また会えるかな〜あとで話を聞かせて〜
私はこの五月の末に二人との別れを経験した。
そして、また一人、別れを経験することになっている。
二人目は仕事の元同僚だ。
部署は違うが、ロッカーが近かったり、部署間の関わりも深かったので、仲良くなった。
歳は私よりも十くらい上だが、優しく、可愛らしいお母さんだ。
お子さんはもう成人されている。
彼女とのエピソードで一番笑わせてもらったのは、冷蔵庫に入れないといけないはずのカレーを戸棚に入れてしまったというもの。
朝、冷蔵庫に入れるのを間違って、戸棚に入れてしまい、仕事から帰って戸棚を開けたら、冷蔵庫に入れたはずのカレーが入っていた。
「確かに冷蔵庫に入れたはずなのに……」
真剣な顔をして、ロッカーで話している彼女を見て、私は吹き出してしまった。
少し抜けてる。
たまに、慌ただしさでパニックって、おろおろしている彼女に遭遇すると、助けずにはいられない。
「ありがとう〜!助かった〜!」
いつもそうやって言って、ニコニコ笑いかけてくれた。
私はそんな彼女が好きだった。
私が転勤してからも、大きな会で再会すると、いつもの笑顔で笑いかけてくれた。
「久しぶりだね〜。元気してた〜?」
そう話しかけてくれる彼女を見て、私も笑顔になれた。
そんなうっかり者の彼女の笑顔は今日、遺影の中にあった。
数日前に彼女は交通事故で亡くなってしまった。
その訃報を知った時、私はしばらく動けなくなった。
──何があったのか。
──事故?
──病気?
──そもそも本当に彼女なのか?
詳しく話を知ることができた私はその事実を理解したくても、受け付けない状態になった。
あまりにも早すぎた。
あまりにも突然すぎた。
──もう彼女に会えない。
──彼女の笑顔にも会えない。
その事実は私の胸をキュっとさせた。
その帰り道、私は通夜式に参列することを決めた。
もう会えない。
でも、まだ会える。
棺の中の彼女を見ることはできなかった。
遺影の中でいつものように笑う彼女がいる。
最後に一目、会いたかった。
でも、私の中の彼女は笑顔の彼女。
眠る彼女ではない。
それだけで…その記憶だけで十分だと思い、私は斎場を後にした。
明日の告別式には残念ながら参列できないが、きっと安らかに旅立てると信じている。
ねぇ、早すぎだよ。
でも、そっちで笑って待っててよ。
いつになるかは分からないけど。
そのうち行くからさ。
そっちで会えたら、色々また話を聞かせてよ。
それまで元気で頑張るからさ。
そっちから見守っててよ。
ありがとう。
出会えて良かった。
