その企業理念、本当に現場で使われていますか?
多くの企業には企業理念があります。
「顧客第一」
「社員の幸福を追求する」
「地域社会に貢献する」
ホームページや会社案内にも立派な言葉が並んでいることでしょう。
もちろん、それ自体は素晴らしいことです。
しかし、少し意地悪な質問をしてみます。
その企業理念、本当に現場で使われていますか?
朝礼で読み上げるだけになっていないでしょうか。
額に入れて会議室に飾ってあるだけになっていないでしょうか。
そして何より、
社員の皆さんはその内容に共感しているでしょうか。
例えば、
「社員の幸福を追求する」
と企業理念に書いてある。
しかし、
・残業が多い
・人が辞めていく
・現場は疲弊している
こんな状況だったらどうでしょうか。
あるいは、
「顧客第一」
と掲げているのに、
現場は納期に追われ、
顧客の声を聞く余裕すらない。
これでは社員も、
「言っていることとやっていることが違うな」
と感じてしまいます。
企業理念が悪いのではありません。
問題なのは、
実態と理念が離れてしまっていることです。
中には、
「創業時にとりあえず作った」
「それらしい社訓が必要だった」
という理由で作られたものもあります。
しかし会社は生き物です。
市場環境も変わります。
社員も変わります。
顧客も変わります。
だから企業理念も、時代や会社の状況に合わせて見直して良いものだと私は思っています。
むしろ、
実態とかけ離れた理念を読み続ける方が、
社員にとっては苦痛かもしれません。
もちろん、専門家に依頼し、高額な費用をかけて企業理念を再構築する方法もあります。
しかし私は、
まずは社内でしっかり議論することから始めても良いと思っています。
そのための簡単な方法を紹介します。
① 日々の仕事で感じることを書き出す
まずは社員の皆さんに、
日々仕事をしていて感じていることを書き出してもらいます。
例えば、
・仕事をしていて嬉しかった瞬間
・顧客に貢献できたと感じた場面
・長年取引してくれている顧客が喜んでいること
・自分たちの仕事で誇れること
などです。
立派な言葉は必要ありません。
実際に起きていることを書いてもらうことが大切です。
② 共通点を探す
次に、
それぞれが書いた内容を共有します。
すると、
表現は違っていても、
実は同じことを言っているケースがたくさんあります。
例えば、
「納期を守る」
「困っている時に助ける」
「細かな相談にも対応する」
などです。
そこから、
自分たちが誇れることは何か。
会社の強みは何か。
3つ程度に絞り込みながら議論します。
この時大切なのは、
誰か一人が決めるのではなく、
話し合いながら作ることです。
③ 顧客にとっての価値を考える
最後に、
その誇れることが顧客にどんな価値を生み出しているのかを考えます。
自分たちが誇りに思っていることでも、
顧客に価値が伝わっていなければ意味がありません。
例えば、
「迅速な対応」
であれば、
顧客にとっては
「納期の不安が減る」
かもしれません。
「丁寧な加工」
であれば、
「安心して任せられる」
かもしれません。
自分たちの仕事と顧客価値を結びつけて考えることが重要です。
ここまで整理できると、
例えば、
「私たちは○○に誇りを持って仕事をし、○○を通じて顧客の○○に貢献する」
という土台が見えてきます。
そしてその素材をもとに、
・何のために会社は存在するのか(Mission)
・どんな会社でありたいのか(Vision)
・何を大切に働くのか(Values)
を改めて考えることができます。
企業理念は、経営者が社員に教えるものではありません。
会社で働く人たちが、
「私たちは何を大切にして働いているのか」
を確認するためのものなのだと思います。
だからこそ、
立派な言葉を並べることよりも、
現場で実際に起きている誇りや喜びを言葉にすることが大切です。
そこから生まれた企業理念こそ、
経営者、社員、顧客が同じ方向を向くための土台になるのではないでしょうか。
