『ゲーメスト』から『アルカディア』へ
1980年代半ばから1999年まで刊行されていた『ゲーメスト』。
アーケードゲームファンたちの絆の強いコミュニティを作った雑誌だ。
発行していたのは新声社。神保町に自社ビルあった。
相談したいことがあるというので、この会社に出入りしていたのが1990年代の後半。前の会社を辞めたころだ。
編集業務を統括していた専務と社長はご夫婦で、子息が営業部長という家族経営の会社だった。
社長、専務とは何度かミーティングを行ったが、編集責任者のSさんもときどき参加していた。
『ゲーメスト』の功績のひとつに『ストリートファイターⅡ』(以下、ストⅡ)大会がある。
このタイトルは1991年アーケードゲームとして登場。翌年スーパーファミコン版が発売されて大人気になった。
アーケードゲーム版がリリースされた半年後、『ゲーメスト』編集部は、池袋のサンシャインシティ展示ホールで『ストⅡ大会』を開催した。
会場になった池袋サンシャインシティには、多くの『ストⅡ』ファンが集まった。
当時複数のゲーム会社が集まってサンシャインシティでゲーム展示会を開催していた。東京ゲームショウができる前の話だ。
『ストⅡ大会』は、試合に勝った選手同士が対戦して勝者を決めるトーナメント方式で行われた。試合には500人以上が参加したそうだが、観客を含めるとかなりの人だかりだったらしい。
試合の運営は新声社のスタッフが行った。イベント実況・進行は前述のSさん、『ゲーメスト』編集長のIさんが解説を行った。このイベントは当時業界で話題になった。
イベントがトーナメント方式で実施され、イベント進行を実況担当が、また試合の解説を専門家が行うという運営スタイルは、今日のeスポーツイベントに受け継がれている。
事業を拡大していた新声社は残念ながら1999年倒産。
ゲーム業界で『ゲーメスト』はどうなるのか、という話題が広まっていたころ、編集責任者のSさんから連絡があった。
編集スタッフが会社近くの公園に集まって話し合っている。みんなもう一度アーケードゲーム雑誌を作りたいと思っている。出版社を紹介してほしい。そういう相談だった。
何とか力になろうと思い、『ファミ通』など様々なゲーム雑誌を出版していた会社の浜村社長に早速連絡した。そのころこの会社の編集アドバイザーのようなことをしていた。
浜村さんの返事は、前向きに考えたい、ということだった。
Sさんにその旨を伝えた。彼は、知人にも同社の紹介を依頼したという。親しい間柄のようだった。彼らの人間関係をまずくしたくなかったので、この案件から退くことにした。
浜村さんの会社には、月に何度か顔を出していた。
あるとき某誌の編集スタッフから、今度アーケードゲームの雑誌を創刊するという話を聞いた。誌名は『アルカディア』ということだった。
その話を聞いたとき、何だか肩の荷が下りたような気がした。
『アルカディア』は、休刊まで多くのアーケードゲームファンの拠り所になったと思う。
