、各机に1人担当のスタッフさんがいらっしゃったのと、これまで4回全て参加されたという参加者の方が同じグループにいらっしゃいましたので、「この会(今までの1〜3回)で、予算の話は出てるんですか?」とお聞きすると、予算に関して公表されているものはまだない、とのこと。

そ、それはなんかちょっと心配…!
これだけ良いものを提案しても、めちゃくちゃお金かかっちゃったどうするの⁉️そして、それで議会が予算を下さなかった場合、作った設計図はパァ⁉️…というのは議会関係者であれば誰もが心配するところではないでしょうか。。。

そして、もう一つ私が注目したところはこちら💁‍♀️

設計図の中の教室に並ぶ机

1年生が30人いるー!(教室に30席ある!)
いや、1年生だけじゃなくて2年生も3年生もなのですが、今真鶴って年間何人産まれてるんだっけ?確か十数人なので、30人の半分以下です。
うーん、真鶴町長が教育移住!と唱え始めてはおりますが、いくら教育移住が進んだとしても、年間の出生数や子どもの受け入れを含め一学年30人にするのは結構大変では…

それに、国からの補助金もこの設計図のどこまでが出るのか(町民が使うスペースもかなりあるので、どこまでが学校建設の予算として認められるのか)不明。

もし、しっかり国からの補助が2分の1出るとしても、後の半分は基本的に町の一般財源!80億かかったとしても40億は町の借金になります。
(真鶴町は過疎債を使えるというご指摘もあるのですが、一度置いておきます。)

真鶴町は水道料金を大幅に値上げするなど、インフラ事業にも相当お金がかかっていますので、さらにこの学校建設が実現するとしたら町全体の大きな負担になる事は避けられないでしょう。なんにしても、おそらくあと10年くらいが真鶴が財政破綻するか否かの山場ではないでしょうか。

因みに、人口6000人ほどの真鶴町の80億(仮に80億とする)規模の学校建設は、か・な・り、異例な部類。真鶴の毎年の一般会計規模が60億ほどなので、全町民が1年受けられる行政サービスやら町の機能よりも高いわけで、町民1人当たり100万以上の負担額になるわけです。こりゃ大変!と思いますが…良いのだろうか…???

ところで「湯河原町はどうなのか?」

さて、一方で湯河原町も小学校の建て替え、中学校の移転も含めた建て替えの議論があります。真鶴とは違ってまだ議論の始まりの段階です。

湯河原町の小中学校の在り方で今まで共有されてきた要点は簡単に以下。

  • 湯河原町もまた、出生数は減り、数年後には出生数は年間50人を割り込む勢いであり、小学校と中学校を集約化していくという考え方。

  • 小学校も中学校も老朽化が進んでいる中、建て替えの議論を始めなければならない。

  • 中学校は3・11の際に移転問題が勃発し、地震、津波の際に今の場所(海沿い)に中学校がある事が良いのかどうかという議論は無くなっていない。(今の中学校の場所への建て替えは難しい)

  • ただ、湯河原町の中心地には学校が建てられる様な敷地の土地がない。元々の湯河原中学校の土地はJCHO湯河原に売却。それ以外に中学校が建てられるような公大な土地は山の方に行かないとないのである。

  • 小学校3校と中学校1校を小中一貫校にするという考え方がかなり前から話されている。

このような中で、湯河原町でもまた小中一貫校なのか、統廃合なのかという議論を始めている最中ではある。

湯河原と真鶴一緒にやらなくて良いの???

前提としてだけど、自治体は合併しなくても、学校を2つ、3つの自治体で一緒に1つ持つことは可能である。(実際にそういった自治体がある)

湯河原町と真鶴町が「自治体ごとに小学校と中学校を一つずつ持たなければならない」という固定概念を取り払えば、両町が一緒に学校を一つ作るほうが子どもの人数や規模感に合っている。そして湯河原町と真鶴町の今の現状を考えれば、両町が一緒に学校を作ることは実は経済的なメリットだけでもなさそうである。

1、経済的なメリット

まずは経済的なメリットだけど、単純に、2町合わせて出生数は100人に満たない。その後はもっと少なくなるのだから、それぞれ一つずつ中学校を持つ今の状態よりも、2町で一つの中学校を持つ方がスケールメリットが大きい。小中一貫校にしてもそれは同じこと。
むしろ真鶴町の様に出生数が十数名の町で、80億(?)かけようというのは異例すぎる。
だったら湯河原町と真鶴町で一緒にやれば単純に町単独での負担は半分で済む
これは今後湯河原町が建て替えや新築を検討しているので湯河原町にとっても同じことである。

2、子どもたちの通学路について

例えば小学校や中学校を統合や新築する際に問題になってくるのが子どもたちの通学路の変化や通学距離が増えてしまう(自宅から学校までの距離が遠くなってしまう)という問題である。過疎地域なんかでは自宅の場所から学校までがとても遠い、なんて問題はよくよくある問題ではある。しかしながら、例えば真鶴の建て替えを予定している現在の中学校の位置に湯河原町の子どもたちも通うという事を想定するのであれば、むしろ湯河原町の中学生は通学経路は短くなる可能性が高い。地図で詳しく説明する。

現在は湯河原町、真鶴町で一つずつの中学校にそれぞれの町内の中学生が通っている。湯河原町は海沿い、真鶴町は駅のすぐ裏にある中学校である。
ざっと通学路の動線を地図上に書くと下の図のようになる。

湯河原町・真鶴町の中学生の通学路動線

湯河原中学校は以前は湯河原町の中央に位置していたが、海沿いになったことで宮上や鍛冶屋からの中学生は随分遠くまで通うことになってしまった。

さて、真鶴町はというと、なんと中学校が駅裏にあるという好立地である。ただ、中学生は駅を使わないので、駅近くの好立地に学校機能があるのはもったいないという意見はある。

しかしながら、湯河原町と真鶴町で一つの中学校を使うとすれば真鶴中学校の場所は、これほど好立地な場所はない。

湯河原町の生徒が真鶴中学校の場所に通う場合の動線

真鶴中学校寄りの湯河原町の生徒は直接真鶴中学校の場所に通う方が湯河原中学校の場所よりも近い。
また、湯河原町の奥地(宮上や奥湯河原)や駅の近くの地域の生徒は駅を使って真鶴駅まで一駅乗れば、真鶴駅裏の中学校まで駅を降りてすぐだ。

ちなみに駅を使う生徒には定期券の補助を出してもまだ、2町で2つの中学校を建てて維持する事に比べれば経済的なメリットは大きいだろう。

3、公教育としてのメリット

では学校教育の質についての子どもたちのメリットはどうだろうか。私は小さな小学校、中学校を少人数で手厚く受け入れるのも一つの選択肢だとは思う。だけど、公教育として、あまりにも少ない人数ではクラス替えもなく、最低人数が必要な部活さえもできない。そういった意味で子どもたちの選択肢が少なくなるのは果たして良い事なのだろうかと思う。
やはり、子どもたちにとって社会性を学ぶ場所であり、同年代の仲間から色々な刺激を受ける義務教育は人数がある程度必要だと思う。
それを考えれば、真鶴町と湯河原町が一緒に学校を建設することは子どもたちにとっても選択肢が広がるメリットとなるのではないか。

4、地域のメリット

今回真鶴の対話会に参加してみて、改めて地域の方が出入りできる学校というのは理想的だと思った。今現在はしっかりと門扉が閉められている小中学校が多い。それは過去に不審者が校内に侵入し子どもたちが被害にあった事件があってセキュリティ強化として学校は門扉を閉める様になり、地域と学校の隔たりが高くなってしまったのだ。

しかし、危険を回避するために閉ざす方向ではなく、むしろ地域の方々を積極的に受け入れる事により、学校内で大人の目が行き届き、事前に危険を防ぐ役割も担ってもらえるかもしれない。

湯河原の中学校は図書室が校舎の端にある事で学校が管理しきれず、いつも鍵がかかっていたという経緯がある。(今でも学校司書さんがいない時は鍵がかかって入れない)
いつでも入れる子どもにとっては逃げ場にもなれる図書室が空いてないなんてなんたることだ!と私は思うけど、こういったことも地域の方に開放される事で管理も行き届く様になるじゃないか。

図書室だけではなく、理想はその土地に住む子どもたちが、地域の方々と交流し、その町の特色である地域産業や風土に触れられるような教育を実現する事だと思う。それには学校を閉ざしてしまっていては勿体無い。

真鶴の小中一貫校の設計はよくできている事は確かで、あとは予算の問題だとは思うのだけど、それを実現するにもスケールメリットを考え複数自治体でやれば実現可能性は高いのではないだろうか。

(補足)小中一貫校にする前に

ちなみに私は小中一貫校には反対ではないが、まだしばらくは湯河原町は小学生が今ある小学校(3校)に通えた方が良いと思っている。そもそも、湯河原町も真鶴町もそれぞれ独自で小学校と中学校を建てるという発想だから仕方なく小中一貫校という話になったのであって、両町で一緒にやるならば両町で小学校3つ、中学校1つでも良いじゃないかと思う。(湯河原町の東台福浦小学校はまだまだ使える)なぜなら小学生のうちは、「自宅から学校に歩いて通う」という経験がとても素敵だと思うから。雨が降っても風が強くても、雪でも、長靴を履いて、傘をさして、手袋をして、小学校まで通った時に、色々な事を考えた経験がある。こんなに寒いのはなぜなのか。どうしたら寒さをしのげるか、風が吹いた時の雨の入射角にはどのような傘の差し方が良いか。そうやって自然から子どもは物理を学び、生き方の知恵を学んでいくと思うから。みかん畑の中を通って学校に行く湯河原の子どもたちは、その何気ない経験がとても貴重だったのだといつか思って欲しい。

すぐ先の未来ではなく、持続可能な未来のために

さて、学校の統廃合だけではなく、湯河原も真鶴も、生き残り戦略を考えなければならない。真鶴町は一歩先の湯河原町だと思っている。
そんな中で再び真鶴町から合併の議論が出ないのは不思議だよねと真鶴町のママ友と話していた。合併は真鶴町にとってはタブーなのだろうか。
確かに湯河原町にとっては真鶴と合併する事にメリットはほぼないが、制度を使って共同でインフラの整備をするにも限界があるので、真鶴町がどうするのかは今後も興味深く見続けていきたい。

その中でも学校建設については湯河原町側にもメリットがあるのだから、合併しなくともできる共同での建設に議論を移せば良いのではないか、と実は真鶴と湯河原の政治に関わる方々には提案をした。まぁどうも、なかなかうまくはいかないのかもしれなですが。。。

最後に:蛇足と邪推

ここからは悪い土屋が出てきて思考実験をしているだけなので見過ごして欲しいが、ここまで考えてからもしかして・・・。と誰も考えてない様な事を言ってみる。

もしかして、湯河原町にとっても真鶴町にとってもメリットがありそうな共同での学校建設が進まない原因は、湯河原町がこういった未来を狙っているのでないだろうか。

「80億かけて真鶴には真鶴町独自で建てた立派な小中一貫校が完成。しかし町民の負担率が高く、ついに真鶴町は財政破綻を迎える。するとかつて夕張市もそうであった様に財政再建団体となる。当然国からの介入もあり、湯河原町も含めて小中学校の統廃合が指示され、湯河原町に吸収合併される事に。つまり、湯河原町は町民の負担なしに、新しい小中一貫校が手に入る」

いいなと思ったら応援しよう!