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新ファン・ゴッホの手紙の完全版の翻訳を日本で初めて挑戦する

ファン・ゴッホの手紙の翻訳は旧訳と新訳がある。旧訳はみすず書房が全6巻で出版しているが、新訳の完全版はまだ出版されていない。
圀府寺司氏が全2巻で出しているが、全2巻では肝心な手紙がほとんど省かれているから、研究本としては成り立たないし、特に日本人の興味のある浮世絵版画やちりめん絵が書いてある手紙の多くが省かれている。
つまり、ファン・ゴッホの手紙の新訳を出版するというのは一つのニュースなのだが、私が無名で権威もないから何のニュースにもならないし、知り合いもファン・ゴッホの手紙には興味が無いのでおそらく私が見本として買っている以外売れていないのではないだろうか。
ファン・ゴッホの絵の展示会ならば長蛇の列となるのに、ファン・ゴッホの手紙に興味を持つ人はいないのだ。
そして、ファン・ゴッホの手紙を読まないで書いたファンタジー小説が名著などと思われているのだから、世の中の権威とか有名だとかはこの世界では重要なのであろう。
私は包装より中身が重要だという人生を送っていたから、中身さえしっかりしていればいずれ分かってもらえると信じていたが、どうもこれは私の負け戦かもしれない。これはファン・ゴッホの絵と同じ運命ともいえる。私も死んでから評価されるのかもしれない。
私の書いたファン・ゴッホの手紙は、手紙の和訳だけではなく深読みの一文も載せている。例えば、手紙601の深読みでは次のように書かれている。
「テオの固定給について、フィンセントは把握していたはずだ。パリで2年間同居していたのだから、当然耳にしていただろう。テオの固定給は1882年から年間4000フランで、月給は333.35フランであった。その中からフィンセントに150フランを送り、親にも仕送りをしていたとなれば、基本給だけではテオ自身の生活は成り立たない。
フィンセントもグーピル商会の元社員であるから、基本給の他に年間利益分配(ボーナス)があることは承知していたはずだ。しかし、売上によって変動するこの金額は不透明であり、テオもはっきりとは明かさなかったに違いない。テオは1882年から1890年にかけて、支店の純利益の7.5%を受け取っていた。
その実績は以下の通りである。
1882年:7,242フラン   1883年:8,226.80フラン   1884年:6,943.65フラン
1886年:9,840.50フラン  1887年:7,467.10フラン   1888年:9,619.10フラン
1889年:6,881.55フラン  1890年:8,247.05フラン
これらは別会計であったため、フィンセントはその正確な額を想像するしかなかった。固定給と利益分配を合わせれば年間約12,000フラン、月収にして約1,000フランとなり、テオは立派な中産階級であったと言える。これだけの収入があれば、フィンセントへの仕送りも決して不可能ではない。事実、フィンセントがねだれば月150フランを超えることも多々あった。だからこそフィンセントも、金がない時などは「まだ余力があるはずだ」と考えたのであろう。
テオ側からすれば、フィンセントや親への仕送りのほか、将来の結婚やマイホームのための貯蓄も必要であった。だからこそ、フィンセントには何としても月150フランの枠内でやりくりしてほしかったのである。フィンセントのような性格の者に余裕があることを知られれば、どれほど要求がエスカレートするか分からない。この手紙は、そんな兄弟間の高度な「駆け引き」の記録なのかもしれない。」
というようにテオの年収のことを書いた。テオの年収をこれまでの研究家は誰も(世界中で考えればいたかもしれないが、日本の研究家ではまだ見たことが無い)書いていない。これは、ファン・ゴッホの研究をちゃんとしている人がいないからだ。テオが兄のフィンセントに毎月150フランを提供していたというところまではほとんどの研究家が書いているが、テオの給料が分からなければ、その150フランがテオにとってどれだけ大変なのか、ゆとりがあったのか分からない。それほど重要なことなのだが、これまでの研究家にとってはどうでもよいことなのだったのだろう。
この深読みの文章はいたるところに載せている。そして、そのほとんどがこれまで誰も書いてこなかったことばかりである。
ファン・ゴッホの手紙の新訳の和訳でさえ画期的なのに、深読みはもっと凄いことを書いてあるのだ。
しかし、前記した如く、おそらく売れないだろう。
それでも、今は売れなくて正解である。何しろ、出版してから間違いに気づくのが多いのだ。致命的な間違いも載せてある。
アマゾンの出版は間違いに対しては優しい。直せるからだ。
これが一般の出版だったら発売したら増刷が無い限り間違いを修正できない。
特に表紙が気に入らなかったから、直ぐに変更した。つまり、旧表紙の本はおそらく私が買った1冊しか現存しないということだ。もしかしたら誰かが買った可能性もあるが……

旧表紙
新表紙

ただ、ファン・ゴッホの手紙を全部翻訳して出版したわけではない。今のところアルル編の前編だけだ。たった90くらいの手紙で300ページを超えてしまったので、アルル編を二つに分けるしかなかった。またカラー印刷で出版したかったのだが、A4判だとプレミアム以外の普通のカラー印刷はB5判にしなければならず、それだと400ページを超えてしまうため、価格も1万円近くいくのではないかと白黒版にした。但し、キンドルならば全カラーで1000円なので、できればキンドルにしてもらいたい。それにプレミアム会員だと0円で買えるみたいだ。


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