40代で初体験 バルセロナ空港で寝る
靴を履いたままのおばさんの足が、私の枕代わりのリュックを押してくる。
深夜2時のバルセロナ・エル・プラット空港。
押し返す気力もなく、私はベンチの上で固まっていた。
「この歳になって、いったい何をしてるんだ」
カミーノ巡礼が終わると、巡礼友達の大半はポルトガルに向かった。
「物価が安い、ご飯が美味しい、人が優しい」それがポルトガルらしい。
行ったことないから知らんけど。
私はというと、ずっと前からバルセロナ行きの飛行機を予約していた。
サグラダ・ファミリアだけは、この目で見て帰りたかった。
出発前、空港ラウンジで「ワインとチーズと生ハム」を平らげ、ついでに「タルタ・デ・サンティアゴ」も完食。 大満足で、夜の便に乗り込んだ。
22時過ぎ、バルセロナ・エル・プラット空港ターミナル2に到着。
数日前まで1泊15ユーロ前後のアルベルゲに泊まっていた身には、60ユーロ超えのドミトリーは高すぎた。寝るだけで1万円超え。
……無理。キャンセルしよう。
そこから検索するのは「バルセロナ 空港泊」。
どうせ調べても覚えないし、活用しない。それでも、検索してしまう。
経験者の体験談から安心を得たい。
到着後、あえてゲートの外には出なかった。一般エリアは誰でも入れてしまう。保安検査を通った内側の方が、まだ安心だろうと踏んだ。
とりあえず人通りの多いエリアを求めて空港内をうろつく。Gate C のマクドナルド前で3回は悩む。ここに居座るか。あ、ここにも「UDON」があるんだ。巡礼中も何度か前を通った「UDON」。一瞬、心が揺れた。でも、海外で日本食にお金は使いたくない。
結局、先客5名がすでに陣取っていたインフォメーション横の曲線ベンチを寝床とすることに。

24時、まだ早い時間だったのか、足を伸ばせるスペースを確保できた。
トラベルブランケットを巻きつけ、フードを被り、リュックを枕にベンチに横たわる。
うとうとして数時間。起き上がると、景色が一変していた。
周りには20人近くが寝ていた。……もはやアルベルゲ。
違うのは、巡礼者ではなく、空港泊ガチ勢だったことくらい。
頭上には靴を履いたままのおばさんの足。汚い。
ベンチを挟んだ向かいにも爆睡中の女性。
私より先に寝ていた男性は、少し席を外した隙にベストポジションを奪われたらしく、戻ってきて呆然としていた。
まさに老若男女、空港泊民は、こんなに多いのか。
そして、1箇所に固まる習性があるのか。
もしや、この曲線ベンチ、空港泊定番スポットなのか?
さらに、広い空間に響き渡るいびき。ここまで熟睡できるって。
「誰や。」と、いびきの主を探していたら、
向かいの男性が耳栓をくれた。そんなとこまで、アルベルゲと同じ。
朝5時。
ベンチを離れるころには、夜中に感じていた情けなさはもう消えていた。
もう二度と空港泊はしたくない。
でも、人生で一度くらい、こんな夜があっても悪くない。
長かった旅の最後は、念願のホテル泊だ。
<旅メモ✈️>
・保安検査後エリアの曲線ベンチがおすすめ
・耳栓必須
・ブランケットがあると安心
⭐️カミーノ巡礼の記事はこちらのマガジンにまとめています。
いいなと思ったら応援しよう!
ありがとうございます。旅代にさせてもらいます✈️