好き化粧【毎週ショートショートnote《裏》】
化粧が好きだ。僕は。
近所でも評判の美人だった、母に似ているらしい。
僕は小柄で、色白で、目が大きくて筋肉量が少ない。子供のころから女の子だと思われてばかりで、願わくば、僕自身もそうでありたかった。
先日の放課後、女の子たちが中学校に化粧道具を持ってきていた。
文字通り、指をくわえて見ていた。そうしたら、彼女たちは僕にも化粧をしてくれた。友達になれたのだ。
自分の生きかたを確信したのは、そのときだ。
小遣いをはたいて、化粧道具を買い集めた。
友達と研究した。やりすぎないように。いちばん可愛く見えるように。
春からは高校生になる。
僕は正座して、父に頼んだ。スカートの制服を着たいのだと。
母不在のこの家で、家事全般は僕がこなしてきた。今後もそうだ。
そのあたりが、父が承諾した理由なのだろう。
届いたスカートの制服で。
好きな化粧をして、姿見の前に立った僕は有頂天だった。
女子高生に、僕はなる。
完
(本文402字)
参加させていただいたのはこちら。
