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第一回 うらうらとよしなし事                        ご挨拶

『月日は百代の過客にして行きかふ年もまた旅人なり』こう始まるのは江戸時代の旅人にして歌人、松尾芭蕉が著した『おくのほそ道』。私も少なからず人生を旅して河村屋に流れ着いた。そして河村屋も芭蕉と同じ江戸時代に息づいていた。

 五街道で賑わった時代、河村屋はもとは酒屋だったそうだ。当時の酒屋は酒蔵から酒を桶ごと買いお店で加水やブレンドを行い独自の味を作って量り売りしていたといわれている。つまり同じ酒でも酒屋の売り方次第で売れる店と売れない店があったわけだ。

 時は流れそんな酒屋の文化はいまはもう無いが『角打ち』の文化は残っている。酒を買ったはいいが家まで待ち切れない!そんなせっかちな江戸っ子が四角い枡で店先で飲み始めたのが『角打ち』の始まりともいわれている。

 お天道さまの高いうちから店先で至福の米の水を呑む、緊張がほぐれて穏やかな海へと心が滑りだす。少しの背徳感を感じつつも…なんという幸福感!旨味の強い酒には塩味の効いた漬物が最高だ。この組み合わせは江戸時代以前から現代まで変わらない。

 酒と発酵食品が好きだけの縁で河村屋に流れ着いた私。皆様には今後とも『よしなしごと』にお付き合い頂ければ恐悦至極。先ずはご挨拶まで。

                  香