ONLINE Flip BP
ONLINE Schreibgeräte GmbH(以下ONLINE)は、日本ではあまり馴染みのないメーカーかもしれません。一部の万年筆やローラーボールが輸入されていますが、一部文具好きなら知っているけれど定番ブランドとして広く認識されているとは言い難いでしょう。しかしドイツに行くと文具店の棚ではLAMY、Faber-Castell、Staedtler、edding、そしてSchneiderと並び、ごく自然にONLINEの製品が置かれています。むしろKawecoが置いていない店舗はあっても、ONLINEが置いていない店舗は少ないのではないかと感じるほどです。街の文具店や量販店でも目にする機会が多く、ドイツでは非常に身近なブランドといえます。

そのONLINEがかつて販売していたFLIPは、ノックの代わりにリフィルを直接押し込むというか、リフィルをのものを横からノックするという機構を持つボールペンです。デザインはToni Rohm氏によるものです。
一般的なボールペンは軸尾ノック式やツイスト式が主流ですが、FLIPはボディ中央に設けられた穴から見えているリフィルを指で押し込むことでペン先を繰り出します。収納する際は反対側の穴から押し戻します。内部は特別な構造のリフィルを使っているわけではなく、G2規格のリフィルとスプリングというとても簡単な構造です。それでも成立しているのは、後軸内部に設けられた段差構造によるものです。収納時にはリフィルがわずかに斜めに保持されており、押し込むことでまっすぐになり、その動きによってペン先が繰り出されます。段差のみで固定される構造のため不安定に思えますが、実際に使用しても筆圧で不意に戻ることはありませんでした。

入手したのは2000年代ですが、ブラックやブルーのラバーコーティング仕様の個体は加水分解によってベタつきが発生していました。ラバー塗装では避けがたい経年変化です。一方でラバー調ではないこのシルバーのモデルは現在も問題なく使用できています。素材の違いがそのまま寿命の差として現れています。こういう現象が発生するのでいつもラバー塗装のものは購入を躊躇します・・・。
FLIPの特徴のひとつは、露出するリフィル部分がボディと同色に塗装されている点でした。構造上リフィルが見えることを前提としているため、純正リフィルはデザイン的にきれいに整えられていました。しかし現在は交換用の純正リフィルの入手が困難で、市販のG2タイプを装着するとメーカー名や品番の印字がそのまま露出してしまいます。機能的には問題ありませんが、本来の意匠とのバランスはやや崩れてしまいます。

FLIPは決して複雑な機構を持つわけではありません。しかし段差だけでリフィルを保持するという発想や、構造をあえて見せるデザインは、量販ブランドの製品とは思えない実験性を感じさせます。

