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文化の「まち」市川に着物の華を咲かせる日ーー「市川キモノ祭り」実現を目指す園田純子さん

「市川で着物をもっと楽しみたい」「着物が似合う街ってどんな街?」
そんな疑問に応えるストーリーをお届けします。

市川のまちは、目を凝らすと、あちこちに“和の気配”が宿っています。
神社仏閣の静けさ、古い街道の余韻、真間川を渡る柔らかな風ーー。
そんな景色の中を、そっと着物姿の人が歩いていたら、どれほど美しいだろう。

👘市川で着物文化を広めている園田純子さん

その想像を、想像のままにせず、小さな実践として形にしている人がいます。
市川で“着物のある暮らし”を広げようとしている、園田純子(そのだ・じゅんこ)さん。

❤️園田さんのプレゼン資料は着物愛に溢れていました

2025年11月15日(土)、全日警ホールで開催された「いちかわTMO特別講座 TMOシンポジウム・TMOアドバンス講座修了生12名の挑戦」に登壇した園田さんのプレゼンは、着物への深い愛と、市川というまちへの敬意がまっすぐ伝わるものでした。

今回は、その世界観と、園田さんの“日々の積み重ね”をやさしく紡いでいきます。

1|“純子”という名前を好きになれたのは、着物のおかげだった

🎤園田さんのプレゼンの様子。本人はかなり緊張していたという

園田さんがプレゼンで語った印象的なエピソードがあります。

「私の名前、純子の『純』という字は、生糸という意味があります。生糸とは絹のことなんです。運命的にも私の名前はすでに着物と関係していることを知った時から、急に自分の名前が愛おしく感じています」

着物と自分の名前との関係性を知り、名前に込められた「純朴さ」や「清らかさ」、ご家族の想い、先人の生き方ーーそうしたものも含めて、自分の“名”を大切に思えるようになったのかもしれません。

着物は、ただ外見を整えるだけでなく、自分自身を好きになるきっかけをくれたーーその語りには、静かだけれど深い強さがありました。

2|着物をまとうと、もうひとつの世界が見えてくる

👘着物を着て外出することが好きだと話す園田さん

園田さんの「着物の原点」は、小学生の頃。
お母さまがしまっていたかすりの着物をこっそり着てみたといいます。

成人式。
姉の振袖に袖を通した瞬間、胸の奥が熱くなるような感情がこみ上げました。
成人式から15年後、ついに園田さんは自分の着物を手に入れました。ここから、園田さんの着物の物語は本格的にスタートしたのです。

「着物をまとうと、背筋が伸び、世界まで丁寧に見える。いつもと同じ風景が違って見えたり、着物を着ると料理も美味しく感じられます」
園田さんのこの言葉は、洋服では味わえない着物の魅力そのものです。

そして、こう続けます。
「着物は歩幅が小さくなり、自然と丁寧な歩き方になります。立ち振る舞いも、とても丁寧になります。私たちは、日々時間に追われて、生活をしています。でも、着物を着て出かけると、時間がゆっくり流れるんですね。
これらは、着物を着たことがある人なら、きっと体験したことがあると思います」

それは日本人として生きている実感ーー着物を着ることは、日常の中の非日常。人の気遣いや優しさを感じることができ、もうひとつの世界を見つけているのです。

3|もっと気軽に、もっと自由にーー着物の入り口はたくさんある

一方で、「着物」と聞いて思い浮かべるイメージもあります。

「着物って高いよね」
「クリーニング代もかかるし、着付けもできない」
「苦しそう、動きにくそう、なんだか面倒くさそう……」

そうした声を前にすると、気がつけば着物との距離をどんどん遠ざけてしまう。
園田さんは、そんな“心理的なハードル”にも目を向け、このように語りかけます。
「でも、よく考えてみると、浴衣は花火大会でたくさん見かけます。
実は、いちばん入りやすいビギナー向けが、この浴衣です。
浴衣は、花火大会だけじゃなくて、ぜひ普段のお出かけにも着てみてほしいんです」

✨最近は、気軽に着られる着物も増えてきている(プレゼン資料より)

今は、ポリエステルやデニムなど、洗える素材の着物も増えました。
自宅の洗濯機で洗えて、家で保管することもできる。
「高い」「クリーニングが大変」「保管が心配」といったハードルも、少しずつ下がっています。

さらに、上下が分かれた“セパレート型”の着物も登場しています。
「邪道と言えば邪道なのかもしれませんが、着てみると全然そうは見えないんです。自分で着られることが、何よりうれしいですよね」と園田さんは言います。

そして最後の“必殺技”が、「羽織」。
洋服の上から羽織るだけで、一気に和の雰囲気が漂います。

園田さんは、「そう考えると、着物との距離って、実はそんなに遠くないと思いませんか?私は、着物はもっと“近い存在”だと感じています。もっと気軽に楽しんでほしいです」と訴えます。

4|KUGURU展が、市川の文化に新しい風を入れた

🌸KUGURU展で、真間のまちを着物でめぐった様子(プレゼン資料より)

市川で活動する中で、園田さんはKUGURU(のれんアートのまち歩きイベント)と出会いました。
KUGURU展では、のれんをくぐって商店を訪れ、アートとまちの魅力を楽しむ企画が行われています。

園田さんは、KUGURU展の運営委員会の活動を2024年の3月からスタートしました。
活動のなかで、園田さんは着物特典やサービス(着物でお店に来店すると割引特典やサービスが受けられる)の企画を提案しました。仲間もいろいろなお店に提案して回ってくれて、最終的に飲食店25店舗が参加してくれました。
園田さんは、この試みをとても喜び、
「市川は着物を歓迎してくれるまちになるかもしれない」と希望を感じたといいます。

実際、KUGURU展に参加した方々の着物姿は、のれんや街並みとの相性が抜群でした。市川市外に住む友人や着物仲間を誘ったのですが、「市川はとても素敵な街だ」と口々に褒めてくれたそうです。

KUGURU展は、着物文化の種が市川で育つ大きな追い風になったのです。

👘のれんには、着物姿がよく似合います

5|市川の景色と、着物が似合う場所たち

🍵市川・安国院でのお茶会の様子。着物が似合う場所のひとつです
🧧御朱印集めも園田さんの趣味のひとつ。写真は安国院の御朱印です


真間の手児奈堂、安国院、弘法寺の大木、国府台の古径ーー。
深い歴史と静けさをふくんだ景観は、どれも市川を代表する“着物が似合う場所”です。

「着物と似合う場所は、都会でも少ないと思うのです。この歴史ある文化財は、市川の宝。着物を着るからこそ、行きたくなる場所、市川の歴史を感じることができます。それをもっと活かしたいです」と園田さんは力説します。

そんな園田さんは、市川のいろいろな場所で、地道につながりを広げています。

2025年11月1日には、和洋女子大学の学園祭「里見祭」に招かれ、服飾造形学科の学生たちが自分たちで制作した着物作品のランウェイ発表を見学しました。
ランウェイを歩く学生たちの姿を見て、「着物は、これからの世代の表現とも、きっとつながっていく」そんな未来も感じたと言います。

6|行徳・南行徳の神社めぐりーー「市川キモノ祭り」の土壌づくり

⛩️「行徳・南行徳 神社めぐり」とのコラボです

着物のつながりは、行徳でも広がっています。

行徳は“神輿のまち”として江戸時代から続く祭礼文化の宝庫。
まちに点在する神社、街道の古さ、提灯の温かい光ーーそのどれもが、着物と不思議なほど調和します。

行徳にある「田中邸」。行徳町初代町長の田中栄次郎氏が建てた旧家に住む田中愛子さん(栄次郎氏の子孫)に、まちの歴史や魅力について話を伺う機会もありました。
「行徳を着物で神社めぐりをしたい」と話すと、「すごいこと考えるわね。思いつかなかったわ」と田中さんに背中を押してもらったと言います。

そして、2025年11月24日(月・祝)に開催される「行徳・南行徳 神社めぐり」イベントに午後から合流することになりました。着物で神社をめぐり、写真を撮り、食事を楽しもうとしています。

「一人だと目立ってしまうけれど、たくさんの人がいるなら、今日こそ着物で紛れてみようかな――。そんなふうに思ってもらえる人が増えたらうれしいです」と園田さんは話します。

気になるのが、「着付けやヘアセットはどうしよう?」という不安。
そのとき、園田さんの友人で着付師の方が、「それなら私がやるよ」と、ひと肌脱いでくれることになったのです。そのご厚意に甘え、着付け案内のチラシまで作っていただきました。

その後、その友人のつながりで長年現場で活躍されているプロの着付師さんも、引き受けてくれることになったのです。
思いがけない“奇跡”のようなつながり。着物の取り組みを続けてきた園田さんに、そっと味方が現れた瞬間でした。

7|そして見えてきた未来ーー「市川キモノ祭り」実現に向けて

🎤プレゼンで園田さんが伝えたい3つのこと

園田さんが思い描くのは、イベントとして一度きりではなく、市川を“着物で歩く日常”が根づく未来。

その象徴が、構想中の「市川キモノ祭り」。
市川が“ミニ浅草”になる 1日です。いろんな着物レンタルや着付けだったり、キッチンカーがあったりと、楽しい催しがあれこれあるといいなと思っています。

園田さんは「『キモノ』祭り」とあえてカタカナ表記にしている理由を教えてくれました。

「漢字の“着物”と書くと、古典的でかっちりした印象がありますよね。でも私は、和洋女子大学の学園祭で見た学生さんのように、ブーツを合わせたり、スカートを重ねたり、洋服と和服を自由にミックスして楽しむ着方も素敵だと思っています。

だからこそ“着物は堅苦しい”“自分には関係ない”と感じてしまう人の心のハードルを下げたくて、あえて『キモノ』というカタカナにしています。
カタカナなら、もっと軽やかで、参加しやすい雰囲気になると思うんです」

こうした取り組みが連鎖していき、市川が“キモノが似合うまち”として静かに育っていくかもしれません。

園田さんはその中心で“文化は人が運ぶ”姿勢で一歩ずつ前に進んでいます。

8|あとがきーー“着物が似合う市川”のこれから

着物と出会い、自分の名前を好きになれたこと。
市川のまちを歩き、人の温かさに触れ、真間のKUGURU展で新しい風を感じ、行徳の神社めぐりとのコラボで「未来の風景」を感じること。

そのすべてが、園田さんの活動を支えています。

どれも派手な活動ではありません。でも、一人の「好き」が起点となり、仲間を集め、ゆっくりと、でも確実にまちを変えていくことを、園田さんは教えてくれます。

🪭市川に、着物の華がそっと咲き始めているーー

もし、
「着物で市川を歩いてみたい」
「まちをもっと好きになりたい」
そんな気持ちが少しでも芽生えたなら、その一歩は、きっと市川に着物の華を、静かに咲かせていくはずです。

プロフィール
園田 純子(そのだ・じゅんこ)
北海道札幌市出身の会社員
結婚を機に2020年11月末から市川市在住
好きなもの:着物、和雑貨、アート
趣味:着物で外出、旅行、御朱印巡り
KUGURU展2025年運営メンバーとして活動

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。気に入っていただけたら、❤️スキを押してくれたら嬉しいです。

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ライター/和(ひとし)


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