《モコンさんの庭》ぼくのセルアニメ業界現場 WORKS Memo:Events 06・『アウトランダーズ』1986年
原作は真鍋穰治氏『アウトランダーズ』単行本全8巻。これを45分の作品ということで、もとより原作の全部を描ける長さではありませんでした。プロデューサーの岩田弘氏、シナリオライターの寺田憲史氏、富田祐弘氏、ビクター音楽産業の佐藤智子氏らとの打ち合わせで原作のエピソードを活かしつつラブコメとしてまとめる方向になりました。
物語の導入部でもある最初の見せ場は梅津泰臣氏にお願いしました。梅津氏はやはり見せ方が本当に上手く物語の入りにはまさに狙いのとおりだったと思います。
さらに西島克彦氏に『どこでも好きなところを選んで』と絵コンテを見せたところ、一番の見せ場であるカーム王女とバティアとの斬り合いシーンを引き受けてくださいました。西島氏曰く『チャンバラシーンが大好き』ということで絵コンテ以上の内容となって上がってきました。
作曲は若草恵氏で本格的なオーケストラを使った音楽でスターウォーズを意識したスケールの大きな感じに仕上げていただきました。OVAの音楽というよりは映画の音楽と思ってよいような素晴らしい楽曲なりました。
OVAではシングル盤を出さないことも多いのですが、今回はシングル盤をリリースするとのことでした。そのシングル盤のA面の作詞は当時すでに有名人となっていた秋元康氏という強力な布陣、打ち合わせは秋元オフィスでスタッフも数名同席して、依頼内容はビクターのプロデューサーが行うという、きわめて張り詰めた空気のなかでおこなわれました。依頼する詩の内容は事前にビクターの桜井プロデューサーと打ち合わせ済みなのでぼくと制作プロデューサーは立ち会いという感じかと。
秋元氏は真剣な表情でビジネスライクに徹していたのが印象的でした。A面の方は問題なく打ち合わせを終えましたが、B面をラップでお願いしますと依頼したところ即断られました。当時は今のようなヒップホップも出始めで当然日本ではメジャーでもなく、ラッパーも世間に認知されていない時代ですので、かのトニー谷氏のソロバンでリズムをとって『あんたのおなまえ何んてぇの』と同じになってしまうということで断られました。
さて秋本氏に断られたシングル盤B面ですが、音楽関係の作業も終わり近づき急遽ぼくが書くとこになりました。家に帰りそのまま一晩で書いたものを翌日ビクターの桜井プロデューサーに見せたところ、桜井氏はその場ですぐに口ずさみ『あ、いける』と即決、作曲の若草氏にその場で曲のイメージを打ち合わせて翌日には音源を収録しています。ということでぼくはシングル盤B面『Something Wonderful (唄:N&M)』で初めて作詞の版権をいただきました。


イラストは作画監督の浜崎博嗣氏です。
※本稿はぼく個人のセルアニメ業界での実体験をもとにした記録です。当時の資料としてご覧いただけたら幸いです。個人名は当時の状況を踏まえ実名で記しております。関わってくださった皆さまに心より感謝いたします。
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