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「故郷の花はいつでも紅い」仮想映画化

昭和の青春歌謡の大御所ともいえる、橋幸夫さんが9月にお亡くなりになった。
自分ら、団塊世代にとっては、懐かしく思い出深い曲が数多くある。

なかでも、毎年夏の到来を待ちわびるリズム歌謡のメロディーは、当時としては斬新な曲がたくさんあった。
「太陽だって泣いている」「恋をするなら」「あの娘と僕」「恋のメキシカンロック」「恋と涙の太陽」は、当時のエレキブームと相まって、レコードを聴きながら口ずさんだ。
 
橋さんの数多い持ち歌は、ヒット曲よりもマイナーな曲の方が心の中に焼き付いている。
そうした中から一曲選ぶとすれば、断然「故郷の花はいつでも紅い」が浮かんで来る。
テレビで放映する、昭和歌謡の曲目からは、ほとんど流れて来ないでの知る方は少ないと思う。
 
どうしてこの曲なのかというと ・・・
小学校のころ、自分の家にはまだテレビはなかった。
ラジオが主流をなすころ、朝はラジオ番組が時計代わりであり学校登校への目安となった。そこで流れていたのが、この「故郷の花はいつでも紅い」。

調べたら、TBSラジオ放送から地方へ流していた「田園ソング」という番組の中の一曲で、朝7時前後に月替わりで放送されていたらしい。
 
この曲にある歌詞は、自分が住んでいた田舎の風景そのものだ。
「故郷」、「紅い花」、「土手道」、「すすき」、「ひばり」、「川」、加えて同級生に対するほのかな異性への芽生え、そうした思い出のひと時一コマがぎっしりと詰まっている。
今も、そのまま遠い故郷の光景が薄っすらと浮かんで来る。

「故郷の花はいつでも紅い」

ビクターレコード社から、発売当時のレコードジャケット

 
TBS放送ラジオ・「田園ソング」より 放送日:1961年5月20日
作詞:佐伯孝夫 作曲・編曲:吉田正
 
  この土手道は 自転車を ならべて学校へ 行った道
ひばりも鳴いた すすきも揺れた あの子が休むと 淋しゆてならず
学校がその日は 遠かった 遠かった
 
三年前に 東京の 美容師学校へ行った子よ 
いまでは店で 働くそうな この村帰って 自分でお店 
出したら花環を 贈ろうか 贈ろうか
 
この土手道の 長道を 通ればあの子を 思い出す 
達者でいろよ 元気でくらせ 故郷の花は いつでも紅い 
やさしく青いよ 川だって 川だって  
 
そんな思い出に浸っていたら、こんな “仮想・昭和歌謡映画”が出来上がった。



日活映画・『故郷の花はいつでも紅い』
公開予定:1962年 カラー/シネスコワイド
監督:西河克己 キャスト:浜田光夫、吉永小百合、橋幸夫(特別出演)、若い女教師・芦川いづみ 光夫の叔父・川地民夫 光夫の両親:小杉勇、高野由美 小百合の両親:大坂志郎、初井言榮 青年の恋人・西尾三枝子
 
あらすじ
<プロローグ>
東京圏に近いある町、遠くの小さな山並みから迂回する利根川の流れ、のどかな田園風景が広がっている。町全体を見渡せる小高い山の中腹で、若い青年(浜田光夫)が恋人と肩を並べ眼下の町並みを眺めている。
<回想シーン>
三年前の初夏、紅いツツジが咲くころ、この土手道を、浜田光夫と吉永小百合の二人は並んで町の高校へ毎朝登校していた。
二人は、大の仲良しでクラスも同じだ、光夫は熱気やすく冷めやすい性格、小百合は正義感あふれ曲がったことが大嫌い。
光夫の実家は、町でも指折りの大規模農家で、彼は高校を卒業したら農家の後継ぎになる。小百合は、卒業したら東京へ出て美容師になることを夢見ていた。

小百合の家は、戦後の農業改革で本家にあたる光夫の実家から、少ない田畑を分け与えられ細々と農業を営んでいる。両親と弟二人がいるので、小百合の家族は暮らし向きあまり良くない。
ある日、この町に昭和高度成長の波が打ち寄せ、小百合の家の農地が工業団地の予定区画内に入り、高値で購買されそうになり、両親はそれをあてにして期待している。
一方、光夫の両親は、小百合の家へ分け与えてやった農地が高値で売却されそうなので内心面白くない。

そんな、両家が確執する中で、二人は一緒に学校へ通えなくなる。
その年の夏休み前、二人が通う高校の女性教師が産休に入り、東京から替わりの若い女教師(芦川)がやって来た。この美人女教師を目当てに、町内の男たちや学校内ではいろんな出来事が持ち上がる。
そうするうち、町中で大騒ぎになるのが、養豚経営をする光夫の叔父(川地)が女教師の大熱愛、二人はいろんな妨害にもめげず婚約を結ぶ。

やがて、農地売却の話は進むが、工業団地予定計画の見直しが起きてしまい、小百合の農地は対象区画から外されてしまい、父親たちの対立はようやくもとに納まる。
そんなこんなで、冬が過ぎて、春が訪れようとしていた。光夫と小百合の卒業式はもうすぐだ。

光夫は卒業すると、隣の町へ農業実習のため1年間家から離れて暮らすことになった。小百合は、東京へ行って働きながら美容師学校へ入学することが決まった。

四月になって別れの朝が来る。二人は通いなれた土手道を、二人並んで歩き駅に向かう。別れを惜しむ二人だが、運命の時間は短い。
駅舎に着き、列車の中から手を振る小百合、ホームの乗降口で見送る光夫。
光夫が小百合に語り掛ける。
「小百合  !  いつか、町に戻って来いよ、店を開いたら、でっかい花輪を送ってやるからな 必ず帰って来てくれよナ  !! 」 「頷いて」と笑顔で応える小百合。
警笛とともに、小百合を乗せた、列車は東京へ向かった。
光夫は、小走りで列車を追いかける。
 
<エピローグ>
いつの間にか夢を見ていた青年は、恋人に揺り起こされ夢から覚めると、遠くに、在りし日の上りの列車が駅舎から離れるのが見えて来る。
 
♪ 「この土手道の 長道を通ればあの子を 思い出す 達者でいろよ 元気でくらせ  「故郷の花はいつでも紅い」 ♪
のメロディーが被って、終マーク。 

橋さんの「故郷の花はいつでも紅い」は、今も下記 YouTube にてお聴きになれます。音声リンクへ ↓



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