読書記録「GO」
川口市出身の自称読書家 川口竜也です。
今回読んだのは、金城一紀さんの「GO」角川書店 (2007) です。
・あらすじ
14歳のとき、僕は〈在日朝鮮人〉から〈在日韓国人〉になった。
マルクス主義を掲げていた親父が急に「ハワイへ行く」と言い出し、その2ヶ月後には韓国人なった(国籍は金で買えると親父は言った)。
とは言え、僕にその実感はない。僕は日本で生まれて、日本で育った。民族学校に通っていたけれども、日本語以外は基本喋れない。
学校では「朝鮮人としての自信と誇りを持て」と言われてきた。そういう帰属意識は大事だと思うが、朝鮮人の魂なんて持ってない。
昔、親父は「広い世界を見ろ」と言っていた。それに従ったと言うと癪だが、僕は民族学校から都内の男子校に入学した。
そのために民族学校の全員から虐められ、男子校でも喧嘩を吹っ掛けられることもあったけれども、その度にブチのめしてやった。
ある日、友人の誕生日パーティーで、僕は一人の日本人の女の子と出会う。
彼女はとても可愛らしく、ミステリアスで、とても魅力的だった……。
「国籍とか民族を根拠に差別する奴は、無知で弱くて可哀想な奴なんだよ。だから、俺たちが色々なことを知って、強くなって、そいつらを許してやればいいんだよ。まあ、まだ俺はその境地には全然達していないけどね」
去年の上野不忍通りは、「池のほとりの本の道」の持ち込み本棚企画で交換した内の1冊。
2000年に直木賞を受賞し、翌年には映画化もした本作。前々から名前は存じ上げていたけれども、読んでいなかった作品。
本作は韓国籍であった(現在は日本に帰化した)著者 金城さんの生い立ちをもとにした、半自伝的小説である。
1968年生まれ(川口市出身)の著者が中学・高校生の頃と計算すると、概ね1980年代。
本作の中では、在日朝鮮人・在日韓国人に対する、国籍を理由とした露骨な嫌がらせや罵倒が描かれている。
私も公民の授業でうっすら覚えている程度だが、この頃は日本人の差別意識が顕著だったらしい。
『GO』の時代背景に近い80〜90年代は、北朝鮮のミサイル問題などとも連動して、朝鮮学校の生徒が電車内や駅、通学路で嫌がらせを受けるような事件がありました。そこには「朝鮮人」への直接的な罵倒や、チマ・チョゴリを切られるような暴力が含まれていました。
昔のような直接的な言動は減っているようにも見えるけれども、差別意識が無くなったのかと問われたら、決してそうではなく。
現代でも、TwitterやYoutubeのコメント欄とかでは、「〇〇人は出ていけ」「嫌なら帰れ」といった書き込みを見かけることは多々ある。
ただ最近は、「差別」というより、「軽蔑」のようなものを覚える。
あまり良い例ではないが、ある人物の失言や事件があった際に、本来はその個人が悪いにも関わらず、それが「国民性」や「民族性」といった拡大的な解釈につながることは少なくない。
要は、「やっぱり〇〇人は〜」、「あの国の人間は〜」といった捉え方になる。問題を起こしたのは、個人であるにも関わらず。
※ 誤解が無いよう。私は拡大的な解釈に関して所感を記しているだけで、個人の犯罪や失言等に寛容であれと言いたいわけでは決してない。
「要するに、何人っていうのはルーツの問題なんだね。それじゃ訊くけど、ルーツはどこまで遡って考えるの? もしかして君のひいおじいちゃんに中国人の血が入っていたとしたら、君は日本人じゃなくなる?」
現代の人類学や霊長類学を踏まえて、人類のルーツを辿っていけば、大体は500万年前のアフリカにあると考えられている。
それが長い時を経て旅を続けて、地球の各地に人類が定住するようになる。小規模な集まりは村となり町となり、国となる。国と国とが区別され、いつしか日本人やアメリカ人といった国籍で分類されるようになる。
その国籍でさえ、住居条件や能力条件等を満たし、国の承認を得られたら変更も可能である。
調べながら書いているため、情報の誤りはあるかもだけど。何が言いたいのかと言えば、案外「そういうもの」でしかないということ。
そう言ったときに、果たして自分は「何者」なんだって。
「ノ・ソイ・コレアーノ、ニ・ソイ・ハポネス、ジョ・ソイ・デサライガード(俺は朝鮮人でも、日本人でもない、ただの根無し草だ)」
だけど、そう簡単には「個人」と「国(国籍や民族性)」を分けて考えられるものではない。
読書会の主催として、露骨な反日感情を持つ方に会ったこともあれば、逆に「日本人であることの誇り」が強すぎる人に会ったこともある。
それゆえに、全員がそういう感情や気持ちを持っているわけではないと思いつつ、頭の中で拡大して解釈してしまう自分もいる。
うーん。自分は結局何が言いたいのだろう。
内容はまとまっていないし、もしかしたら読んで嫌な気持ちになった人もいらっしゃるかもしれない。
少なくとも、自分とは「何者」なのかと、考える機会にはなったかな。
川口市出身の日本人ではなく、川口竜也として。それではまた次回。
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