見出し画像

コンビニだけで食事管理はできますか? 食品データを7万件集めた私の答え

答えから書きます。「できます。ただし、コツが要ります」

私は「ニコフィット」という健康記録アプリを作っている、人材会社の非エンジニアです。アプリには、7万件を超える食品データベースが入っています。コンビニ、チェーン店、一般食品。この7万件を整備する過程で、私はたぶん、日本でもかなりしつこい部類に入るくらい、コンビニ商品の栄養成分表示と向き合ってきました。

自炊する時間がない。昼は毎日コンビニ。そんな生活で食事管理なんて無理ですよね——という声を、開発を始めてから何度も想像してきました。過去の私自身が、まさにそう思っていたからです。

7万件のデータを見てきた私の答えは、こうです。コンビニだけでも、食事管理は十分にできます。ただし、選び方と読み方のコツを知っているかどうかで、結果はまるで違ってきます。

前半でその実用的なコツを、後半で7万件のデータを集めて見えた開発の裏話を書きます。

「コンビニ=不健康」と思っている人、多いけれど

まず、いちばん大きな誤解からほどかせてください。「コンビニ食は食事管理の敵」だと思っている人が多いのですが、記録と管理という観点では、話はむしろ逆です。

コンビニは、食事管理の敵ではなく、味方。私はデータを整備しながら、何度もそう思いました。

理由は単純で、コンビニの商品には、ほぼすべてに栄養成分表示が付いているからです。カロリー、たんぱく質、脂質、炭水化物。全部、裏面に書いてあります。

一方、自炊や外食の定食はどうでしょうか。健康的に見えても、油を大さじ何杯使ったか、ごはんが何グラムか、正確には誰にも分かりません。つまり「なんとなく健康そうだけど、中身は不明」なのです。それに対してコンビニは、「中身が全部数字で開示されている食事」。管理する側から見れば、これほど扱いやすい相手はいません。

大事なのは、コンビニかどうかではなく、何を選ぶかでした。そして選び方は、知識というより「型」です。ここから、その型を紹介します。

高たんぱくの棚は、サラダチキンだけではありませんでした

食事管理で多くの人がまず意識するのが、たんぱく質です。そして「コンビニでたんぱく質=サラダチキン」と思われがちですが、毎日サラダチキンでは、さすがに心が折れます。実は、たんぱく質がとれる商品は、店内のあちこちの棚に散らばっています。

- ゆで卵・味付き卵:レジ横や総菜棚の定番。手軽さでは最強クラスです

- 焼き鳥・サラダフィッシュ:ホットスナックや総菜棚。サラダチキンに飽きた日の主役に

- ギリシャヨーグルト:デザート棚にいる、間食枠の有力選手

- プロテインドリンク・高たんぱく乳飲料:飲み物の棚。食事に一本足す使い方ができます

- 冷凍枝豆・冷奴・豆腐バー:植物性タンパク質をとりたい日の選択肢

- チーズ・あたりめ:おつまみ棚も、実は見逃せません

ここで挙げたのは、あくまで「たんぱく質を含む食品のカテゴリ」です。どれかを食べれば何かが起きる、という魔法の商品はありません。ポイントは、選択肢を棚ごとに知っておくこと。「今日はどの棚から選ぼうか」と考えられるようになると、コンビニが急に、管理のための売り場に見えてきます。

裏面の「栄養成分表示」は、まず四つの数字だけでいい

商品を裏返すと出てくる栄養成分表示。あの小さな表は、実は四つの数字だけ見れば、日常の管理には十分です。

エネルギー(kcal)、たんぱく質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)。頭文字をとって、PFCと呼ばれます。

読むときの注意はひとつだけ。「1包装あたり」なのか「100gあたり」なのかを、最初に確認することです。ここが、いちばん多くの人がつまずく罠です。100gあたり表示の商品は、内容量が300gなら、数字を3倍にしないと実際の摂取量になりません。パスタやスイーツで「思ったよりカロリーが低い」と感じたら、たいていこれです。

そして、数字は一食単位で完璧を目指すのではなく、1日の合計でざっくり眺めるのがコツです。昼が脂質多めだったら、夜は控えめの棚から選ぶ。そのゆるい調整ができるだけで、管理としてはもう上出来だと思います。

ちなみに、最初から四つ全部を管理しようとしなくて大丈夫です。慣れるまでは、エネルギーとたんぱく質の二つだけ追いかける。それだけでも、商品の選び方は目に見えて変わります。数字と友達になる順番は、少しずつでいいのです。

単品で悩まず、「組み合わせの型」で考える

もうひとつのコツは、商品を単品で選ばないことです。

おにぎり1個だけ、パン1個だけ、という選び方をすると、炭水化物に偏りがちです。そこで、「主食+たんぱく質+もう一品」という3点セットの型を、先に決めてしまいます。おにぎりに、ゆで卵と味噌汁を足す。パンに、ギリシャヨーグルトとカット野菜を足す。型さえ持っていれば、毎回レジ前で悩まなくて済みます。

考えることを減らすのは、手を抜くことではありません。続けるための、立派な技術です。完璧な自炊より、続くコンビニ。私は本気で、そう思っています。

迷ったら、この順番で棚を回ってみてください

さっきの3点セットを、もう一段だけ具体的にしておきます。買うものを決めるのではなく、棚を回る順番のほうを先に決めてしまう、というやり方です。

最初に、たんぱく質の棚から。サラダチキンでも、ゆで卵でも、焼き鳥でも、今日の主役をまず確保します。次に、主食の棚へ。おにぎりか、パンか、麺か。主役がすでに決まっていると、ここで無限に迷わなくなります。最後に、汁物か野菜を一品。この順番のいいところは、空腹の勢いのまま新作スイーツの棚から回ってしまう事故を、自然に防げることです。

そしてもうひとつ、大事な注意を。完璧な買い物を、目指さないことです。週に何度かは、純粋に食べたいものを選ぶ日があっていい。食事管理は、我慢大会ではありません。ゆるく、長く。それがいちばん強いやり方だと、7万件の数字を眺めてきた私は思っています。

ここからは裏話です——7万件のデータを集めて見えたこと

さて、後半は開発の裏側の話です。ニコフィットの食品データベースには、7万件を超える食品が入っています。この数字の裏には、正直、地味で泥くさい作業の山がありました。

まず、コンビニやチェーン店のデータは、想像以上に「生き物」でした。同じ名前の商品でも、リニューアルで栄養成分がしれっと変わります。地域によって仕様が違うこともあります。表記も揺れます。「1食あたり」「1包装あたり」「100gあたり」が商品ごとにバラバラで、そのまま並べると比較になりません。単位をそろえ、同じ商品の表記揺れをまとめ、怪しい数字を検品する。データベース作りの実態は、華やかなAIというより、終わりのない大掃除でした。

その大掃除の途中で、心強い存在にも出会いました。文部科学省が公開している、日本の食品成分のデータです。ごはん、卵、ほうれん草——そういった一般食品の栄養成分は、国が長年整備してきた公的なデータに支えられています。コンビニの新商品を追いかける作業の傍らで、この地道な公共データのありがたさが、身に沁みました。

そして、この7万件が報われる瞬間が、バーコードです。商品の裏のバーコードにスマホをかざすと、登録済みの商品ならレジのように特定されて、栄養成分ごと記録に入る。初めて自分のアプリでこれが動いたとき、思わず声が出ました。前に書いた通り、手入力は一食1分以上かかります。それが⑩秒程度になる。コンビニ商品はラベルに基づくデータで記録できて、写真からのAI推定(こちらはあくまで推定値です)は、手作りの料理や外食の皿に使う。この使い分けができたとき、「コンビニは食事管理と相性がいい」という確信は、決定的になりました。

おわりに——コンビニ飯に、罪悪感はいりません

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。

コンビニだけで食事管理はできますか、という問いへの答えを、もう一度置いておきます。できます。棚のカテゴリを知り、裏面の四つの数字を読み、3点セットの型で選ぶ。それだけで、コンビニは「仕方なく使う場所」から「数字で管理できる味方」に変わります。

毎日自炊できないことに、罪悪感を持つ必要はありません。続けられる形が、あなたにとっての正解です。

もしよかったら、その7万件のデータベースを積んだ「ニコフィット」を覗いてみてください。今日の昼のコンビニから、バーコードひとつで記録が始められます。

 App Store(iOS):

Google Play(Android):

X(旧Twitter):

開発の裏側や最新情報は、Xでも発信しています。今日の昼ごはんくらいの気楽さで、始めてもらえたらうれしいです。


いいなと思ったら応援しよう!