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「裏ワザ」をめぐるゲーム環境の変化

1980年代中ごろ、ファミコンが急速に普及していくとともに「裏ワザ」がブームになった。
学校の友達同士の情報交換から、ゲーム雑誌への情報投稿につながり、全国的に裏ワザが広がっていった。
 
ブームの火付け役になったのは、『スーパーマリオブラザーズ』(任天堂/1985年9月)だろう。多くのユーザーがプレイしていただけに無限増殖、隠し部屋、コンティニューなど裏ワザは共感の度合いも大きかった。

こうしたゲームユーザーの動向を誌面に反映させたのが1985年7月に創刊した『ファミリーコンピュータMagazine』(以下、ファミマガ)。
『コロコロコミック』や『ファミマガ』の約1年後創刊された『マル勝ファミコン』『ファミコン通信』などのファミコン裏ワザのコーナーも人気だった。

『グラディウス』の「上上下下左右左右BA」と入力する隠しコマンドなど人気タイトルの裏ワザは、ゲームユーザーの間で半ば常識化していた。
中には自社タイトルの販売促進のため、積極的に裏ワザを雑誌編集部にアピールしたゲーム会社もあったようだ。
 
『ファミマガ』を企画・創刊した山森さんは、全盛期同誌は100万部発行したと言っていたが、ファミコンブームと裏ワザブームの相乗効果があったのだろう。「ウソ技」「金田一技彦」といったキーワードが懐かしい。
山森さんの徳間書店インターメディアは、裏ワザだけ集めた『大技林』を1989年創刊している。
裏ワザを介したゲームユーザー同士の情報共有は、ゲーファンコミュニティ形成に大きな役割を果たした。

2000年を過ぎたあたりからゲームビジネスに、本格的にインターネットが普及し、それに伴いPCやガラケー、スマートフォンとゲームデバイスは多様化。ゲームユーザーの世代交代や新たなゲームユーザーの参入もあり、ユーザーのゲームに対する意識は変化していく。
こうした中裏ワザというプログラムのバグが製品の欠陥という見方も出てきた。インターネットを利用したゲームでは、バグがあるとほかのユーザーとのプレイ上のバランスが崩れる。そういう理由だったと思う。
 
やがて各デバイスでゲームタイトルが増加し、ゲームは大きなビジネスになった。
それにともないデバッグの需要が増加、デバック専門の会社の中には上場するところも現れた。デバッグは産業になった。
ガラケーのゲーム会社、ソーシャルゲームの会社、スマートフォンのゲーム会社は次々に上場し、ほかの商品同様ゲームも品質管理マネジメントが求められるようになる。

ゲームの裏ワザ発見がなくなったかというと、そうでもない。
オープンワールド・タイプのゲーム、例えば『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』(任天堂/2023年)では、複数の裏ワザをユーザーたちが発見している。こうした大容量のゲームは、デバッグが容易ではない。
 
ゲーム業界では、デバッグのAI化を進めている会社が増えているようだ。最近そういう話をよく聞く。実際どの程度実用化しているのかわからない。
だが、デバッグがますますシビアになることは間違いないだろう。これから先「裏ワザ」は生き残ることができるのだろうか。