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karatchi
夏は夕暮
夏は夜、秋は夕暮などと、世に言はるれど。
夏の夕暮も、またをかしきものなり。
やうやう日沈みゆき、山ぎは暗く並びたるなど、をかし。
橙の灯の田にうつりたるも、をかし。
やがて団地群あかく染まり、
子らひとり、ふたりと居に戻りゆくさま、いとあはれなり。
そのさまを清はみて、いかに詠まむ。
とも知れず。
KAWAI
補記:現代語訳
夏は夕暮れ
世間では「夏は夜、秋は夕暮れ」がよい、
なんてことはよく言われることである。
しかし夏の夕暮れも、やはり捨てがたく、
趣を強く感じさせるものだ。
ゆっくりと日が沈んでいき、
山の端が次第に暗く連なっていく光景は、
なんとも趣深い。
田んぼに橙色の灯りが映り込む様子、
それもまた美しい。
やがて団地の建物が夕陽に赤く染まり、
子どもたちが一人、また一人と家へ帰っていく。
その様子は、しみじみと心に染み入るものがある。
もしその光景を、清少納言が眺めたら、
どんな言葉を紡ぐだろうか。
それは誰にもわからない。
あとがき
ある日、北海道の田園を車で走っていた。
夕焼けがとても綺麗な日だった。
車をそっと道路端へ停めて、外に出る。
辺りを見ると、なんとも言えない美しい景色が広がっていた。
しばらく眺めていると、『枕草子』の書き出しが頭に浮かんだ。
美しいものを言葉にすることは、とても難しく、もどかしい。
昔の言葉の響きが、そんな気持ちを手伝ってくれた。
「清少納言なら、もっとうまい表現をするだろうな」
そんなことを考えながら、思いつくままに書いた。
作中に団地の描写があるが、当然その時見ていた田園に団地はない。
ただ、夏の夕方の団地の雰囲気が好き。
KAWAI
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