結婚と精神医学:マリッジブルーは離婚の予測因子?~精神科医が海外研究をご紹介~
皆様、こんにちは!鹿冶梟介(かやほうすけ)です。
6月といえばJune bride(ジューンブライド)...、そう、結婚式シーズンですよね👰
しかし、同時に6月といえば梅雨...。なんでこんなジメジメした時期にめでたい結婚式をするのでしょうか?
そんな疑問を抱いたので早速ネットで調べてみると、ジューンブライドの起源は古代ヨーロッパにあるそうです。
「6月に結婚する花嫁は幸せになる」という言い伝えがあり、それが現在まで伝わっているそうです。
つまり、西洋文化の「ジンクス」であった「ジューンブライド」を日本の結婚式業界にも取り入れた… …というのが通説のようですね。
とはいえ、日本でも「大安」「天赦日」「一粒万倍日」など結婚にはもってこいの「吉日」はたくさんあります。
個人的には、あえて天気が不安定な6月を選ばなくても…と思ったりしますが、きっとこれは、結婚式が少なくなる梅雨時期の“閑散期”対策だったのでは?とも推測しています。(なんだか「土用の丑の日にうなぎを食べる」的なマーケティングの匂いを感じますね…!)
ご興味がある方は、ゼクシィ、ハナユメ、マイナビウェディング等の専門サイトにきっと詳細があると思いますでご参照ください(ぶん投げ気味🙄)。
さて、前置きが長くなりましたが、今回のnote記事では結婚にまつわる大変興味深い研究をご紹介いたします。
それは、「マリッジブルーを経験すると、その後の夫婦の関係はどうなるか?」という知りたいような知りたくないような研究報告です。
これから結婚を控えている読者の方のご参考になれば幸いです!
【研究紹介】
Do Cold Feet Warn of Trouble Ahead? Premarital Uncertainty and Four-Year Marital Outcomes. Lavner JA et al., J Fam Psychol, 2012
<目的>
結婚前に迷い(疑念)*を感じたカップルの離婚率を検討する。
*タイトル中の”Cold Feet”は結婚前に抱く恐れや疑念を意味する言葉です。和製英語であるマリッジブルーとほぼ同義なので、以下は「マリッジブルー」と表現します。
<方法>
対象
研究参加を希望した232組の新婚カップル(合計464人)。夫婦ともに初婚であること、結婚して6ヶ月以内であること、夫婦ともに子供がいないこと、夫婦ともに18歳以上であること、妻は35歳未満であること、夫婦ともに英語を話し、10年生以上の教育を受けていること(アンケートの理解度を保証するため)、夫婦が当面その地域から引っ越す予定がないことが参加条件である。
リクルート方法
実験①1991年2月から1991年10月にかけて、ロサンゼルス地域の新聞広告から募集した。最終的に60組が研究に参加を希望した。
実験②1993年5月から1994年1月にかけてロサンゼルス郡に提出された婚姻届から特定された172組の新婚カップル。前述の条件を満たしたカップルには、研究への参加を勧める手紙が送られた。基準を満たし、予定された実験日に到着した最初の172組のカップルが2番目のサンプルとなった。
実験手順
研究デザインは縦断研究である。リクルート条件を満たした夫婦は、結婚後6ヵ月以内に行われた3時間の研究室セッションに参加することになった。セッション中、配偶者は独自に質問票に記入し、個別に面接を受けた。婚姻満足度と離婚状況は、最初の評価から4年間、約6ヵ月間隔で評価された。サンプルによって異なるが、参加者には最初に50~75ドル、フォローアップのたびに25~35ドルが支払われた。
評価方法:すべての適格基準を満たした夫婦は、結婚後6ヵ月以内に行われた3時間の研究室セッションに参加することになった。セッション中、配偶者は独自に質問票に記入し、個別に面接を受けた。婚姻満足度と離婚状況は、最初の評価から4年間、約6ヵ月間隔で評価された。サンプルによって異なるが、参加者には最初に50~75ドル、フォローアップのたびに25~35ドルが支払われた。
測定方法
夫婦関係の満足度:セマンティック・ディファレンシャル法(SMD)を用いて、6ヵ月ごとに(全体で8回)夫婦関係の満足度を評価した。SMDは、15対の対立する形容詞(例えば、悪い-良い、不満-満足)の間で、7点満点で夫婦関係の認識を評価するよう配偶者に求める尺度である。SMDの得点は15~105点で、得点が高いほど関係満足度が高い。
結婚前の気持ちについて
結婚前の迷い・疑念は、最初のセッションでイエス・ノーの単一質問によって評価された。各参加者は「結婚することに不安やためらいはありましたか?」という 質問を個別に回答した。配偶者はまた、これらのインタビューで、婚約(または結婚を決めてから実際に結婚式を挙げるまでの期間)が 「順調 」だったか 「困難で波乱万丈 」だったかを尋ねられた。
<結果>
記述統計
夫の47%(n=108)、妻の38%(n=87)が、結婚することについて迷っていると報告した。男女においてはカイ二乗検定により有意差があることが分かった(χ2(1, N = 456) = 4.28, p < 0.05)。
マリッジブルーがあったことに対する疑問の有無の影響
年齢、収入、学歴、人種/民族、結婚前のデート月数、結婚前の同棲、親の離婚について、婚前の迷いの有無による有意差は認められなかった。マリッジブルーを抱いていた夫は、抱いていなかった夫(M=6.17、SD=4.78)に比べ、神経症(M=8.11、SD=4.78)が有意に高かった(t(222)=2.95、p<0.01)。一方女性の場合、マリッジブルーを抱いていた妻とそうでない妻は、神経質さにおいて有意な差はなかった(p > 0.10)。その後4年間の挙児率に差があるかどうかを調べた。女性においては差は見られなかったが、マリッジブルーがある夫は、ない夫(38%)に比べ、その後4年間に子どもを持つ確率がわずかに低い(28%)傾向が見られた(χ2(1, N = 224) = 2.73, p = 0.10)。
離婚の予測
離婚の有無が判明したのは228組(全サンプルの98%)であった。全体では、12%のカップル(n=27)が4年後までに離婚していた。夫ではマリッジブルーがなかった人の9%(117組中10組)が4年後までに離婚したのに対し、マリッジブルーを報告した人の14%(106組中15組)は離婚した。妻ではマリッジブルーがなかったと報告した人の8%(141人中11人)が4年後までに離婚したのに対し、マリッジブルーがあったと報告した人の19%(84人中16人)は離婚した。カイ二乗分析によると、これらの割合はχ2(1, N = 225) = 6.31, p < 0.05と統計学的に有意に異なっていた。
<結論>
マリッジブルーを経験した配偶者と経験をしなかった配偶者を比較した結果、前者は特に女性において、4年後の結婚生活の結果がより悪くなることが予測された。
【鹿冶の考察】
ちょっと論文解説が長くなったので、簡単におさらいしてみましょう。
今回ご紹介した論文は、合計232名のカップルを対象に4年間の夫婦関係をフォローアップをした研究であり、「結婚前にマリッジブルーを経験したか否か」でグループを分け、それぞれ4年後に婚姻状態が続いているか...を調査した研究です。
その結果、夫ではマリッジブルーがなかった人人の9%(117組中10組)が4年後までに離婚したのに対し、マリッジブルーを報告した人の14%(106組中15組)は離婚した。妻では、マリッジブルーがなかったと報告した人の8%(141人中11人)が4年後までに離婚したのに対し、マリッジブルーがあったと報告した人の19%(84人中16人)は離婚した。
結果をまとめると以下の通りです。

χ2(1, N = 225) = 6.31, p < 0.05
この結果をみると、マリッジブルーがある場合はそうでない場合に比べて4年後の離婚リスクが2倍近くに上がる...ように見えますね。
この結果が驚きなのは4年という比較的短期間の間ですでにマリッジブルーの婚姻状態への影響があらわれることです。
このフォローアップ研究が10年後...、20年後になったらどれだけ違ってくるのか個人的には大変興味深いです。
<余談ですがわが家の場合>
ジューンブライドを迎えるカップルにとっては気になる結果ですね。
なんだか余計に不安にさせてしまい、マリッジブルーを煽ってしまったような気も致します(すみません)。
そのお詫びと言っては何ですが、小生と家内の場合についてお話ししようと思います。
小生と家内が結婚したのはおよそ四半世紀前ですが、その時の小生はマリッジブルーは全くありませんでした😆!
一方、家内は小生と結婚する前はかなりマリッジブルー状態だったようです(後に聞きましたが)。
その理由は医者はモテるので、小生が誰かにとられるか心配だったとのこと...😅
しかし、読者の中で将来医師と結婚される方に声を大にしてお伝えしたいことがあります!
はっきり言って、医者は忙しいので浮気するようなヒマはないから安心してください☺️(←個人的見解です)
大切なのは信じることですよ🥺(疑念、よくない)!
【まとめ】
・マリッジブルーと4年後の離婚率に関する論文を紹介しました。
・今回紹介した論文によると、マリッジブルーを経験した場合将来の離婚率は高まることが示唆されました。
・結婚前のカップにお伝えしたいのは、お互いを信じることですよ🥹(信じてぇ…)
↓結婚予定の方に幸あれ!
【参考文献など】
1.Do Cold Feet Warn of Trouble Ahead? Premarital Uncertainty and Four-Year Marital Outcomes. Lavner JA et al., J Fam Psychol, 2012
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