【掌編?】こんな夢を見た その1
こんな夢を見た。自宅のいつもの食卓で、盛りつけられたざる蕎麦を前にして、私はひたすら納豆をかき混ぜていた。
ほんの数m離れたキッチンには、そのざる蕎麦を用意してくれた、そして、この世に存在する食べ物のうちで納豆が最も嫌いだと公言してはばからない夫がいる。
納豆を混ぜる手は止まらない。立ち上る発酵食品の香り。
このままでは夫にバレてしまう。田中家では、納豆だけは本当にダメなんだ。焦っているのに手は止まらない。
納豆を混ぜ続け、だんだんと手ごたえが重たくなる。あぁ。この納豆を今すぐお蕎麦と一緒に食べたい。
でも、それを「このざる蕎麦」で食べることは絶対に許されるものではない。それは夫の目には、妻の不倫にも等しい、いやそれ以上の裏切りに映るに違いない。
それなのに。手は止まらない。
納豆が。
存分にかき混ぜられた納豆が。
その菌糸のようなねばりけが。
ざる蕎麦をと麵つゆを。
そして私とざる蕎麦を。
心ゆくまでつないでくれるかもしれないのに。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。
そこで目が覚めた。今にも糸を引きそうな汗をかいていた。
※っていう夢をホントに見たというだけの話です
※うちの夫が納豆ダメなのはマジです
※とりあえず「その1」って付けてみたけど続くかは不明。
