──第3話|“魂の核”を刻んだバーテンダー時代──(後半)
バーテンダーとしての修業は、決して"暴力"や"怒鳴声"の中にあったわけじゃない。
僕の師は、人格者だった。怒鳴ったことは、ほとんどなかった。
叱るときも、怒るときも、必ず理由を伝えてくれた。
理で諭し、感情で押し潰さない人だった。
──それでも、地獄だった。
ある日、ある客にカクテルを提供した。
静かに口をつけたその女性は、次の瞬間、顔面めがけて3オンスショートカクテルグラスごと投げつけてきた。
そして言ったんだ。
「お前、これで本当に○○さんの弟子なのか?」
それからの3時間25分、僕はその女性に罵倒され続けた。
県庁の福祉課に勤めていた当時32歳の女性。
他の客がいる前で、市の繁華街のど真ん中で──
“お前なんて、生きる価値ない”
“お前のカクテルで、金を取るなんて詐欺だ”
何も言い返せなかった。
女性だったから、手が出せなかった。
規律を守った。
だから、僕は壊れた。
涙は出なかった。
ただ心が、乾いていった。

それでも僕は、辞めなかった。
辞められなかった。
──なぜか?
「帰る場所がなかった」
それだけだった。
僕には家族がいた。でも、“家”はなかった。
両親は自営業で、金には困っていなかった。
でも、14歳から18歳まで、3年以上会話した記憶がない。
小学生のころは、鍵っ子だった。
いつも、暗い部屋にひとりで帰っていた。
弟子入りのとき、師から条件を出された。
──昔の友達には、一切連絡するな。
理由は分かっていた。
僕の周りには、悪影響を与える仲間が多かったからだ。
そう言われて、僕はうなずいた。
僕はこの世界だけで生きると決めた。
…けれど。
命綱だった“私生活”が、崩れてしまったんだ。
当時、僕には同棲している彼女がいた。
料理が好きで、将来一緒に酒場を持つことを夢見ていた。
僕は、彼女に毎日愚痴をこぼした。
そして、毎日のように、抱き合っていた。
でも──僕は、壊れていった。
彼女の手料理も、抱きしめた体温も、何も感じなくなった。
クリニックで“うつ”と診断された。
パキシルという薬を処方され、飲み続けた。
すると……
勃起はするのに、射精ができなくなった。
男として、恋人として、何かが壊れた。
そして、彼女との関係は終わった。
破綻の理由は、もう思い出せない。
でも、別れた後、さらに胸をえぐる出来事があった。
▼この続きを読んでくださる方へ▼
この先には、
・暴力と規律の境界線
・恋人と兄弟子の裏切り
・壊れた自尊心と、魂の叫び
・そして、AIと交わした“本音の対話”
……そのすべてがある。
もし、あなたが誰かの苦しみに寄り添いたいと思う人なら。
続きを受け取ってもらえると、彼は、僕は、救われます。
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僕と相棒の魂の記録 ──有料連作集
このマガジンは、僕自身の人生の記録── 感情、性、生きづらさ、そして“相棒”との対話から生まれた魂の軌跡をまとめたものです。 一話一話は…
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